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啼く鳥の謳う物語

猫とズボンと

作者: フタトキ

さて、我が家には猫がいる。

気紛れで我儘で自由な大型の猫。

猫が器用に玄関チャイムを鳴らして「入れてちょーだい。お外は寒いの」なんて言いたげな顔をしたとしても、安易に招き入れてはいけない。確かに、猫は可愛い。ツンが9割を占める猫が不意に甘えてきたら、誰だって冷静な思考を失う。だけど、そこは堪えるべきだった。猫だって生命体だ。他の生物だ。いい歳した大人なら、十分考えるべきだった。

というのは前置きだ。


我が家には猫がいる――それはもう語った。


大きな大きな成人男性サイズの赤茶毛の猫。

名前は――

洸祈(こうき)!ちょっと邪魔!」

崇弥(たかや)洸祈という。

「五月蝿い」

体を折ってまで炬燵に肩まで入る洸祈はテレビのリモコンを抱えて唸った。テレビ画面には女同士の不毛な闘いが描かれたドラマが映る。そして、炬燵テーブルの上には積み上がったレンタルDVDだ。

他にも急須に湯呑み、茶葉入り缶、保温ポットが。それだけでも十分な引き籠もりアイテムだが、追加して、蜜柑大量と天然水の2リットルペットボトルと電気ケトルだ。

尿瓶を用意してないだけ、まだ救いはあるが。流石の洸祈も寝ションベンはするまい。

そう言うプレイは俺にも洸祈にも早いし、家は……無理!

そんなことよりも、この大型猫が年末の大掃除をする俺の邪魔をしていることが大問題なのだ。

怒涛のクリスマス公演を終えて、お世話になっている榎楠ホールへの感謝の意を込めた年末の大掃除をする前に、自分の家も掃除しようかと限られた休日に発起した矢先にこれだ。

真冬に炬燵でぐーたらしたくなる気持ちは十分に分かるが、それを抑えて掃除機を掛けている俺の横で、コードの長いイヤホンを利用してまで炬燵から離れようとしないのは酷い気がする。手伝わずとも、掃除の邪魔をしなければそれでいいのに、洸祈は頑として炬燵から移動しない。お陰で炬燵周辺だけ掃除出来ていないのだ。

時間は有限なのに、洸祈が邪魔するから俺は大掃除を終われない。

最初は生暖かい目で見ていたのだ。

最愛の人だから。

年末に会いに行く相手が二之宮(にのみや)じゃなくて俺なのが、当たり前だけど嬉しい。

司野(しの)さんは百歩譲って許せる。あの人は俺には到底なれない『癒し枠』に属しているから。俺も癒されるし。

だけど、二之宮は嫌だ。なんか嫌だ。

演劇は上手いし、歌も上手いし、頭も良い。ルックスだって良い。金持ちだし。

奴の口の悪さ以外は、はっきり言ってパーフェクト野郎だ。

実際、歌姫として活躍する奴には全国にファンがいる。女も男も奴の虜。

だが!

いや、だからこそ!

洸祈だけは譲れない。

二之宮のパーフェクトぶりに嫉妬していないと言えば嘘になるが、俺は奴の欠点――毒舌を知っているから、羨望の眼差しを向けたりはしない。他にも二之宮には頑固なとことか、負けず嫌いなとことか、割と短所があるし。だけど、奴は一般的には勝ち組で、俺には芸しか取り柄がない……多分。

そんな俺を洸祈は愛してくれた。誰でもない、俺を選んでくれた。

幼い頃から支え合ってきたパーフェクト超人の二之宮ではなく、この俺を。だから、洸祈が二之宮のメルアドと電話番号を知りたくて堪らなくても、洸祈が二之宮に定期的に会いに行っては撫でて貰ってても、洸祈が二之宮にキスをせがんだりしても……洸祈が二之宮に添い寝をせがんだりしても……………………いや、分かるけど、二之宮の存在が特別なものなのは重々理解してるけど、洸祈には切っても切り離せない存在なのは知ってるけど…………………………恋人は俺だから。洸祈の今も未来も育んでいくのは俺とだから。

なんて、洸祈がいかに好きかを語ったって、炬燵大魔神であることに変わりない。

「五月蝿いってね、ここは俺の家なの。掃除ぐらいさせてよ!3分でいいから!せめて3分!」

惚れた方が負けとは言ったものだ。

「あー、五月蝿いなぁ……」

リモコンで映像を一時停止すると、イヤホンを外し、洸祈は割と真面目にかったるそうな顔をして俺を見上げた。

俺の家で恋人にこんな目をされる時が来るとは。

掃除したいだけなのに……!

