〜プロローグ〜
はじめまして、神越優と申します。
久しぶりに小説を投稿することになりました。
皆様のお目に止まり、大変光栄です。
さて、この小説はちょっと特殊な書き方で仕上げようと思っています。
主人公、その他登場人物の心情を、なるべく直接書かないように・・・と。
皆様それぞれに、それぞれの印象を持っていただけたらいいなと思いまして。
その辺りを理解していただいて、拙い文章ですが、読みづらいのを我慢して頂いて読み進めていただけると幸いです。
では、『恋に愛されない男』ご覧ください・・・
サクッ・・・サクッ・・・サクッ
細い細い、真っ直ぐな道。敷き詰められたアスファルトには、細い道の割りに車が通るせいか、タイヤの焦げ付いた跡や、小石が散らばっている。右を見ると、地方の駅の名前の由来にもなっている川が流れていて、反対側には、全国的にも有名な会社の工場が、音も立てずに静かに佇んでいる。
川岸には、多くの木が根を張っていて、その道は数多の落ち葉に埋もれてしまいそうだった。毎朝、工場の清掃員が、壁の外周を掃除するおかげで、落ち葉は道の脇に|除け≪のけ≫られている。
サクッ・・・サクッ・・・サクッ・・・
枯れ果てた落ち葉が踏まれて、その身を折られ悲鳴をあげる。それを面白そうに、寒さにより白くなった息を吐きながら、わざと落ち葉の上を歩く。
サクッ・・・サクッ・・・・・・・・
立ち止まり、お気に入りのメンソール煙草を一本取り出し、口に咥えてから百円ライターで火をつける。
・・・フゥゥゥゥ〜・・・・
すっかり白くなった吐息と、煙草の煙が混じりあい、少し乾燥してしまった唇から吐き出された後、北風に揺られて消えていく。
細く、少し垂れ気味の目をさらに細くして、雲ひとつ見えない青空を、男は見上げた。
20歳の冬、男は工場に勤めていた・・・