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第23話「貴方は良い人、だけど! 大好き!」

当作品も、この話を入れラストまで3話です。

何卒宜しくお願い致します。

 激高したジャンさんに殴られた俺は、あっさり気を失ってしまった。

 

 前世の俺もそんなに頑丈ではないし、転生した俺だって、騎士爵家の生まれながら、華奢な魔法使い。

 だから、気絶するのも、無理はない。

 

 ジャンさんは、いきなり俺を殴り倒した後……

 号泣するジョルジェットさんを連れ、あっという間に店を飛び出してしまう。


 こうなると……

 合コンは、当然中止となった。

 

 リンちゃん達、残った巫女さんの迅速な指示の下で……

 俺が負った怪我の治療を急ぐ為……

 ジェロームさんは、俺を担ぎ、急遽、創世神教会へと駆け込んだのである。


 ジャンさんには、力いっぱい殴られたらしい。

 だが、幸い、俺の頬骨は折れていなかった。

 

 思ったより軽傷だった事。

 加えて、教会の巫女さん達の懸命な治癒魔法のお陰もあって……

 痛みは、ほぼ取れたのである。

 

 ジェロームさんは、敢えて、ジャンさん達ふたりの行方を追わなかった。

 

 ジャンさんひとりならともかく、ジョルジェットさんを連れて、少なくとも王都の外へは出られない。

 それにジャンさん自身の、律儀な性格をジェロームさんが見極めていたのである。


 プレイボーイとも言えるジャンさんの性格が、律儀という表現が妥当かどうか、一部の女子からは、疑問の声があがるかもしれない。

 だが、騎士隊の先輩であるジェロームさんから見て、ジャンさんは決して卑怯な人間ではないという判断を下していたのだ。


 気絶した俺が、目を覚ましたのはジャンさんに殴られて3時間後の事。

 既に巫女さんたちの治療は終わっていて、残りの合コンメンバーは夜中なのに皆、残っていてくれた。

 メンバー全員、ジャンさんの、完全な勘違いで俺が殴られた事を知っている。


 まず、言葉を発したのはジェロームさんだ。


「クリストフ、どうする? 君にはジャン・アズナヴールを暴行罪で訴える権利もあるが……」


 しかし……

 俺は黙ったまま、手を横に振った。

 首を振るのは痛かったし、喋るのもまだ億劫だったからだ。


 俺の返事を見たジェロームさんは、僅かに微笑むと、俺に頭を下げた。

 これは、凄い事だといえよう。

 ヴァレンタイン王国の、名門貴族カルパンティエ公爵家の、それも御曹司が深く頭を下げたのである。


「ありがとう! 騎士隊の先輩として恩に着る。俺が約束しよう! 君の気持ちに報いるよう、奴には謝罪と補償をしっかりさせるからな」


 ジェロームさんはそう言うと部屋を出て行った。

 シュザンヌさんも、俺へ慈愛の視線を向けると、一緒に出て行く。

 どうやらふたりは……とても仲良くなったみたいだ。

 ああ、良かった!


 次に言葉を発したのが、巫女チーム最年少のステファニーちゃんだ。


「貴方と話せなくて凄く残念……フルール先輩とお幸せに」


 席順が変われば、次に話す筈だったのがステファニーちゃんだ。

 ほんの少しだけ……俺に興味があったのかも。

 

 そんな俺を、リュカは羨ましそうに見ていた。

 

 ステファニーちゃんが出て行く後を、慌てて追いかけて行ったから……

 よほど、彼女に未練があるらしい。

 

 だが、あいつは……

 もう少し気配りしないと、幸せにはなれない気がする。


 これで部屋に残ったのは、フルールさんことリンちゃんだけだ。

 俺がホッとして、力なく笑うと、リンちゃんの目には大粒の涙が溢れて来た。


 そして……「大好き」と、声を出さずに囁いたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 結局、俺はそのまま、創世神教会に泊まった。

 

 ジャンさんに殴られて痛い思いをしたけれど……

 禍を転じて福と為す。

 ひと晩、リンちゃんが俺をつきっきりで看病してくれてふたりの絆は更に深まったのである。

 

 聞けば、リンちゃんは他の巫女さん達へ、

「自分が残って、徹夜で看病します」と宣言したらしい。

 それも、有無を言わさない雰囲気で。

 だからステファニーちゃんは、俺達へ「お幸せに」なんて言ったのだろう。

 

 俺はリンちゃんから、その話を聞いて本当に嬉しかった。

 

 女の子から、こんなに優しくして貰ったのは生まれて初めてだし。

 恥ずかしいけど……嬉しくて、泣いてしまった。


 リンちゃんも俺に「大好き」と言った後で、泣き笑いしていた。

 俺が親身になって、後輩のジョルジェットさんの愚痴を聞き……

 一生懸命に、力付けたのを、しっかり聞いていたから。

 

 治癒士の仕事で、相当ストレスの溜まっていたジョルジェットさんは、俺に優しくされ、嬉しくて、つい号泣してしまった。

 その様子を見て……

 自分の『彼女』を悲しませたと、勘違いしたジャンさんに、俺は殴られてしまったのだ。


 フルールさんの記憶を持つリンちゃんも、ジョルジェットさんと全く同じ悩みを持っていた。

 だから、悩める治癒士の気持ちが、良く分かるという。

 

 ああ、俺もジャンさんの気持ちが分かる。

 とんだ勘違いで、やり方がまずいけど……

 それだけ、ジャンさんの、ジョルジェットさんへの愛は、果てしなく深いって事だ。


 そんな俺を見て、リンちゃんは優しく微笑む。


「トオルさんは、クリスになっても変わらないのね。私が思った通り、優しくて他人の世話ばかりする、お人よしで、本当に良い人……」 


 『良い人』と呼ばれ、俺は一瞬緊張した。

 そのあとに、大概、女性からは「お友達には、なれそうね」

 って、台詞セリフが定番だったから。


 しかし、そんな心配は杞憂だった。

 俺の乾いた唇に、リンちゃんの柔らかい唇が、優しくそっと触れたのだ。


 情感を込めてキスしてくれた後、リンちゃんはまた笑顔で「大好き!」と言ってくれた。

 今度は、はっきりと、声に出して言ってくれたのである。

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