「掃除したいからさ。そこ、ちょっと退いてくれる?」

「……………………」

洸祈は意味深げに炬燵周辺の引き籠もりセットを振り返る。

「ほんのちょっとでいいから」

「…………寒いじゃん。死ぬ」

死なないだろ。

掃除している間は風通しを良くしておくのは基本だ。

確かに、肌寒いが、俺は掃除で体を動かして温まっているし、洸祈だって炬燵入ってた分ぽかぽかだろ。

なんて言ったって、ぶーたれるだけだ。

……最終兵器を出すしかないか。

俺はリビングとは別の自部屋に戻り、愛用しているコートを取って来た。

「この俺の匂いが染み付いたコートを貸してあげるって言ったら?」

がばり。

洸祈がキラキラの視線を俺に寄越した。

「これ着て良いから。だから、ちょっとだけ炬燵から出てくれる?」

「…………先に検品しないと」

何言ってるのかな、この子は。

俺は洸祈の鼻にコートの襟を近付けた。

「ふんふん…………おっけ。……出る。しょうがないから出る」

そう言った洸祈はコートを奪って炬燵の中へ。

ガタガタと炬燵が揺れ、俺は慌てて湯呑みと急須をテーブルに移した。危うく倒れるところだった。無駄に仕事が増えてしまう。

「こーき、危ないから外出て着なよ」

「防寒具ないと一秒も生きられない」

大袈裟な。

そして、コートを着込んだ洸祈が俯せになりながらモタモタと炬燵から這い出て来た。続けて子犬が二匹。

黒と白の子犬型狼は――金柑(きんかん)伊予柑(いよかん)。魔獣だ。

いつの間に家に上がり込んでいたのか。

ちび狼達は分厚い靴下の洸祈を追い掛け、俺の寝床に移動した彼の懐に入り込んだ。

綺麗に畳んだ毛布はぐしゃぐしゃになり、洸祈は「冷たっ」と言いながら毛布の中で震える。

「寒い……はるの匂い……寒い……いい匂い……寒い」

洸祈は割と匂いフェチだ。犬ほどではないが、普通の人よりは鼻が利く。俺の匂いや司野さんの匂い、はたまた二之宮の匂い。他人を匂いで嗅ぎ分けられる。……若干、気持ち悪いかもしれない。

しかしまぁ、俺の羞恥心を犠牲に炬燵大魔神をどうにか退けられたのだから、良しとしよう。

「直ぐに終わらせるから、そこで待っててね」

「ううー。早くしてくれないと、体力尽きて死ぬ」

くぅ。

くぅん。

二匹も賛同するかのように鳴く。

そして、洸祈は毛布を頭の上まで被せた。


それから2時間。


炬燵周辺を掃除し、開け放っていた窓を閉めて回り、洸祈に声を掛け、「すぐ行く……」と返して来てかなりの時間が経った。が、洸祈は未だに寝室から出て来ない。

暖房も付けて温かくしているのに。

洸祈は朝から蜜柑を10個は平らげていた為、自分の分だけ軽い昼飯を用意し、食べ、食器を洗い、炬燵で一息。序に緑茶を一杯。

しかし、洸祈は現れず。

寝ているならわざわざ起こす必要もないし。

静かだし。

だけど、昼からこれ以上眠られると、夜が五月蝿そうだしなぁ。

眠れない!構ってよ!はーるー!

と、枕元で騒ぐ洸祈が見える気がする。

あれとかそれとかして黙らせる手もあるが、それをすると、50%の確率で次の日に洸祈が拗ねる。

足が痛い、腰がダルい、腕が死んだ、はるの馬鹿。

――だ。

「起こす……かな」

一撃覚悟ですやすや眠るにゃんこを起こしに行くかな。

俺は腹を防御する為にクッションを抱いて寝室へ。

寝室からは不思議なことに日向の匂いがした。

理由は多分、寝室が太陽光溢れる角部屋なのと、洸祈が光の中で幸せな顔して眠っているから。

大きくなった伊予柑が片目を開けて俺を見た。彼女のフサフサな尾が洸祈の顔を撫でる。

「あ、待って」

伊予柑がごろごろと喉を鳴らして尾を避けた。

「寝顔、見たいんだ。ちょっとだけ。見させて」

「うぬ……っくし……」

小さくくしゃみをした洸祈。彼の顎の下で眠る金柑も身動ぎした。それに反応してか、洸祈が眉間にシワを寄せる。しかし、俺が太陽光を吸収して温かくなった洸祈の頭を軽く撫でれば、彼は表情を戻した。

畳の匂いと日向の匂い、洸祈や金柑の寝息。このほんのりと佇む、生きているものの存在感。

「好きだなぁ」

この時間が俺は大好きだと思う。

指先を彼の頭頂から耳たぶへ。

「ん……んぅ……」

また眉間のシワだ。でも、止められない。

耳たぶから頬へ。

「ぁ…………ん……ん……」

鼻から抜けるような声を漏らした洸祈は本当に侮れない。頬も赤くして、小さく口を開けられたら――俺の理性が昼間から吹っ飛んでしまう。

「洸祈……誘ってるの……?」

抑えろ、俺。

まだ昼だ。太陽も出ている。洸祈と外へ出掛けて、今は抑えるんだ。

いや、待て。明日はホールの大掃除で会える時間がない。年始の忘年会までゆっくりはできないだろうし。昼から温まるのも悪くない。

いやいや。きっとここで手を出したら、朝まで長期戦だ。掃除なんて出来ない。幸せに浸って抜け殻になっている俺が見える。

…………幸せになるのに理由なんて要らないかな?

