7話
「ご飯できたわよー」
そんなお母さんの包まれたような柔らかな声で目覚める。
どうやら、ちょっとだけでも眠れたようだ。夢を見ていないからノンレム睡眠だったらしい。ちなみに、ノンレムの『レム』っていうのは、 rapid eye movement の頭文字をとったもので、某鬼女が眠っているというわけではないんだよ。皆も夢見てるやつがいたら目をこじ開けてみよう!
私は、こんな変なことを考えているぐらいには寝惚けており、眠い目を猫のように擦りながら、階段を降りていった。
お母さんが作ってくれた夕飯をいただく前に、特に見たい番組もないがテレビのリモコンを操作する。今日の昼ごはんは仕方ないけど、やはり食事は賑やかな方がいい。
クイズ番組、アニメ、ドッキリ番組など色々あるが、私は、環境問題を扱った番組を選択した。
どうやら、環境汚染や地球温暖化の被害が酷い地域に有名人が赴いて、専門家の意見を聞いて、最後に「私達の地球を守ろう」とか言う、よくあるやつだ。
番組では、人気若手芸人が、小学生が絵の具を混ぜたような色の川で「押すなよ」のフリをして、笑いを取っていた。ワルい子が真似したらどうすんだ。
CMが終わり、次は売り出し中のアイドルがホッキョクグマを見に行くみたいだ。実はこのアイドル、私と同い年で密かに応援してたり、してなかったりする。もちろんヒトではない。
正直私には良さは分からないが、いや分かりたくないが、一部のマニア(ケモナー?)に受けがいい。
取り敢えず、彼女は氷が溶けてしまい行き場を失ったクマがどうしているか調査しているようだ。途中、現地の偉い人にグリズリーとホッキョクグマの雑種を紹介されて、最後には発見できたようだ。
結局、この番組で世界は何か変化するのだろうか。確かに、これを機に、何かしらしてみようと思う人もいるかもしれない。クーラーの温度を下げたり、無駄な電気を消したり。
塵も積もれば山となる。でも、そんな山、風が吹くだけで無くなる。山にもならずに、なれずに。皆がちょっと頑張ったところで、何も変わらない。何も変わらなかったんだ。
人口増加で家を建て、エネルギー需要増加でダムを建設し、石炭を燃やす。そんな事で小さな努力は無駄になる。
それに、資源は有限なのだ。いつかは終わりが来る。頑張ったところで、最後は皆死ぬ。意味なんてあるのだろうか。
だから、私はエコな事は積極的にはしない。たまにするぐらい。みゃあ、出された料理は残さないけど。
地球のために生きるのではなく、私は私のために生きる。周りのことを考えずに生きる。他人の気持ちを考えずに生きる。別にそれで良心が傷つかないわけじゃない。私の考えは正しくない事もわかる。
でもいいじゃないか。頑張って仕方ないのなら、頑張らなくても仕方ないでしょ。
と、こんな暗いことを考えているのは、やはりストレスがたまっているからに違いない。原因は主にあいつのせいだろう、特に副委員長の件。本当に面倒だ。
お風呂にでも入ろうか。シャワーで汚れを落としたい。落とせないものもあるが、それはあとで消せばいい。
少し長風呂になってしまい、お母さんに怒られてしまった。
お風呂から上がると、スマホのアプリで友達とやり取りして歯磨いて寝ることにした。みゃあ、いつものことか。
本日二度目の就寝に入る。私は寝るのが好きだ。そこでは何も問題なく自由に過ごせるからだ。夢の内容にもよるけどね。
そして祈る、明日は平和に過ごせますように。