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融解の刻  作者: 川邊悠
1/1

最初の刻

初投稿。

あの日を忘れない。


私が私を捨てたあの日を、

けして忘れてやりはしない。








私はどうやら人としての感覚がズレているらしい。

世の中の女の子というモノは、小学生から異性を意識しているのだとは聞いた事はあるけども、20歳をとうに過ぎた今でも私が異性に恋する事は無かった。


それ以前に、

何故、私はこの世界に生まれてきたのか。

何故、彼らの娘として生まれたのか。

何故、女だったのか。

何故、男でなかったのか。


そんな考えばかりを生まれた時から持っていた。



別に両親が嫌いな訳ではない。


父親は一人娘である私を可愛がってくれたし、ものすごく過保護な所を抜けば穏やかで頼れる人だ。

母親もおっとりとしているが、私を含めて癖のある息子二人もしっかり躾けているのだから、父よりも強かかもしれない。

二人共、生まれた時から泣きも笑いもしない私を気持ち悪く感じる事なく接してくれている。


しかし兄達は違った。


私が生まれた当初は、両親が私に構いきりになった事に嫉妬していた。それは兄弟のいる普通の人間なら誰もが通る道だと理解していたから、別に気にしていなかった。



だが、私が成長するにつれ、彼らは私を気色悪いと拒絶する様になった。


そりゃあそうだ、私だって小学生になっても一切表情筋を動かさない人間を見たら気持ち悪いと思う。

思うけども、私には自覚が無かったから仕方ない。

今から可愛い妹でも演じようか?と思ったけど、そんな事急にしたら両親が逆に心配しそうだから却下した。


兄でも気色悪いと思うのだから、当然小学校の同級生もそう感じる訳で。

意味もなくワーワーキャーキャーするのが好きじゃなかったので、休み時間は本を読むか漢字ドリルか計算ドリル。

放課後は真っ直ぐ家に帰り予習復習。

休日は母親と買い物か、なければやはり勉強に費やした。

遊びをやんわりと避け続け、たまに教師に言われて外でドッジボールなどをしたけども、普段遊んでない癖に連戦連勝。それは球技で留まりはしなかった。


チート?いやいや努力の積み重ねですよ。


勉強というのは全て机にかじりついてしていた物だけじゃない。体育だって授業にあるのだからそれはもう体力作りと技術磨きをしました。

というより経験上、身体を動かす方が好きだし得意だ。

勿論、()と違って目的は違うけども、完璧を求めるのは私にとって使命の様な物だ。それによって多少生きにくい人生になろうがかまわない。


とまあ、そんな生き方をしていれば、集団行動が大好きな小学生は、同じモノじゃない違うモノに対して拒否感を感じて当然な訳で。

孤立するのも当然の結果だった。



あー、やっと1人になれた。


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