表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の残光 -pLatonic Clematis-  作者: BatC
第一章
23/94

過ぎたる玩具

やっと次話投稿です。・・・其の割りに内容がががが

特別課外活動の初日、その夜、謎の男に依る襲撃は、下手人の死亡という結末で幕を下ろした。男が持っていた突撃銃は、戦利品として俺が頂く。男は予備の弾倉を一つだけ持っており、弾が二十発程込められていた。銃に挿さっていた弾倉には、十六発程。何故半端なのか。この弾倉には、三十発位入った様な気がしたのだが。まあ、どうでも良いか。あの後、カルセラに水魔術で傷口を塞いで貰った・・・此れが案外時間が掛かった。そしてツィーアとカルセラに夜番を其の儘交代し、俺とネメシア、その他は直ぐに寝た。して、その翌日である。


「エリィ!あの武器は何!?」


ツィーアの目線の先には、俺の左腰に携えられた短銃と、背に下げた突撃銃。昨日は俺の傷にも気遣い、本人も長時間治癒魔術を行使したが為に疲れ、追求はされなかったのだが、案の定、翌日になって詰め寄られる。


「俺も気になるな」


アイクが乗った事を皮切りに、全員が此方に耳を傾ける素振りを見せる。と、俺が話す前にカルセラが喋り出した。


「・・・これはね、時々古代遺跡で発掘される武器なの」


全員がカルセラに注目する。カルセラといえば、何処か無表情だ。どうしたのだろう。


「古代遺跡?ハノヴィアは遺跡探索を進めているの?」


とはツィーアの疑問だ。はて古代遺跡とな。この間、メアリーの話で出てきたな。《ファイアーフライ》だったか。戦闘ヘリが出て来る様な場所?実際、良く分からないな。


「・・・出来る訳が無いでしょ。其処ら辺にある小さな、残骸みたいなのを調査してるくらいよ。此処でもその程度の事はしてるでしょ?」


出来る訳が無い、か。まあこんな銃が転がっているのなら、その他色々な自立兵器が蠢いている可能性がある。・・・そういえば自爆させるのを忘れていた様な気がする。人類が消えた地球を闊歩する自立兵器か。寂寥感。


「あの、古代遺跡というものは良く聞くのですが・・・そもそも古代遺跡とは何なのでしょうか?」


カリナ良く言った。褒めて遣わす。分からない事を聞くというのは大事な事だぞ?(盛大なブーメラン)


その問いに対して答えたのは、ネメシア氏だった。


「諸説ありますが・・・現在有力な説・・・その一つでは・・・かつて地上を支配していた・・・その種族が暮らしていた名残・・・その生活の跡・・・そう言われています」


生活の跡。都市の残骸を想像する。ビルの谷間を闊歩する無人兵器。・・・なんか想像付いたぞ。


「都市跡って・・・あの"第六討究隊"の報告だったかしら。あの、唯一生還したとかいう」


ツィーアの言葉に頷くネメシア氏。


「・・・アリエテ王国軍の近衛魔術兵団の精鋭、上位五名を投入して・・・確か三人帰還、生存二人だっけ・・・」


カルセラがツィーアの言葉に続ける。其れにしても精鋭の・・・上位五名?損耗率六十パーセントか。中々凄まじい損害だ。其れにしても、どれ程の無人兵器が彷徨いているかは分からないが、其奴等から逃げ切ったのは、賞賛されるべき事であると思う。俺でも自信は無い。いや、この身体ならいけるか?いや、自らやろうとは思わないが。


「その二人も、帰ってから軍を退役したらしいよ。で、近衛魔術兵団は上位五名を失って、戦力がガタ落ちしてな・・・まだ当時並の戦力が戻ったとは言えないらしいぞ」


上位五名とはそんなに凄い奴らなのか。しかし、個人のどうこうで戦力がガタ落ちか。軍としては間違っている様な気もするが。まあ、其れだけ個人の戦力価値が高い世界なのだろう。魔術とはなんとも厄介な物である。・・・『ファイアボール』を十分に使える魔術五十人と、剣だけを持つ兵士百人が正面からぶつかった場合と仮定すれば、だが、十中八九魔術師側が勝つだろう。其れ程魔術師の戦力価値は高い。支援攻撃に徹すれば、更に活躍の場は広がるだろう。近衛魔術兵団とやらがどの程度の集団かは知らないが、この国の優秀な魔術師が集まっている様な部隊を想像すると、並大抵の物では無いのだろう。ケイト女史みたいなのがわらわらと・・・嫌だな。近寄りたく無い。どうせそんな奴らは変人に決まっているのだ。