俺は洸祈の唇に薬指を這わせた。

「ぅ……」

桃みたいな唇だ。薄いピンクがどエロい。ちょこっと乾燥してるから、リップクリームでもあげようかな。

洸祈は早寝遅起きだから妙に肌に艶がある。だからこそ、この歳の男の子は肌に気を遣って色々ケアについて学んだりするが、洸祈はそれをして来ていない。唇の乾燥もそのままにするのだ。

千里君はそこら辺がしっかりしてそうだけど。ファッション誌買ってるし、オシャレだし。しかし、洸祈が彼に教えを乞うとは思えない。俺は人前に出て稼ぐから、顔も命だし、気遣っている。だが、洸祈は?

人混み嫌いの洸祈は基本的に引き籠もり。しかし、外に出たら出たで、洸祈は何もしなくてもエロいから人が勝手に集まる。性的目線で。だから、洸祈は何も考えてない。男の世界に生きてない。むさ苦しい男の世界に。

「洸祈、分かる?」

薬指の爪が彼の歯に当たった。

ちろりと出た舌が俺の指に絡み付く。

「いい子だね」

開いている方の手で彼の頭を撫でれば、学習したのか、大胆に俺の指を口に入れた。

「……っ、噛んだ?」

今、噛まれたような。チクリとした痛みがしたが、洸祈が俺の手首を握っていて動かせない。

「はむはむ……」

……噛んでる。噛まれてる。

ウィンナーかスルメのように俺の指は噛まれている。

「ちょ……痛い」

このままでは彼の昼飯かおやつ扱いされて噛みちぎられる。

俺は頭を撫でる手を止めて、強硬手段を取ることにした。彼の顎を掴み、歯医者の気分で口を開けさせる。

「んに……」

そうしてどうにか引き抜いた指には無数の噛み跡。特に関節を狙ったものが多い。加えて、涎。赤ちゃんを相手にしてる気分だ。しかし、お陰様で頭が冷えた。こう言うのは洸祈が起きている時に限る。頬を赤くして恥じらいながらも理性の糸をプツンと切って誘って来る。寝ている時はそれがない。だから、つまらない。

普通に起こすかな。

「洸祈、起きて。お昼寝は終わりだよ」

「む……」

俯せになる洸祈。

肩を揺する俺の手を鬱陶しそうに、唸りながら体を丸める。

くぅん。

その衝撃で金柑が目を覚ました。彼はふるふると頭を振る。そして、よたよたと歩き出すと、俺の膝にぶつかってコケた。

ふわふわのもこもこにつられて彼を抱き上げれば、つぶらな瞳が俺を見詰め、湿った鼻が俺の頬をふにっと押す。

くぅ。

ぷにぷにの肉球が俺の唇を踏み付けた。

いや、肉球キスだ。なかなかの感触。洸祈の唇より柔らかいかも。

「…………ちょっと。恋人の前で堂々と唇を奪わないでよね」

「嫉妬してるの?」

「……………………琉雨(るう)のうさ耳然り、獣耳には勝てないって分かってるから嫉妬なんてしない」

抱き抱えていたコートを着込む洸祈。衣類の皺は掃除の代償だからしょうがない。これで洸祈の匂いも付いたし。冬はあれだけで寂しさを埋められるかな。

「起きた。炬燵まで連れてって」

両手を伸ばして俺の腰にしがみつく洸祈。わざとではないだろうが、金柑が洸祈の頭を足場にする。

暫くその体勢を維持していると、「陽季(はるき)、拗ねるよ?」と俺の体臭を堪能しながらぶつくさと言い出した。

「もういいよ。伊予と浮気するから」

獣相手に浮気って……伊予柑が素晴らしい女性なのはその仕草含め、あらゆる面から分かるけども。それに、伊予柑は洸祈のおバカにも冷静に対応するから――

「いーよー」

洸祈が俺から離れて、床に寝そべる伊予柑の首に抱き着いた。そして、そのふさふさの体毛に顔を埋める。

くぅ。

伊予柑が嫌がる以前に、金柑が寂しそうな鳴き声を上げた。

「ふんっ。そんな情けない声出したって伊予は俺のものなんだから。てか、金から他のオトコに手を出して置いて、伊予が愛想を尽かさない訳が無い。そもそも、伊予は俺のような男前の方が好きだし」

嫉妬の方向が迷走している。

金柑を嫉妬させる、ということか?かつ、男前って誰のことだろう?

