表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/43

似ている!? 8

 学君がもどってきたのは、それから1時間ほどしてから。

「ただいま」

「あ、おかえりなさい」

「アイツ、ちゃんと駅まで届けてきたぞ」

「ご苦労様」

「なあ? なんで、今日は先に帰ったんだ? アイツが言ってたけど、結構危なかったみたいじゃん?」

「え? う、うん・・・・・・」

 私、ちょっと躊躇した。でも、ちゃんと、今日あったことを話すことにした。

 佐野君に私と学君がそっくりだと指摘されたこと、実際、名もなき女子4人組も、清貴さんも、男子のジャージを被って、髪形を隠している私を見て、学君と間違えたこと。それから、清貴さんが、私と学君の関係をいいなづけだと思っていること。

 そこまで話した途端、学君、なにか思い当たったことがあるみたいで。

「ああ、だから、今日、部活帰りに寄った道場で、清貴さん、ヘンな目配せしてきたんだ」

 ひとり納得の様子。

「でも、俺とつかさって、そんなに似てる?」

 私のことを改めてまじまじと見つめてくれる。

 どうみても、私と似ているように見えないのだけどなぁ? 私的には・・・・・・

 なんで、みんな間違ったのだろう?

 ともかく、いいこと思いついた。

「ねぇ、ちょっと待ってて」

 私、学君を部屋に待たせといて、ママの部屋へ。

 クローゼットの中からストレートロングのウィッグを失敬して、もどった。

「ねぇ? ちょっとこれ被ってみてくれる?」

「え? ああ、カツラか、どれどれ、こう?」

「って、それ前後逆」

 顔の前に長い髪を垂らして、顔が見えなくなった女が目の前に・・・・・・

「さ、貞子・・・・・・?」

 こ、こわー!

 ありさちゃんが、この姿見たら、どうなるのだろう?

 ちょっと見ものかも。

 学君、ごそごそウィッグを直して、髪を掻き分けて顔を出した。

 う、う~ん・・・・・・

 なんか、すごく身近で見覚えのある少女になっちゃったぞ!

 こ、これは・・・・・・

 私、タンスをゴソゴソして、ゆったりめのカーディガンとスカートを引っ張り出し、学君に押し付けた。

「ちょっと、コレに着替えてみて?」

 それから、私は、あまり目立たない地味めの髪留めでアップにして、キャスケットを目深にかぶってっと・・・・・・

「学君? 見て・・・・・・」

 振り返った途端・・・・・・

 キャッーー!!

 へ、変態!

 ついに、この変態男、ありさちゃんだけでなく、私にまでヘンな気を起こすようになったの!

「な、な、な、なんで、アンタ、そんなところでズボン脱いで、パンツ一丁になってるのよ!」

 私、手近にあったクッションを投げつけた!

「わ! な、なにすんだ! やめろ!」

 あらら、避けようとした学君、脱ぎかけのズボンの裾に足とられて、ひっくり返っちゃった。

 構わず、近くにあったものをどんどん投げつける。

「でてって!」

「わ、や、やめろ! やめろって!」

「変態! ヘンタイ! へんたーい!!」


「ったく! 痛ぇなぁ」

「ご、ごめん!」

「お前が、そもそも着替えろって言ったんだろうが?」

「ご、ごめん、なさい」

 学君、コシをさすりながら、非難の視線。

 でも、ウィッグを被って、カーディガンを羽織り、スカートをはいた学君って・・・・・・

「なんか、髪が長いけど、私が目の前にいる・・・・・・」

「ああ、それから、俺の目の前には、女言葉しゃべる帽子被った俺がいるんだけどな・・・・・・」

 お互いに、お互いを見詰め合ってしまった。

「た、たしかに、似てるのかもな、俺たち」

「み、みたいね、残念な気持ちでいっぱいだけど」

「ああ、って、何でやねん!」

 ペシッて肩を殴られてしまった。関西弁つきで。

 とはいえ、よく似ているのは確か。でも、でも、なんか、どこかが違う。なんなのだろう? なにが違うのだろう?

「あとは、つかさ、晒しを巻いて、胸隠したら、だれもお前だって気がつかないかもな」

 そ、そうか、学君、胸がペッタンコなんだ。

「俺の方は、これで十分みたいだけどな!」

 こ、こらー!

 私にだって、ちゃんとこんもりとあるのだぞ! 女の子らしい胸が!

「何でやねん!」

 グーで顔を殴ってあげた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