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白銀の残光 -pLatonic Clematis-  作者: BatC
第一章
33/94

転機

やすみが、ほしい、です

今日は武闘会、事実上の決勝である。勝ち残った四人から、今日の一戦で優勝者を決める。


戦闘方式は俗に言う、バトルロイヤルと呼ばれる物。四人によるフリーフォーオールだ。闘技場が無駄に広かったのは、コレをやる為だったのではないだろうか。


今日、不幸な事に俺は軽装だ。昨日の今日迄、俺は今日が準決勝、明日が決勝だと思い込んでいたのだが、今日係員に聞かされ、少し呆然としてしまった。軽装で乱戦ってかなりキツイぞ。


今日の服装は、仮面舞踏会にでも行くのか、という様な服装だ。適当な衣装、カルセラが、いらないー、と言ったドレスの一着、紫色のワンピースタイプの物。其れに仮面、靴は足に縛り付ける様に履いた革靴。手は服と同じく紫色のさらさらした感触のグローブ。バトルしに行く格好では無いことは確かだ。其れに上から黒いローブを被る。防御力はほぼ皆無。胴鎧は無事であったが、折角なので外した。防御は全て回避と、肉体強化術でやる事にする。


今日の今日まで、このローブを捲られた事は無い。昨日は怪しかったが、風圧でも捲れる事は無かった。運が良い。まあ、今日は邪魔だし、途中でポイとするかも知れない。


さて、今日の出場者だ。


一人目はお馴染み、獣人スィラ・レフレクス。こいつが一番厄介であると思う。明らかに此方を狙っているし。強いし。得物は大きな斧槍、リーチが長い近接攻撃が得意と。


二人目は鬼人族、俗にオーガと呼ばれる者だ。身の丈二メートル超え、棍棒を武器とする。基本的に意思疎通が困難で、ただ人を襲う存在かと思いきや、偶にコミュニケーションをとることが出来る者が居るという。で、そんな言葉が通じる者が頼んで出ているらしい、という事をツィーアが知っていた。あくまで噂らしいが。


三人目、浅黒い肌を持つ女。ダーク・エルフと呼ばれる種族らしい。流麗な剣捌きと身のこなしで、ここまであっさりと勝ち上がって来たらしい。よく分からんが。


四人目は勿論俺。当たり前。


試合が始まるのには未だ時間がある。一度此処を出てうろつくのもアリではあるのだが、如何せん予定をよく分かって居ない人間が下手に動いた結果、何を齎すかというのは容易に想像がつく。


よって、俺は動けない。悲しい。


あまりに暇なので、水魔術で一人遊びをしている。氷で何か、思いついた物を適当に作った。六角ボルトとか、ナットとか、精度を上げる訓練に丁度良い物を。


案の定、螺子が合わなかった。入らない。


何回かやり直してみても、一向に合わない。むしゃくしゃしてきたので、全て握り潰して砕いた。


よくよく考えてみれば、流石に螺子の刻みなんて覚えていないだろ、という事に気付いた。何を考えていたのだろうか、俺は。


他にもナイフで、氷の塊から何か彫れないかと思ってチャレンジしてみたりしたが、机と床に水溜まりを作ってしまったので断念した。


そうこう謎の悪戦苦闘をしている内に、時間が来てしまった様だ。


係員に連れて行かれる。うーん、俺は思っていたより不器用なのではないだろうか。


そんなもやもやした気持ちの儘、闘技場に降り立った。














今日をどれ程待ち望んだ事か!


