第一部『合コン』〜4〜
「で、どうだ?」
立野が2杯目の焼酎、緑茶割りを口に運んだ。
「どうってなにがですか?」
翔輝が三杯目の生ビールを煽りながら答える。
「理恵子ちゃんと笹沼ちゃんだよ。どっちか気に入ったか?」
翔輝は目を大きく見開いた。わかりやすく言えば丸くしたというやつか。
「俺は人数合わせでしょ?気に入るも糞もないじゃないっすか!」
立野がおかしそうに笑う。
「人数合わせでもせっかく合コン来てるんだ。誰かと仲良くならないともったいないじゃないか」
「そんなの凜が許さないっすよ」
翔輝が鼻で笑いながら煙草に火を点けた。
「・・・お前さぁ、凜ちゃんと別れられないのか?」
立野がグラスをテーブルに置いて、真剣な眼差しを向けた。
「別れられたら・・・こんな人生歩んでませんよ。今だって、ホストやってたかもしんないっすからね」
翔輝は少し俯いて小さく笑った。
「そう・・・だよなぁ・・・でもさ、もしお前が誰か好きになって、その子と一緒になりたくなったらどうすんだ?」
「それはないっすよ。もう俺はあの子以上好きにならない。あの子を忘れられないんすから・・・凜と付き合ってから、ますますその気持ちが強くなって、今の凜といるのは苦痛ですけど・・・逃げられないって事実があるおかげで、あの子を忘れられますからね」
「・・・いつも話してる子か。わかったよ!緒方ともう一人が来たら、すぐお開きにしよう。もともと、お前の為だったからな、この合コンは。まぁ、理恵子ちゃんが緒方を気に入ってたから、その気持ちは優先するけどね」
翔輝はまた小さく鼻で笑った。
「・・・なんか一言欲しいっすね、そういう時は」
「先に一言言ったらお前断るだろ?だから笹沼ちゃんを紹介してくれって嘘ついて合コン組んでもらったんだ。で、一人あぶれるようにすればお前は断れないだろ?」
立野は口の端を吊り上げて笑った。
「そんなこと言ったんすか?じゃあ向こうは・・・」
「あのぶりっこ、今頃中年に気に入られてキモイとか言ってんじゃないか?」
翔輝は頭を抱えてため息をついた。
「立野さん・・・」
立野は含み笑いをしながら、
「まぁいいじゃないか。適当に緒方を紹介して帰ろう」
と言ってからグラスの中の緑茶割りを飲み干した。
今回は短めに終わりました。早くも百人近くの方に御覧になって頂いて、とても光栄です。少しずつ話は展開してきてますが、まだ本題には全然入っていません。先は長いですがお付き合いいただけると幸いです。感想・評価など、まだ話が短く、つけずらいと思いますが、なにか一言いただけると嬉しく思います。 では、これにて失礼させていただきます。