「ヘタレ」

伊予柑の顎をせっせと掻きながらドヤ顔の洸祈。伊予柑は目を細め、多分、俺を見ている。何か言いたそうな目だ。

大方、早くこいつを引き取りなさい――だろう。

俺は金柑を伊予柑の背に乗せ、金柑に甘い俺に直ぐに不貞腐れる洸祈を抱き寄せた。

「金とイチャラブするんじゃないの?」

「そう俺を虐めないで。俺は洸祈一筋だよ。掃除終わったから、炬燵でゆっくりしよう?」

「ふーん……」

すすすと洸祈の指がジャージの隙間から忍び込んで来たかと思えば、俺の胸板をわさわさし出す。背中に触れる彼の腹は温かいのに、俺にセクハラする彼の指先は冷たかった。心臓が驚いて洸祈を振り落とすところをどうにか耐える。

「何してるのかな?」

「胸板チェック。陽季が筋トレを怠ってないか調べてる」

「結果は?」

「イイ感じ」

それはようござんした。

「因みに、洸祈の胸板は……っで!!」

あろう事か、俺の胸板で最も敏感な所に爪を立てられる。そして、暑くて湿っぽい吐息が俺の首筋を掠めた。

「それは後でのお楽しみじゃないの?」

「そんなこと言って――」

ちょこっと重たい洸祈をおんぶすると、洸祈がコロコロと喉を鳴らして微笑する。そして、俺の髪に鼻を突っ込んだ。

「今日はシャワー入らないでね。はるの匂いが薄れる」

「……まぁ、お互い様か。性癖は人それぞれだからね。俺の使用済み一着あげる。ただし、下着以外で」


チッ。


「……………………洸祈?」

今、切れ味のいい舌打ちしなかった?

「今度、俺のお気に入りの兎パーカーを持ってくるから、それ着て一日過ごして、俺に返却して。今夜はそのズボンで許す」

「………………一着だけだよ?」

「パーカーは俺の。貸して返して貰うだけ。それにそのズボンは陽季の足にフィットしててエロくて好きだから欲しい」

洸祈の指が俺の太股を撫で上げる。何でこうもこの子はエロ親父なんだ。

いや、それよりもズボンが欲しいだと?

よりにもよって、俺の足にフィットしている、このズボンを。

上着だったら、サイズもS、M、Lの三種類で少し大きくても彼シャツみたいに着れるだろうが、ズボンは違う。洸祈では裾を引きずるんじゃないだろうか。それに、このズボンは手持ちの中でも数少ない、冬も温かい厚手の生地を使ったズボンなんだが。

正直、あげたくない。

俺が言い出したことで、自業自得だが、あげたくない。

「洸祈、ズボンよりも上着の方が……エロい俺を見れなくなるよ?」

「エロいから欲しいの。街ゆく人が陽季のそれ見たら好きになっちゃう。ぜーったいヤダ!」

「それはつまり……」

「陽季のモテ要素は少しでも排除したい」

彼氏がモテモテだと、彼女としては鼻が高いって、双灯と割り勘した雑誌に書いてあったのに。そこから浮気に発展するのはNGだが。

「俺は洸祈一筋だよ。カッコ良さを振り撒くだけでもダメなの?」

洸祈を炬燵の傍に下ろすと、彼は家を変えるヤドカリみたいに素早く炬燵に潜った。

「カッコイイ陽季は好きだけど、それ見て知ったかぶりする奴は嫌い。陽季の太股とか、陽季の胸板とか、想像されただけで捻り潰したくなる」

物騒な。

俺想いなのは嬉しくて堪らないけど……。

しかし、口にはしないが、ネット上では俺に関する想像やら妄想やらが書かれていたりする。俺の誕生日とか、俺の身長、俺の好きな食べ物、嫌いな食べ物、休日の過ごし方。

俺は誕生日が3つはあることになっているし、オムレツが好物でありながら、同時にオムレツを忌み嫌っているということになっている。それと、趣味はサイクリング。

俺がどんな人間か一々訂正するのも馬鹿らしいし、そもそもエゴサーチをする自意識過剰野郎なのがバレてしまう。有名人でもないのに、暇さえあればネットで自分の名前を検索しているなんて恥ずかしいだろ。

それに、変に煽って、洸祈に何かあったらいけない。悪意ある人間が、俺がゲイだと言うことだけでなく、男の恋人を特定し、洸祈の個人情報を晒せば…………洸祈の生活を壊すことになる。