少々邪魔者が二人程見えるが、あの娘と闘りあえるという事に変わりは無い。


眼中には正面、小柄な黒い影のみ映る。


視界の端に、鬼人や浅黒い肌の女が見えるが、取るに足らない。


自ずとハルバードを握る手に力が満ちる。


やることは簡単だ。邪魔な二人を即潰し、エリスとの純粋な殴り合いに持ち込む、此れに尽きる所。


私から見ると、オーガも、ダークエルフも大した事は無い。何方も瞬殺出来る。


が、正面、エリスだけは実力が掴めない。此処までの他の試合は見ていないが、勝ち上がって来て居るという事から其れなりには期待出来る、と己の理的な部分はそう告げる。


が、一方の己の勘が告げるのだ。此の者は強い、全力を出さねば敵わぬ、と。


体躯は小さい。が、其の身から滲み出る禍々しい覇気は隠し様が無い程だ。とても、十年其処ら生きた人間が放てる物では無い。


本当に彼女は何者なのだろうか。無理矢理この武闘会に出されていると思いきや、楽しんでいる節さえある。


自分と同類の匂いがする、という事だ。


無意識に唇を舌で湿らせながら、虎視眈々として死合の開始を待つ。


さあ、楽しい楽しい殺し合いだ。


無機質な鉄の仮面の奥、赤い瞳を見据えながら、にたりと笑うのであった。












闘技場に入ったのは、俺が最後であったらしい。入った瞬間、三人の他の参加者の視線が刺さる。


が、左右の二人の視線はあまり気にならなかった。それ以上に、物凄い形相で此方を睨む様に見ているスィラの視線が、全てを押し潰してしまっているからだ。


口元だけがにやけ、頬を紅潮させ、眼付きだけが悪鬼の形相。不気味な事此の上無い。顔立ちは本当にお綺麗なのに。いや、元が綺麗だから怖いのか、と一人でに納得する。


さて、どう闘うかだが、どう考えても一番厄介なのはスィラだ。其れとの闘いに集中する為、先になんとかして、ダークエルフ、オーガを潰しておきたい。まあ、この手の闘い方だと、一番最初から飛ばした奴が負けるのだ。最初はあまりヘイトを引かない様に立ち回り、他のが疲れた所で突っ込む、卑怯かも知れないが、其れが一番楽だ。理屈上なら。


理屈上なら、というのは、其れは元々のヘイト値を考慮していないからだ。スィラはどう見ても俺を狙っているし、他の二人の視線も、何気俺を狙っている気がする。言葉には出さないものの、侮っているのだろうか。まあ、俺小さいし。弱そうにも見えるだろう。先に片付けよう、とでも思って居るのではないだろうか。


俺が未だ明かして居ない手札は三つ。魔剣、念力、そしてオリジナル魔術。此れらを駆使すれば、スィラに勝つ事も可能であるとは思う。だが、剣術に関して、俺は素人に毛が生えた程度、念力も単一目標にしか使えない等、この乱戦では少々決め手に欠ける。やはり、序盤は火力で押させて貰おうか。面白くも無いが、此れしか無いのだから仕方が無い。


身体に魔力を満たし、肉体強度を目一杯高める。防具もクソも無いので、此れが最終防御機構だ。どれ程の魔力が満ちているかは分からないが、もう、身体に収まらない程、漏れ出る程に流している。此れが俺の身体という器に流せる魔力の限界値なのだろう。


漏れ出した魔力を感じてか、他の三人の雰囲気が一変する。スィラは笑みを引っ込め、表情を引き締めながら改めて得物を構え直す。ダークエルフの女は、ビクリ、と硬直、しかし、額から汗を流しながらも、細身の刺突剣を抜剣する。オーガは歯を食いしばり、何かに耐える様に、身体中の筋肉を膨れ上がらせながら棍棒を握り締める。


・・・何やら一挙に注目を買ってしまった様だ。此れは失敗だったかな。要らぬ警戒を齎してしまった。が、今回で限界は分かった。今度から溢れさせない様に修練しよう。純粋にロスだしね。


審判が一人一人、始めて大丈夫かという質問をしに回って来ている。当然、了承する。かなり怯えた顔をしていたな。当然か、こんな武人三人に囲まれてるもんな。俺は威圧感の欠片も無いだろうが。


