【貴方に】勝手な村人共に告げる!貴様らに平穏なぞ有りはしない!冒険者もクソ喰らえ!【呪詛を】
ある村に、一人の狩人がいた。
そいつは毎朝森に行っていた。
そいつは必ずフォレストボアを担いで帰ってくる。
そいつは自分の分を確保した後、村に還元する。
村では週末お祭り騒ぎ。
その村の噂を聞いた隣町の者達がおこぼれ欲しさに移住してきた。
しかし、2年前から姿を見なくなった。
村人達は心配になり探しに出かけた、ただ自分達の腹の足し欲しさに…。
それから3年後、森の奥地でそいつは発見された。
切り裂かれ血塗られたアイツの愛用していた肩掛けと…黒く変色した血の海と共に…。
誰もが、アイツの死を嘆いた。ある者が「隣町の冒険者が怪しい」と言うと、村人総出で村にいた冒険者等を取囲み罵声を浴びせた。「お前らさえ居なければアイツは死なずにすんだんだ!」と…。
しかし、村人達は勘違いしていた。
アイツの死体が見付かっていないのに、死んだと勘違いをしていた。
アイツは生きているのだ。
そう、私だ…この書記の記入者こそ、自分の死を偽装したアイツの正体なのだ。
なぜ自分の死を偽装したのか、それは「飽きた」から…
何故、奴等に獲物を分け与えなければならんのだ?
最初は、彼等が今にも死にそうに痩せていたから分け与えていたが、半年たった頃から彼等は普通に生活していたではないか、なのに『この村で暮らせるのは、ワシ等が土地を分け与えているからだ、だからオマエは獲物を分け与えなければならんのだ!』とか…、とうとう頭沸いたのか?
というか、土地は分け与えてもらってないからな…俺が汗水垂らして開拓したのに…後から来て我が物顔しやがって…
だから、約6年前から狩りをしても角兎しか捕らず、オマケに森の奥地で暮らしていただけだ。
奴等が見つけた、[血塗られた肩掛け]と[黒く変色した血の海]な…
[血塗られた肩掛け]角兎の解体後内臓を入れる袋が無かったからしかたなく使っていたモノだ。
[黒く変色した血の海]解体現場ですね。何匹の角兎があの場で捌かれたのかは[血の海]が語るだろう。
彼等は私の顔もハッキリとは覚えていないであろう。常に仮面をしていたからな…。
森の緑に隠れるために、『オマエはエルフか?』と誤解されそうな装備色で弓を担いでいるのだから。
弓で仕留めると、肉と素材の質が落ちにくい。まぁ、最初の頃はズタズタの穴だらけだったものの、成長したものだ。
たまに、あの装備で町に売りに行っていたが…あれから6年間…行ってないな。
あ、そうそう、肩掛けはスキルを隠すために使っていた普通の肩掛けだから、売っても価値ないからな。誰が血だらけの鉄臭い肩掛けを買い取るのでしょうか?
久々に町に素材を売りに行ったら、エルフだと勘違いされた。
ワタシ ニンゲン エルフ チガウ
その日、大量の角兎が肉屋や町の料理屋に運び込まれた。町人は値落ちを待っていたようだ、我先にと肉屋に駆け込んでいた。
その日私は…森を、村を、捨てた。
旅に出ます。
後から来た奴等が我が物顔に住み込めない場所を探して…
―Fin―
―はぁ、こんなもんで良いかな…。匿名・読み切りの掲載を希望…っと、封筒に入れて…『我が書を彼の者に送れ!』【レター:強制】
さらば、我が黒歴史よ…戻ってくんなよ。