「其れも・・・もう八年以上前・・・の事・・・ですが・・・」


八年以上前、俺が産まれる前か。そんな昔の事を解決出来てない王国軍とは・・・。


「ま、そんな事は良いのよ。エリィ!そっちの黒いのは兎に角、その短いのは何処で手に入れたの!白状なさい!!」


ちっ、忘れてくれなかったか。カルセラめ、折角話が逸れたのに。


さて、どう答えようか。馬鹿正直に答えても・・・いや、メアリーに釘を刺しておけば良いか。此れだと、面倒事もメアリーに丸投げ出来るな。


「・・・エルクの表通りから、少し奥に行った所の武器屋、知ってるか?」


紹介しておく。宣伝もしておけば、彼女も喜ぶ(?)だろう。此れはあくまで善意(笑)のものである。


「あー・・・彼処ね・・・あたしが行った時は、店主が寝てて・・・」


「あ、私も行った時は・・・」


メアリーは経営者としては破綻しているらしい。・・・良くもまあ、あの店が成り立っているものだ。


「其処の試作品だ。欲しかったら行けば良い」


売ってくれれば、の話だが。


場所は皆知っているらしい。が、買い物はしたことが無いという。腕が良い事で評判で、皆一度は足を運ぶのだが、店主であるメアリーの対応のぞんざいさと、身なりに見切りを付け、出て行ってしまうのだった。いつしか、誰かに聞いたな。彼処の店主は偏屈だと。単純に好き嫌いが激しい面倒くさがり屋な気もしないでも無いが、まあ、偏屈な事は偏屈なのだろう。人格的にも破綻してるし。店を答えると、皆、うーん、と唸り出す。・・・其れ程なのか。


「まあ、今度行ってみよっかな」


この場では逃げられたな。メアリー氏には、心の中で謝っておこう。あとで鹵獲品の突撃銃を譲ってやれば、多分小躍りする程喜ぶだろう。


其れにしても、だ。


こんな武器は其処ら中にあるのだろうか。だとしたら、大変な事だ。銃は間違い無く、この世界ではオーバーパワーな代物だ。其れが、恐らく水面下では、広がっている可能性がある。この間見た拳銃は壊れていた。しかし、この銃は、未だ稼働状態にある。此れが社会に与える影響は以下程のものか。どうも、俺の自前の歴史知識はほぼ役に立たないかも知れない。


「(案外、早く彼女に銃を作らせた方が良いかもしれない・・・)」


頭の中で今後の方針を、少し変更するのであった。













「(うぅ・・・エリィが何か面白そうな物持ってるぅ!)」


前を歩く、エリアスの左腰から目が離せないカルセラである。結局、危ないから、と触らせて貰えなかった。


「(弩みたいなもんでしょ?確かに人に向けたりしたら危ないけどさぁ)」


カルセラとて、危ないということは分かっている。


ところで、彼女はあまり腕力が無い。


剣技も其れなりには嗜んでいるが、筋力が無い為に、戦えるとはお世辞にも言い難い。だから、彼女は最後の、本当に最後の護身用の武器として、矢をつがえた弩と、短剣を隠し持っていたりする。実は、弩を使った射撃は、結構得意だったりする。


弩を使う彼女だからこそ、形が似ているあの武器の使い方が、何と無くだが、すぐに思い至った。


「(うぅ・・・欲しいなぁ・・・)」


実際に使う所を見た訳では無いが、コレで仕留めた男の死体は見た。


其れは、後頭部が弾け飛んで大穴が空き、頭が破裂しかかっていた。


凄まじい威力だ。己の持つ弩等とは、比べるのも烏滸がましい。純粋で、分かりやすい、自分のパワーアップ方法だった。


「(・・・どうしよ)」


正規の方法で手に入れるには、エルクの街の裏通り・・・其の武器屋に行かねばならないと聞いた。


「(でも・・・)」


あの武器屋の店主・・・メアリー・アリソンは悪い意味で、有名だ。


彼女の腕の良さは、巷では有名だ。そして逆に、客をかなり苛烈にえり好みする事でも有名だ。


一目見て・・・いや、一瞥もくれずに放置される客も居る・・・気に入らぬとされたのなら、真面に買い物をする事も叶わない。商売人の風上にも置けない者だが、其れでいて腕は良いのだから、やりきれない。