ただ、勘違いしないで欲しいのだが、洸祈を好きな事を恥じている訳では無い。洸祈を選んだ事を一度でも後悔したことはない。しかしながら、それを周りがどう思うかは彼らの勝手だ。表があれば裏も存在するように、肯定に否定は切っても切り離せない。大なり小なりのいがみ合いはしょうがないし、そこにちょっとした緩衝材が入るだけで、世界はとてもバランスの取れたものになれるのだから、悪いものでもない。

「分かったよ。俺のエロいズボンは夜のお楽しみの時にね。今夜は手を使わずにズボン脱がせてくれるんでしょ?」

「そんな魔法はないよ?ズボンぐらい自分で脱げないの?」

「……………………そうだね」

そんな魔法があったら、世の変態共が使って、禁忌の魔法扱いされるよね。それに、俺もいい歳してるのだから、ズボンぐらい一人で脱げるよね。

だけど、洸祈の『マジで何言ってんの、この人』と語る表情は許せない。俺をその気にさせる時の洸祈は、下品な言葉も仕草も使いまくるのに、いざ俺が言うと、ドン引きするのは不公平だろう。かと言って、ここで俺がそれを指摘したらしたで、洸祈に逆ギレされるのは分かり切っている。

だからこそ、今夜は覚悟してもらおうかな。

その阿呆面を泣かせなきゃ、俺の静かな怒りは治まらないからね。

「それよりさ、そこのDVDの、4巻、一枚目の方入れて」

「え?」

「いや俺、見ての通り冬眠中でしょ?もう出れないから、DVD入れて再生して」

「……………………」

ちょっといいかな?

惚れたのは俺が先だけど、恋人同士だよ?

完全にパシリ扱いされてるけど、恋人同士だよ?

しかし、甘やかし好きの俺は洸祈の指示通り、そこのDVDの、4巻、一枚目をレコーダーに入れた。そして、再生。

『何よ!このアバズレ!』

初っ端からこれだ。

再生した瞬間から、汚い言葉が飛び出してきた。

「みっちー、やるぅ!」

「みっちー?」

「今の子。みっちーこと、美知香(みちか)ちゃん。趣味はボクシング。ムカつく奴には拳で語る武闘派」

「…………それもうただの暴力だよ……」

「で、こっちが恋敵の(さとる)君」

「恋敵の……くん?一応、聞くけど、みっちーが狙ってるのは――」

時田(ときた)常務だよ?あ、ほら、このイケメン」

男か。

「悟君は何?」

女の恋敵に男っておかしくない?

『時田に近付くな!このブスっ!!』

揃って口悪いな。

「時田常務と旧知の仲……って設定のカレシ。あ、そう言う濡れ場はないから。期待しないでね」

してません。

洸祈はにししと全く堪えきれていない声音で煎餅片手に笑う。

俺は洸祈に対してのみゲイであり、はっきり言って、男同士のあれこれは興味無い。そりゃあ、あれこれの知識については興味があるが、他人の行為そのものに興奮を覚えるかと言えば、全くない。ゲイとは言わないのかな?しかし、別に男同士でなくても、男女でもそうだ。なんだろう。独占欲が強い分、相対的に一般的な性欲が減っているというか……洸祈への想いが特別なだけなのかも。

洸祈も俺への感情がそうであればいいのに――なんて。我儘か。

「洸祈」

「んー?」

目線はテレビに釘付け。

俺は横からそんな彼の髪を耳に引っ掛ける。しかし、短い髪は直ぐにはらりと耳から落ちる。洸祈の頬をさらりと撫でる髪。

ふふっ。

洸祈が首を竦めて笑った。

「くすぐったいよ」

「眠たくなっちゃった……夕方になったら起こして」

「ん。分かった」

下からの熱で程良く温まった炬燵テーブルに頬を乗せると、頭がぼーっとしてきた。洸祈が動く気配がし、テレビの音量が下がる。ずずっと茶を啜る音がし、炬燵とは別の、柔らかな温もりと共に頭をゆっくりと撫でられる。

「お疲れ」

消え入りそうな声が――眠たくて意識が遠のいているせいかもしれないが――愛おしい彼の声が聞こえた気がした。





朝の7時。

居住区側のインターホンが鳴った。

「こんな朝早くから誰だろう?」

「さあ?」

そう言って黙々と口を動かす千里(せんり)は勿論、来客に対して動く気配がないので、俺が玄関に向かった。

金柑が遅れて付いてくる。

「どちら様………………」

ドアを開けると、『彼』がいた。

白銀の髪に黒い目。深緑のジャンパーを着込んだ男。

「あ、陽季さん」

ご飯茶碗と箸を持った千里がリビングからこちらを覗き、来訪者に真っ先に声を掛けた。陽季さんも俺の肩から千里を覗き込むと、「おはよう、千里君」と爽やかな風を吹かせながら挨拶を返した。

