猫の日常の景色
「シナモン、ご飯だよ。」
ワシはいつものようにカナタに呼ばれ、キャットフードなるものを食べる。
「おお、これは新しい味。、そしてうまい。」
「今日はシナモンの食欲がちがうなぁ。」
こいつはカナタの父親ゲンである。
「お父さん、わざわざ新しいキャットフードを買ってきた甲斐があったね。」
気付けばご飯が無くなっている。
「ニャーニャー」
カナタにおかわりを要求する。
「あんまり食べると太るからダメ。」
カナタはケチである。
「ニャー」
仕方ないからゲンに要求する。
「カナタの言うとおりだぞ。」
二人ともケチである。
「ニャーニャー」
(仕方ないから散歩にでも行くニャ。)
「カナタ、シナモンが外に行きたがってるぞ。」
「今開けるよ」
窓を開けてもらってそこから出る。
歩き続けて30分。
「よぉシナモンじゃねぇか。」
「その声はボスとネロじゃニャいか。」
ネロとボスは野良猫であり、よく一緒に遊んでいる。
二人には野良猫だと話している。
「シナモンは散歩かミャ。」
「そうだニャ。」
「ならば一緒に遊ぼうぜ。」
ボスがいつもどうりワシを誘ってくれる。
「まあ暇だししょうがニャいニャ。」
「お前は相変わらず素直じゃねぇな。」
「素直になれと言われても。」
平然とワシの照れ隠しを破るボス。
すると突然「ボス、シナモン、逃げろ!」
ネロが大声でワシらに言った。
「またか、野良猫3兄弟、あっちいけ。」
奴は猫嫌いのおじさん。
通称、猫よけのオヤジ。
近所の野良猫の中では有名人である。
「今度こそは容赦せんぞ!」
だが当然猫のスピードにはかてず、「覚えてろよー!」
心から言っていないのが分かった。
「ここまでくれば大丈夫かミャ。」
「いい迷惑だよな、シナモン。」
「今度合ったらひっかいてやろうかニャ。」
「やってやれ、シナモン。」
「やめとけ、シナモン。」
二人は同時に言った。
「ワシはひっかくつもりはないニャンよ。」
「なんだよ、男らしくねぇな。」
「怪我をさせたら猫としてどうかミャ。」
「た、確かに。」
いつもは口げんかで負けないボスが負けた。
「しかし人間は身勝手だミャ。
勝手に飼っておいて突然捨てたり、自分は虐待してやり返したら怒って。」
ネロは元飼い猫である。
「まあまあ落ち着けネロ。」
「これが落ち着いていられるかミャ。」
「ネロの気持ちも分かるけど一旦落ち着いて話そう。」
「ボス、シナモン・・・ごめん。」
「分かればいいんだ。
まああんな事があったらそりゃそうなるよな。」
過去
「ネロ!お前はいつもいつも飯食っては寝て飯食っては寝て、少しは働け。
働かないお前なんていらない。」
「人間は最低の生物だミャ。」
「俺もそう思う。」
ここで同意してしまったらカナタを傷つけることになる。
「人によってはそうだと思う。」
「まるで誰かをかばってる言い方だミャ。」
「シナモン、お前まさか野良猫じゃないのか。」
「そ、そんな事ニャいニャ。」
「図星だな。」
「だ、だって嫌われると思って。」
「そんな事あるか。
俺たちは野良猫のシナモンを好きになった訳じゃなく、
猫のシナモンを好きになったんだ。」
「シナモンはシナモン。
野良でも野良じゃなくても友達だし、好きでもある。」
「二人とも、ありがとう。」
「飼い主さんを大切にしろよ。」
「ニャー」
(ただいま。)
「お父さん、シナモンが友達連れてきたよ。」
「カナタ、入れてやれ。」
「ミャー」
(お邪魔します。)
「何?この子達。」
彼女はカナタの母親。
「お父さん、この二匹も飼っていい。」
「ちゃんと世話するならいいぞ。」
「ミャーミャミャ」
(ありがたい。)
とてもありがたい事である。
「信じられないミャ。
また前のように捨てられるのがオチミャ。」
「そんな事無いニャ。
カナタはそんな人間じゃないニャ。」
「俺もそう思うぞネロ。
信じてみようぜ。」
「・・・分かったミャ。
信じてみるミャ。」
1ヵ月後
ネロもボスもすっかりこの生活に慣れてきた。
そしてご飯をたべ、散歩をし、そして寝る。
こうして今日が始まり、終わっていく。
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