ー第1話ー
「はぁ、暇だぁ」
一人の高校生が歩きながら呟く
すると後ろから声が聞こえる
「舞洲夢來…やっと見つけた…」
夢來は声のしたほうを見る
すると少女が路地裏に走っていく
「ちょっ、待てよ!」
夢來は少女を追いかけ路地を見るがすでに少女の姿はない
「ったく、なんなんだ?」
夢來の呟きは路地の静けさに吸い込まれていった…
次の日…
「おはよう夢來」
「おお紅把、おはよう」
彼は古川紅把夢來とは小学校から一緒だ
「そういえば夢來、今日転校生がくるらしいぜ」
「相変わらずお前は情報が早いな」
「どうも…だが今日の転校生は妙なんだ」
「妙?」
「あぁ。いつもならその転校生のあらかたのプロフィールはわかるんだが、今日の転校生は転校してくるってことしかわからないんだ。調べる手段はまだいくらでもあるが、俺もまだ犯罪者にゃなりたくねぇからな」
「そうなのか…ってかそんな方法を知ってるって…」
「気にしたら負けだぜ、夢來」
「お前なぁ…てか俺の隣って席無かったよな、じゃあ転校生はここ?」
そんなやり取りしていると先生が教室に入ってくる
「みんな、今日はこのクラスに転校生が来てます。じゃあ入って来て」
するとハーフっぽいかわいい女の子が入ってくる
(あれ?あの子昨日の…?)
「瀬戸シェリスです。よろしくお願いします」
シェリスはぺこりとお辞儀する
クラスのみんなから歓声が上がる
夢來はシェリスが頭を上げた時、シェリスと目が合う
するとシェリスは夢來にウインクする
夢來は思わず赤くなる
シェリスはそれをみてクスリと笑った
「じゃあ瀬戸は…舞洲の隣に座ってくれ」
シェリスは夢來の隣に座る
「じゃあHRはこれで終わり」
先生は教室から出て行った
シェリスは夢來に話かける
「私はさっきも言ったけど瀬戸シェリスよ、よろしくね」
「俺は舞洲夢來だ、よろしくな瀬戸さ「シェリスでいいよ」…あぁ分かったシェリス、俺も夢來でいいぜ」
「おいおい2人でなーにいい雰囲気になってんだ?」
「いやいや、そういう訳じゃ…っとこっちは古川紅把だよ」
「古川紅把だよろしくな」
「うんよろしく」
そこで1時間目の先生が教室に入って来たので紅把は自分の席に戻った
夢來はこのタイミングを見計らってシェリスに小声で聞いてみる
「そういえばシェリス昨日会わなかったか?」
「アハハ、やっぱりバレてたかぁ、放課後詳しく話すわ」
「了解」
放課後…
「学校じゃちょっと話せないかも、ちょうど家空いてるから家でいい?」
「はいぃ?俺は別にいいんだが、会ったばかりの男をそんなに簡単に家に上げていいのか?」
「それは全然問題なしだよ。まぁ正確にはあなたならだけど。だって…まぁ家で全部説明するわ」
「ってここ俺の家の隣じゃねぇか」
「ふふっ驚いた?」
シェリスは楽しそうに笑う
「じゃあ入って」
「お邪魔します…悪いな手土産なくて」
「いいって突然なんだし、ただいまー」
「お帰りシェリス…あら夢來君連れてきたのね」
「うん」
「どうも、なんか知ってるみたいですけど一応、舞洲夢來です。はじめまして」
「私はシェリスの母のクレアよ、よろしくね」
「じゃあ私の部屋にいるから」
「わかったわ」
「で、何から話そうかしら…そうね、まずさっきの質問に答えるね」
「OK」
「それはね…夢來は覚えてないけど私は夢來のフィアンセだからよ」
「…へっ?…マジ?」
「うん♪」
「し、証拠はっ?」
「証拠かぁ…そうだなぁ…フィアンセじゃないと会ってすぐ出来ないってことすればいい?」
「あぁ…………!!」
おもむろにシェリスは夢來にキスをする
「……これで信じてくれる?それともまだ信じてくれない?…」
シェリスは悪戯っぽく笑いながら自分のシャツのボタンに手を伸ばす
「!!…わかった!わかったからストップストップ!」
シェリスは手を止める
夢來はそれをみてホッとする
「じゃあ話を続けるわね、突然だけど夢來は魔術とか魔法って信じる?」
「うーん、信じないこともないかな、科学で証明されてないこと全てを否定するのはどうかと思うし」
「そう、なら話が早いわ、私は魔法使いなの」
「へぇーシェリス魔法使いなのかぁ…って魔法使いぃぃ!?」
「そうだよ、ほら」
シェリスは人差し指に火を点して消してみせる
「す、すごいな」
「ありがと、夢來♪、でも夢來もなんだよ」
「えっ?でも俺使ったことないよ?」
「本当は使ったことあるんだよ、覚えてないだけで…」
「おれが覚えてないって小さかったからか?」
「ううん…夢來はある人たちに魔術に関する記憶を消されちゃったの、今日家に連れてきたのはその記憶を再生させるためでもあるの」
そこまで言ったところでドアがノックされる
「シェリス、わしじゃ、入るよ」
「うん」
すると1人の老人が入ってくる
「はじめまして、舞洲夢來です」
「ふぉっふぉっ、そんなにかたくならんでもよいよ、わしはシェリスの祖父のハーライト・シークじゃ、その様子じゃあらかた話は聞いたのじゃな?」
「はい、まだ半信半疑な部分もありますが…でも信じることにします…ただの直感ですが」
「そうか、しかし記憶がなくても、そういうところは変わらんのぅ」
「ちなみにおじいさまは魔術連合の会長で夢來の師匠だよ」
「す、すごいですね」
「そんなことないよ。では早速始めるとするかの。ちょっと、いやかなり辛いと思うが頑張るのじゃぞ」
「はい」
ハーライトは夢來の額にふれ何かを呟く
すると頭にすごい量の情報が流れ込んできて、頭に激痛が走る
「うぐっ!」
夢來は必死に耐える
30秒くらいたち痛みがおさまる
「や、やっと…お、終わった…」
そう言って夢來は倒れる
「夢來!…おじいさま、どうしよう夢來が!」
「大丈夫じゃよ、気絶しているだけじゃ。記憶を取り戻すだけでも負担が大きいのに、彼は魔術に関する記憶全てじゃからの。最後まで耐え切れるとは…さすがじゃの」
「よかったぁ」
シェリスは愛おしそうに夢來を見る
それを見てハーライトはそっと微笑み静かに部屋を出て行った