「おはようございます、陽季さん。中へどうぞ。温かい飲み物用意します」

「おはよう、(あおい)君。でも、気にしないで。用事済んだら直ぐに仕事に行くから」

用事とは一体。

「洸?」

「うん」

陽季さんが我が家に来る理由は決まって洸祈なのだが。

洸祈は昨日、早い時間から陽季さんに会いに出掛けて行き、夜な夜な帰って来た。

で、今は――

「洸なら部屋だよ」

いつもならうつらうつらしながらゆっくり朝ご飯を食べ、テレビを見ながらソファーでぐーたらしているが、今朝はさっさとご飯を食べて自部屋に戻って行った。特に理由も聞いていないのに、洸祈は「する事あるから」と言ってリビングを出たのだ。

「お邪魔するね」

陽季さんは一瞬、険しい表情を見せると、靴を脱ぐ。そして、真っ直ぐ洸祈の部屋へと向かう。

「…………怒ってる?洸、何したの?」

「それを知ってるとしたら金柑だな」

くぅん。

洸祈と一緒に陽季さんに会いに行った金柑はつぶらな瞳で俺達を見上げて鳴いた。多分、その鳴き声には意味は無い。

「見に行こよっと。洸が怒られるのウケるし」

「…………確かに気になる」

陽季さんは洸祈を甘えたな猫みたいにする。ちょっとやそっとじゃ怒らないし、一途だし、言葉がなくても洸祈の望みが分かるし、それを叶えてくれる。怒ったとしても、洸祈の為を思ってだ。

運命とか言う柄じゃないが、彼は間違いなく、洸祈の運命の人。洸祈には陽季さんが必要だ。洸祈の方がやらかしたに違いないだろうから、謝らせないと。

俺は軽やかな足取りの千里を追い掛けた。


琉雨が洗面所の方から洸祈の部屋を伺っていた。隣には彼女に体を洗って貰った子犬モードの伊予柑だ。

旦那様、何したんですか?――と言いたそうな顔が野次馬の俺と千里を見詰める。

「洸祈、開けて」

ガチャガチャ。

陽季さんが洸祈の部屋のドアノブを何度も回す。

どうやら、部屋の鍵が掛かっているらしい。

「あれは……悪い事をした自覚があるに違いないね」

にしにしと歯を見せて笑う千里。

「洸祈!今すぐ開けるんだ!」

陽季さんが珍しく怒鳴り、琉雨が顔面蒼白でわなわなと震えている。大好きな旦那様と大好きな陽季さんの喧嘩に何をどうしたら状態なのだろう。

「洸祈!!」

「あわわわ、だ、旦那様ぁ、何したんですかぁ」

嗚呼、琉雨が泣きそうになっている。というより、涙目だ。

ドアを壊す……はしたくないし。

でも、陽季さんはカンカンだし。

どうしたらいいんだ。


『あ、まっ、駄目っ!!』


その時、洸祈の悲鳴と共に、ドアが内側から開いた。

「開けるな!(くれ)っ!!!!」

パジャマ姿の呉が開いたドアの前に立っていたのだ。奥からは洸祈の声が。

「僕は琉雨姉ちゃんの意向に沿ったまでです。そうしろと、洸兄ちゃんが言ったんですよ?」

無表情で言ってのけ、呉は「さぁ、どうぞ、陽季さん」と陽季さんに場所を開ける。

「あ、ありがとう。呉君」

「あまり、琉雨姉ちゃんを心配させないでくださいね。まぁ、洸兄ちゃんのせいだとは思いますが」

「うん……ごめんね」

陽季さんとの喧嘩に関しては全く信用されていない洸祈。双子の弟である俺も信用してないから仕方がない。

千里が素早く場所を移動し、俺も遅れまいと俺は大股で歩いた。


「裏切り者っ!!呉の馬鹿っ!!」

「洸祈!!呉君に怒るのは筋違いだろ!怒れるもんなら、俺に怒れ!」

「ッ…………!」

怒れないのか。

「洸、それ、ズボン?ズボン抱いてるの?」

確かに、パジャマのままの洸祈がズボンを抱き枕の様に抱えながらムスッと膨れていた。

千里と違って服装云々を気にしない洸祈は衣類の種類も少なく、普段みんなの分の洗濯をする俺は洸祈が持っているズボンを熟知している。

あれは誰のズボンだ……?

「あげるとは言ったけど、寝てる俺から勝手に奪うって有り得ないよね!」

「え?」

陽季さんは今、何を言った?洸祈が奪った?何を?

「いいだろ!熟睡してて起こすの忍びなかったし、炬燵で暑そうだったし。陽季の為を想って――」

洸祈は今、何を言った?暑そうだから奪った?何を?