審判が走り離れた。俺も準備を整えた所で、魔術で拡散増幅された声が鳴り響く。


「始めェ!」


此方に突撃しようとする気勢を殺す様に、水属性上級魔術『アイシクルスピアー』を放った。


以外な事に、スィラ以外の二人が、その場で踏鞴を踏んだ。スィラは最初から俺の方に駆け出すのでは無く、彼女から見て左側、オーガの男を標的にしていた様だ。


オーガはスィラの接近に気付くと、無造作に棍棒を振り、スィラを制止する。が、スィラは其の棍棒を切り上げる様に弾くと、返す刀で袈裟懸けに彼を叩き斬らんとする。


オーガは弾かれた棍棒を引き戻す事を諦め、なんと素手で斧槍の柄を掴まえた。驚く事に、スィラと一回りも二回りも体格が大きいオーガと力が拮抗している。お互いに両手で斧槍の柄を掴み、方や押し斬らんと、方や刃を逸らさんと力を込める。


と、そちらばかり見ていたら、ダークエルフのお姉さんが此方に向かって来ていた。細剣を構えた其の姿は、非常に胴が入っている。


別に近付かれても構わないのだが、態々相手の攻撃レンジで遊んでやる必要も無い。容赦無く、相手の足元に『ブレイズバスター』をぶち込む。


が、相手の速さは予想以上であった様だ。更に加速し、爆発の余波すらも利用して更に間合いを詰める。若干服が燃えた様だが、大した被害では無いのだろう。


もう二手目の魔術は間に合わない。ならば、どうするか。


「ハアァッ!!」


突き出される細剣を、頭一つ分身を屈める事で、肩に担ぐ形で躱す。そして掌底を相手の胴の中心・・・両肩を二点とした正三角形の頂点・・・にあてる。そして・・・。


閃光と轟音。俺の右掌から発された其れは、容易くダークエルフの女の前面鎧を砕き、後方に大きく吹き飛ばされた。


俺も当然、後方への強い力を受けるが、体勢が低かった事、そして何より、この爆発は"指向性を持っている"という事により、少しの後退で済んだ。其れでもローブの袖が吹き飛び、右腕が肘近くまで露出してしまっているが。・・・手袋も焼けた。


「カハッ・・・!」


遠くで血反吐を吐きながら、浅黒い肌の女が立ち上がる。胴鎧は弾け飛び、殆ど裸みたいな格好だ。へばりついている僅かに残ったインナーが辛うじて身体を隠している。外野が大いに湧いているな。まあ、分からんでも無いが。眼福至極。だが俺はあんな傷だらけの血塗れの女には何とも思えん、というか普通に心配だわ。さっさと降伏してくれないか。


チラリと別方向に目を向けると、オーガはもう虫の息だ。右腕左脚が無いし、もう地面を這いつくばる事しか出来ていない。降伏したらしく、救護の者だろうか、十数人の男達がオーガの巨体を引き摺って行った。


手持ち無沙汰になってしまったスィラと言えば、斧槍を肩に担ぎながら、此方を見ている。どうやらこっちの決着が付くのを待っていてくれる様だ。なんとまあ、余裕な事で。


ダークエルフの女、もう既に満身創痍であるのにも関わらず、まだやる気の様だ。一合しかやりあって居ないのに此の有様、彼我の実力も計れないのか、其れともただ死にたいのか。


スィラも待ってくれている。彼女の気が変わらない内に、さっさとお望みを叶えてやろうか。


『アイシクルスピアー』のクイック・ショット。其のバリエーションとして、槍身の中程に貫通防止の棘を作ってある物を撃ち込む。


ダークエルフの女の胸元を、亜音速の氷の大槍が貫き、其の儘後方に飛翔、彼女の身体を壁に縫い付けた。貫通止めが胸部を潰し中身を押し出し、腕や首がおかしな方向に曲がっている。既に微動だにしない。流石にもう絶命しているだろう。磔、こうして見てみると、中々に残虐な所業だ。


南無三と唱えるのも程々に、待っていてくれたスィラに向き直る。向こうは無傷。俺はローブの袖を少し損傷したものの、本体は無傷だ。


「漸く、だな」


うっとりと陶酔した、潤んだ瞳で此方を見定めるスィラ。ベッドの上ならば兎に角、殺し合いの最中に、頬に返り血を飛ばしてする表情では無いな。


ブォン、と物騒な風切り音を立て、斧槍を構える。血濡れた鋒が俺の身体を正面に捉える。そんな大した鍛錬も何もしていない、俺でも分かる程濃密な殺気が放たれる。


暫しじっと睨み合う俺達であった。


痺れを切らした訳では無いが、先に動いたのは俺だ。初手は『アイシクルスピアー』の乱れ撃ち。当たるとは思って居ないが。毎回毎回思うのだが、時速千キロメートル近い弾体を見切るコイツらは何なのだろうか。・・・もしかすると、弾が大き過ぎるのだろうか。確かに威力は出るが、比較的見え易いのかもしれない。