「(私が行った時は・・・)」


彼女は寝ていた。突っつき回しても起きなかった。無視されているのだと思って、其の時は帰って来しまったのだった。・・・実際、そんな商売人は信用出来ないというのもある。だが・・・。


「(エリィは彼処で・・・)」


聞くとどうやら、エリアスが身に付けている武器は全て、彼のメアリー・アリソンの武器屋で購入した物らしい。道理で皮がかなり硬い筈の《スウィフトオストリック》を解体する際にも、スルスルとスムーズに出来ていた訳だ。


「(特に・・・)」


特に、両刃の短剣の質が良かった。嘸かし手が掛かっているのだろう。手入れも大変そうだが。


と、別に刃物は良いのだ。問題はあの短筒なのだ。黒くて長いヤツも有るが、其れはエリアスが、瞬く間にバラバラにして、布でぐるぐる巻きにして、取り出せなくしてしまっていた。


「(うぅ・・・せめてさぁ・・・試し撃ちくらい・・・)」


其れくらい許してくれても良いのではないか?とは思う。


チラッチラッと懇願するような視線を向けると、エリアスは、う・・・、とたじろぐ様な態度を取りながらも、結局は自分には触らせない。


「(機会があったら・・・)」


こっそり試し撃ちしてみよう。


「(うん!私が買うかどうか決める大事な事なんだから!)」


密かに策を練るカルセラであった。





案外、その機会は早くに来た。今日は肉などは必要無く、一日中、其処らを探索していたのだが、ツィーアが歩き疲れたらしく、沢の近くで休憩していた時だった。


「用を足して来る」


少々、淑女にしては直球過ぎる文言を残し、エリアスは退席した。


「(チャンス!)」


彼女は最低限の帯剣はしているが、本来、剣など無くともどうとでもなるのだ。必要の無い、邪魔になる様な物は置いて行ったのだった。長剣、短剣、そして・・・短筒。


「え・・・カルセラ?何を・・・」


エリアスの荷物をゴソゴソやっている自分に疑問を持ったらしい、ツィーアが訝しげな声を上げる。


「これよ!」


何やら革製のホルダーに入っていた短筒を引き出す。弩より反りが浅い持ち手を握り・・・恐らく誰も居ない、沢の上流方向に向ける。


「えっ、其れエリィのよね?」


勝手に触ることを咎める様な口調だ。一般常識からすれば、当たり前の事なのだが。


「エリィの物は私の物!私の物は私の物!」


物凄い暴力論を振りかざし、無駄に平たい胸を張るカルセラ。そして、其れにドン引き、若干顔を青ざめさせるツィーア。


「ダメでしょ!ましてや其れ、エリィが危ないって言ってたでしょ!」


其の言葉に、ふふん、と再び胸を反らし、背に手を入れるカルセラ。


「私は弩は得意なのよ!似たようなもんでしょ!」


引き抜いた手には、小型の、本来騎手が騎乗した儘射撃する為の、短い弩が握られていた。しかし、其れは今は使わない。足元に置く。


「もう、知らないわよ」


ツィーアは説得を諦めた様だ。カルセラは、勝った!と言わんばかりに、悠々と短筒を構え、引き金を引く。


「ありゃ?」


短筒はカチカチと音を立てるだけで、何か発射された感触は無い。


「・・・どっか引かなきゃいけないのかな?」


弩も、弦を引き、矢をつがえねば撃てない。きっと矢はこの筒の中に収まっているのだろう。だとすれば、後は弓を引かねばならない。


「えーっと・・・なんか無いかな・・・」


ガチャガチャと動きそうな所を弄くり回す。


「おっ、此処かな?」


何やら石・・・黄鉄鉱の様な物・・・の付いた所が動いた。ある程度引き起こすと、カチリと音を立てて止まった。


「どうやら此れで正解みたいね〜」


ニヤリと勝ち誇った笑み。万を辞して、再び両手で支える様に持つ。狙うはあの、沢の上にかかる様に生える木の一本。狙う感触は、弩と然程変わらない。


「くらえっ♪」


ガチリ、と確かな手応えを感じると同時に目の前が真っ白となり、ぐるんと天地がひっくり返った。












カルセラがエリィの武器らしき物を弄くり回している。


窘めた事は窘めたのだ。なら、あたしに罪は無いだろう。


しかし、彼女は謎の自信と執念とも言うべき気概で、試射を強行するつもりらしかった。