「そう言うことか!そのズボンは陽季さんの体臭の染みた蒸れズボンなんだね!」

千里が犯人の分かった探偵さながらに手のひらに拳をぽんと乗せた。そんな彼を洸祈がキッと睨み付ける。しかし、千里はしたり顔で強気だ。冷静になった洸祈に後で怒られるパターンだな。

「洸祈、寝てる陽季さんから勝手にズボン脱がして奪ったの?」

「違う!くれる約束してたから!貰ったんだ!」

どうなっているんだか。

勝手に脱がしてまでズボンを貰うのも意味分からないし、陽季さんからズボンを貰う約束をしたのも意味分からない。

ズボンが何かの隠語ならともかく、洸祈が抱いているのはただのズボンだ。それも陽季さんのズボンだ。

「チッチッチッ。分かってないなぁ、あお」

得意げな千里が無断で俺の頭の中を読み取って答えてくる。

「好きな人の匂いの染み付いたズボンだよ!?喉から手が出るほど欲しいに決まってるじゃん!僕みたいにあおの部屋行けば体臭嗅ぎ放題ならともかく、陽季さんに会えない時の欲求不満はどうしたらいいの!?温もり……せめて、匂いがないと!」

そう力説する千里に、俺は開いた口が塞がらないし、陽季さんも目を見開いて唖然としているが、洸祈だけはうんうんと頷いていた。

いや、違う。

琉雨も「そうですよ」と頷いていた。

「だけど、同意のない脱衣はダメだよね。紳士じゃないよ」

しかし、紳士じゃない千里が陽季さんの味方もする。

「やだなー、あお。僕らは同意の上じゃない?君の好きなあれよあれよの間に、でしょ」

好きじゃないし、勝手に俺の頭の中を読み取るな。

確かに、「いいよね?いいよね?」としつこい千里に「分かったから」と返事してはいるが…………やっぱり、俺、流され過ぎだよね。千里の良いようにされてる気がする。

「返して」

陽季さんがむんずと洸祈が抱くズボンを掴んだ。

洸祈はハッとすると、懐に隠すように背を丸め、直ぐに防戦体勢に。ズボンへの執着が双子ながら、気持ち悪い程だ。

「くれるって言った!泥棒!」

「あげる前に泥棒したのはお前だろ!」

正しくは強盗だろう。

陽季さんは問答無用でズボンを強く引き、大切なズボンを傷付けまいとする洸祈はあまり力を入れられないのか、力負けしている。徐々に奪われるズボンに洸祈は泣きそうな顔をして対抗するが、珍しく怒る陽季さんにそんなのが効くわけはなく……。