そう思った俺は、水属性下級魔術『アイスアロー』、長さ三十センチ程の氷の矢を生成。今度は"超音速"で射出する。空気の壁をぶち抜く爆音が轟き、其れこそ目にも止まらぬ速さで氷の矢が飛んでゆく。


「ッ!!」


スィラは其れまで容易く逸らしていた氷の槍とは明らかに異なる其れを認め一転、焦った様に回避する。外れた其れは、闘技場の壁にぶち当たり、甲高い音を立てて砕けた。まあ、其れが正解だろうな。掠っただけでも致命傷だからな。此れだけの大質量弾を超音速で飛ばしているのだ。衝撃波だけでも人体を破壊するには十分である。


が、此れは現状あまり連射するのはマズイ。威力が高過ぎるからだ。下手にばらまいて観客席に突き刺さったりすると目も当てられない。一応、客席には対魔障壁が張られているが、試す気は無い。魔力消費もどうやら矢鱈と多いらしいし。


スィラもアレを撃たれ続けてはマズイと思ったのか、距離を一気に詰めて来る。早い、と思った瞬間にはもう其処に斧槍の穂先が迫っている。


魔術による攻撃を続ける。距離を取る為、ひたすら後退し続ける。時折単発で『高速アイスアロー』を放つ。


撃ちながら逃げれば、追いつかれないと思っていたのだが、スィラの動きは更に加速する。真っ直ぐ逃げている俺とは異なり、鋭角的に曲がりながら、此方の射撃を躱しながら距離を詰める等、こいつの身体はどうなっているんだ、とぼやきたくなる。


「シッ!!!」


遂に剣戟の射程圏内に捉えられてしまった。左上方から斧槍が迫って来る。どうする、食らっても弾ける確証は無い。効果的な防御法は・・・。


「フッ!!」


短剣、カルマを抜き斧を受ける。が、ここに来て身体の軽さが裏目に出る。剣も身体もダメージは無いものの、大きく弾き飛ばされてしまう。転がりかけるも、なんとか手足を着いて体勢を立て直す。


スィラと言えば何故か追撃せず、じっと、厳しい表情で此の方を睨んでいた。


「魔剣、か」


彼女の視線は俺の手の内の短剣に向けられている。こっそりと俺も手の内の短剣に目を落とす。


・・・刃物には魔力が込もっている。


そう言ったのは誰であっただろうか。白刃の輝きには、人を駆り立て、肉を斬り血を吸わせようとする魔力が込もっている、と。


勿論文字通りの意味では無い。前世の話ではあるからして、此の短剣の様に本当に魔力が込もっている訳では無い。


が、確かにあるのだ。俗に言う妖刀と呼ばれる刃物。所有者を狂わせ、殺陣へと誘う魔性の刃。


此の短剣、カルマはそんな事を思い起こさせる雰囲気を放っている。妖気、というのだろうか。自ら白く発光している様にも見えるひびだらけの刃は、先程重たい斧槍の一撃を受けたにも関わらず、傷一つ付いていない。


「・・・其れもお前の魔力入り、か?」


ふん、と気に入らぬ様な声色。


「分かるか?」


・・・ふと気づけばローブが破れ、ほぼ元の形を残していない。地面に擦ってしまったせいだろうか。もう着ていても意味はないので、その場に投げ捨てる。・・・下のドレスは無事だな。良かった、全裸とかは勘弁だ。