聞けば彼女には、弩の扱いには心得がある様で、実際に小型の弩を携行していた。なら、別に問題は無いだろう。


そう思いつつも、エリィに心の内では、早く戻って来て欲しいなぁ、と念じながら、昨日焼いて干した肉を、小腹を満たす為齧る。塩味が効いていて、中々いける。あまり此の手の保存食は口にした事は無かったのだが、此れなら時々食べるには良いだろう。今度領地に戻る時には、また調達するとしよう。


そして目の前では、先程意気揚々として、どうやら発射方法が分かったらしく、再び沢の方に短筒を構えるカルセラの姿。成る程、中々に様になっている。自信の根はしっかりしていた様だ。


「はぁ・・(エリィに何言われても知らないわよ・・・)」


そう思い、エリィの姿が消えた茂みの方を見やる。


此の目を背けた事が幸いした。


「ッッッ!!!??」


突如の轟音。耳に強烈な痛みを感じ・・・意図せずに、地面が目の前に近づいて来る。


「(何!?何が!?)」


地面に顔面から衝突する事は、ギリギリで手を着く事で回避した。が、キーン、と耳鳴りがし、先程迄聞こえていた、沢の水が流れる音も聞こえない。そして立ち上がろうとするのだが・・・。


「(あ・・・あれ?)」


上手く立てないのだ。立ち上がろうと身体を起こせども、直ぐに視界が傾く。そして、コテリと、地に転がってしまう。


其処で視界の端に空色の頭、カルセラを捉えた。


「カルセラ!」


叫んだつもりであったが、自分には恐ろしく遠い声に感じた。彼女は地に横になり、少しも動かなかった。側には煙を上げる、此の惨事の原因であろう、短筒。なんとか這いずってでも辿り着こうと、ほんの数メートルも無い距離を這う。


と、其処で左手の茂みから、紺髪の少女、エリィが文字通り飛び出て来るのが見えた。見たこともない、血相を変えた顔で、カルセラの側に寄る。


「***!***************!」


何事か言っている様だが、耳鳴りがするのみで、一切何も聞こえない。


見ると、カルセラの頭に・・・いや、耳か。其処に水属性の治癒魔術『シーキュア』を掛けている。何故だろうか。


カルセラの治療(?)が終わると、あたしにも『シーキュア』を掛けてくれた。耳のジンジンは良くなった。が、耳は暫く遠かった。













「で、だ。よくもまあ勝手に触って事故ってくれたものだな」


あの事故から数時間後、気絶していたらしいカルセラが目を覚ます頃には、普通に耳は聞こえる様に回復していた。


目が覚めると待っていたのは、カルセラに対するエリィのお説教だ。カルセラは硬い石の上に、エリィの言うことには、反省する時の座り方という、正座をさせられ、しょんぼりと情けない顔をして座っていた。


「まあ、彼処に無防備にアレを置いて席を立った事も、何が危ないのかはっきり言わなかった事も、多少は私にも反省する点はあるがな、私にはゆっくり小便をする事も許されないのか?」


「おっしゃる通りです・・・」


見れば不思議な光景だ。同年齢の平民・・・庶民階級の者に、貴族階級の上、皇族であり、次期皇帝候補の一人であるカルセラが説教されているのだ。不敬罪どころでは無いだろう。が、このエリィには何処か有無を言わさぬ雰囲気がある・・・指定して茶化す勇気は、あたしには無い。あとエリィ、女の子なんだから、小便とか言わないの。せめてお花を摘むとか、小用を足すとか言いなさいな。


「まあ、痛い目見た様だからあまりぐちぐち言う積もりは無いがな。せめて人様に迷惑はかけるな。後で今回の純然たる被害者であるツィーアにも、誠心誠意を尽くして謝っておけ。いいな?」


「はぁーい・・・」


カルセラもそんな人格は破綻している質では無い。悪い事は悪いと分かる人だ。だからこうもしょげかえっているのだろうが。


「はぅ!?うぐぐぐぐ・・・足が痺れてぇ・・・うぅ」


今回の事は、カルセラには良いお灸になったのでは無いだろうか。




誤字脱字、不自然な言い回し、何言ってんのこの人的な所が御座いましたらお申し付けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