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8話

  果たして、世界が平和であり続けたことなどあっただろうか。平和が訪れた事はあっても、その平和がいつまでも滞在してくれたことなどない。未来もない。


日本は平和だ、なんてボケた事と言う奴もいるが、ニュースを見たまえ、事件が起きない日などあったか? 殺人、窃盗など問題は毎日起こる。そもそも露見していないのだってたくさんある。家庭内でも、近所でも争いはあるだろう?


ここで考えてみよう、平和の定義とはなんだろうか。私は、平和っていうのは、なんもない事だと思う。問題が起こらず、解決も解消も無い。そんなユートピアがあるわけないだろう。


っと、何が言いたいかって? 私の平和が来なかったんだよ。



昨夜の祈り虚しく、私は担任教師からクラス委員長とともに翌日の昼休みに呼び出されたのだった。



それは四時間目、担任の受け持っている日本史の時間のこと。


「委員長と副委員長の二人で昼休み、ちょっと俺のとこまで来てくれないか」


と、クラス全員が聞いている前で言ったのだ。絶対『ちょっと』の問題ではないと、私の最近よく当たる勘がまたしても、アラートを鳴らす。


それにしても、こんな場面で、こんな事を言うなんて断りづらいじゃあないか。先生が頼み込んでいる形のため無下にしたら、私の人間の小ささが皆に伝わってしまう。用事を無理やり作らない限り、脱出は不可能だ。チッ、私が嫌々この職を引き受けたことを知ってる癖に、早速仕事を与えてくれるとは。しかし、


「えっと、みゃあ、はい……」


またしても、なし崩されてしまった。クラスの目線も同情の念が読み取れる。


特に受ける理由もないが、断る理由もないので、ここは受けるしかないのだろう、と、私は諦めましたよ。


ちなみに、あいつは


「承知しました!」


と、この後の面倒ごとを想像もしていないのだろう、そんな元気の良い返事をした。


というか、昼休みなんだから休ませてくれよ。なんのための休み時間だよ。あれ、もしかして学校て、ブラックなんじゃないか? 授業では、先生が強制的に生徒に音読させたり(回避不可)、集会という名の、偉い人の長話をただ聴くだけで数十分立ちっぱなしの強制行事が結構頻繁にあったり(倒れる事で途中離脱可ただしその後周りから奇異の目で見られる)。自分が使ったこともない教室を掃除させられて、給料も出ないし。みゃあ、体罰は減りつつあるけれど。



そんな学校の闇に気づいたところで、授業が終わり、昼休みのチャイムが鳴ったようだ。(授業はそもそもほとんど聞いていなかったが)


今日は勝手にどっか行くなよ、この野郎と、昨日の怒りを思い出しつつ隣を見ると、まだいる。良かった。行動を監視できるだけでもありがたい。だって、一人だとまたセクハラするかもしれないし。原因を殺せば問題は起きない。変態は皆で監視しようね。


「じゃあ、行こっか」


バカなこと考えてて、先に言われててしまったが、それは別にいい。


それじゃ向かおうか、職員室へ。

初仕事だ。



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