「気がお前と同じだ」


成る程、要はフィーリングか。


「・・・以外と綺麗ではないか」


俺の格好を見ての事だろうか。まあ、今の今まで殆ど肌を晒して来なかったからな。あと、左手だけ手袋をしているのは、何か嫌だ。こっちも脱いで放り投げる。


「"修羅を齎す人物"か、成る程な」


気付けば観客席も、先程迄の殺せ殺せの歓声から、何やらどよめきの様な雰囲気へと変わっている。


今日は髪留めを付けていない。ローブを脱いだ時点で俺が、銀髪赤眼の人物であるという事は明るみになった。仮面のお陰で顔はバレては居ないのだが。


「面白くなって来たなぁ」


口ではそう言うものの、顔付きは浮かない。顔色は僅かではあるが青ざめ、顎をつっと汗が流れ落ちる。


あまり長々とやり合っていては、正体が露見する可能性がある。さっさと決めるべく、ある魔術を発動させる為、魔力を正面に収束させる。


「チッ!」


スィラも此方の魔力の収束を感じたのか、直ちに動き出す。まあ、"そうさせる為に"態と放出する魔力を多めにしたのだが。


正面から突撃してくるスィラ。跳躍し、俺を頭頂から股迄両断する軌道。


俺は収束させた魔力を前方に放出、スィラの身体に纏わせる。


「ッらぁ!!」


今まさに斧槍を振り下ろさんとした瞬間、彼女を取り囲む魔力を"硬直"させる。


「なにッ!?」


空中で静止した彼女。振り下ろした斧槍ですらピタリと止められ、戸惑いと驚きの声を上げる。何とか成功したな。


彼女を其の儘此方に引き寄せ、俺の手の長さでも触れる事が出来る距離に持って来た。


「ぐ、ぬぅ・・・」


無理矢理力で解除しようとしているな。どうなのだろう。何れ程の力迄なら耐えられるのだろうか。


「降伏、するか?」


短剣の先で胸元を突つく。剣が近づく度に苦しげな声を上げるスィラ。


「くっ・・・」


唇を噛み、悔し気に口を開こうとしたその時だった。


「!?」


横合いに魔力の収束を感じる。慌てて其方に向き合うと、緑の長髪を持つ女が、風属性上級魔術『ウールワインド』を発動させた所だった。


反射的に対魔障壁を構成、更に反撃の『高速アイスアロー』を撃ち出す。


多数の風の刃が、スィラすらも巻き込む軌道で迫って来ていたが、俺の集中が切れたせいで自由となった彼女は難なく大きく跳躍して回避した。くそ、折角のチャンスが。


俺に向かって来た風の刃、慌てて居た為か、前面にだけ対魔障壁を張ったのが良くなかった。上から弧を描く様に迫って来たらしい、刃の一つが、顔面に掠る様に通過した。


「ぐっ!!?」


がくり、と頭部への衝撃。少しふらついたものの、第二撃を警戒する為、何とか視線を戻す。


と、其処で気付いた。仮面が真っ二つとなって地面に落ちている。顔にペタリと触ってみると、幸い出血も何も怪我は無い様だが、確かに仮面が無い。素顔を晒す羽目になってしまった。忌々しい。


そんな意を込めて、先程の術の下手人を見やると、緑髪の女は『高速アイスアロー』を傾けた対魔障壁で何とか逸らした様子。横に少し押し流されて居たが。装甲と同じで、角度を付けると弾き易くなるのか。今度からやってみるか。


「何者だ」


スィラを見やると、彼女は突然の事ながら、勝負を邪魔された事にご立腹の様だ。キッ、と術者を睨み付けている。まあ、アレのお陰でまた仕切り直しなのだが。


俺の若干の憎悪が短剣カルマにも伝わったのか、短剣もジャキジャキと凶暴な形に変形してゆく。棘を生やしてみたり、鋸の様にギザギザになったり、「やんのかコラー!」という感じだ。


「真人教枢機卿、フェリア・コンクルス」


短杖を向け、律儀に名乗る。


「貴女を討伐する」


そう宣った。



ご意見ご感想、誤字脱字日本語の誤り等が御座いましたらお気軽にお申し付けください。



高速アイスアローの下りとかからこの考察おかしいだろーと言われるのが怖いです:;(∩´﹏`∩);:

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