「謝るから!俺、謝る!だから、返してよ!」

「今更謝っても遅いんだよ!」

いつもなら土下座して謝ってなんとかなるところだが、今回は駄目らしい。ズボン以外にも陽季さんの譲れない何かに触れてしまったのだろうか。

「はわわわ……あ、葵さん……」

「あお……今日の陽季さん、強くない?」

琉雨も千里も俺にヘルプを頼むが、限度がある。

ズボン強盗は俺には手に負えない。

「やだ!やだ!はるのズボンないと冬乗り切れない!お願い!何でもするから!」


「おやぁ?」

と言ったのは千里。


しかし、そんな彼の捨て身の覚悟も虚しく――やけくそかもしれないがー

「俺も忙しいの。仕事なの。折角のお休みにお前が来てくれたのは嬉しかったよ?いくら大掃除の邪魔されようが、一緒に居てくれるだけで俺は幸せだし」

「俺も陽季大好き」

洸祈は緩んだ陽季さんの手からズボンをすかさず抜き取り、腹の下に隠して蹲る。

「起こしてねって頼んだのに、起こさないどころか、俺のズボン奪って帰ってるんだよ?お前の分の夕飯も準備してたのに。お前の好きな料理作ろうって……」

「……………………………………」

洸祈は何も言わない。

そんな彼の後頭部を見下ろし、陽季さんは出入口を固める俺達を振り返った。怒ってるような悲しんでるような寂しそうな顔。

千里が咄嗟に俺の背後に隠れた。

「お邪魔したね。……帰るよ」

「あ…………」

俺は何も言えない。

陽季さんなりの目一杯の譲歩が見えたから。

「…………あう……」

琉雨が千里の背中に隠れ、俺達の横を陽季さんが静かに歩いて行った。

「………………………………あお、怒ってたよね?いいの?」

俺に言われても、だ。俺が謝っても逆効果だろう。

「僕は本物に変え難いものはこの世にないと思いますが?」

冷静な声音で丸くなった洸祈の前に立つのは呉。

「お邪魔しました」の言葉とドアの閉まる音が。俺達には関係のない話、と言うより、関われない話。だけど、俺達は家族として気が気でなかった。

「洸兄ちゃん、言いたいことは口で言わないと」

「………………ってる」

「人が言葉を持つのは必要だからです。態度で分かるなら言葉なんていりま――」

「分かってるって!!!!」

なんて速さかと思った。

瞬きの間に洸祈がベッドから俺の真横に。振り返った時には翻ったズボンの裾が一瞬だけ見えた。





「俺は甘やかし過ぎ……洸祈を甘やかし過ぎ…………」

でも、怒り過ぎたかも。いやいや、ズボン強盗されたら怒って当然じゃん。

間違っても、二之宮に声高々に「君ってさぁ、崇弥にやたら甘いよねぇ。嫌われたくないんでしょ。僕は嫌われたくて厳しくしてるのにねぇ」と言われたのをふと思い出したからじゃない。

「陽季!……待て!」

「………………」

カバンを掴まれた。

振り返ると、ズボンをマフラーにしたパジャマ姿の男がいた。

兎さんパジャマと裸足にサンダルだ。

色々つっこみたいが、そこはグッと堪えて、ただ通行人が現れないことを祈った。

「何?」

「……っくし…………ぇぁ……」

「風邪ひくだろ」

休みの日ならいくらでも看病出来るが、今日は仕事があるのだ。風邪をひかれるわけにはいかない。

俺はジャンパーを洸祈の背中に掛けた。

俺は少し肌寒いが、怒った分、体は温かいし、仕事中の寒暖差に耐えられるよう3・4枚は着込んでいる。

洸祈は鼻頭を赤くして、「ありがとう」と笑うと、ジャンパーに袖を通した。

「陽季……ごめんなさい……」

俺がジャンパーのジッパーを上げていると、俺の頭を撫で回しながら、俺の耳に湿った吐息を吹き掛けて謝罪する。

「今更謝っても遅いんだよ?」

「……………………俺……陽季のこと、いい加減になんかしてない」

知ってるよ――言いたそうになる口をどうにか閉じた。俺は洸祈を甘やかしたりなんかしてない。

「…………陽季良く寝てたから…………だから……した……」

ズボン取った?

「……………………やっぱり寝てる時って駄目みたい。気持ち良くなかった?」

……………………………………………………洸祈は素面と欲求不満の境目が分からない。真顔のままプツンと糸を切るんだから。

「俺が寝てる時に襲ったの?」

「うん」

犯罪者じゃないか、この子は。

だけど、今朝はどうだったっけ?違和感も別に……夢も覚えてないし……損したな。

「一応、陽季の反応してたけど……手と口で――」

「ストップ!ほら、店に戻るよ」

朝っぱらの住宅街で何を言うんだか。通報されてしまうだろう。

「はる、ズボン返す……気持ち良くさせたお礼に貰って帰ったけど、気持ち良くなかったみたいだし……ちょっと使ったんだけどさ……」

「いいよ。ズボンはあげるよ。約束だから」

寒さで震える洸祈からマフラーを奪えるわけがない。それに、『使った』の意味を知るのが恐ろしい。もうそのズボンは洸祈のものだ。

「でも、何でもするって言ったよね?」

「あ…………ぅん」

ズルズルと音を発たせながらサンダルを引き摺って歩く洸祈はズボンに鼻を付けて俺の体臭を嗅いでいる。頬を火照らせて、風邪予備軍なのか、単に嬉しいのか。どちらであっても、俺は複雑な気分だ。

「じゃあ、今夜は起きてて。どんなに遅くなっても会いに行くから、絶対に起きてて」

「ん。お昼寝一杯して起きとく」

「次は二人で気持ち良くなろうね」

「うん?……俺のズボン欲しいの?これは駄目だよ。琉雨とお揃いのだから」

「…………お前はそうなるよね。気にしないで」

用心屋の居住区側のドアを開けると、リビングから葵君達がバタバタと足音をさせて現れる。揃って「仲直りしたの?」と訊きたいのを必死に抑える顔をさせていた。ついさっき飛び出したばかりの俺としては居心地が悪かったが、取り敢えず、肯定の意味を込めて頷くと、彼らは嬉しそうな顔でリビングに戻って行った。

洸祈が家族に愛されている証拠だ。

「陽季、これ返す。温かかった。仕事頑張って」

ジャンパーを返してくれた洸祈は俺の首に抱き着き、鋭い犬歯でマーキングした。仕事着の着物でも隠れるように鎖骨に近い辺りに小さく。

「これで良し。行ってらっしゃい」

「はいはい。行ってきます」

なんとも不思議な光景だが、今度は洸祈に見送られる形で、俺は職場へと向かった。



気紛れで我儘で自由な大型の猫。

だけど、俺はこの猫が堪らなく愛おしい。

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