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留学!? 8

 突然、交差点の左から、男が二人飛び出してきた。

 そして、一番左側にいたありさちゃんに飛び掛った。

 気がついたときには、ありさちゃんの首筋にナイフが押し付けられている。

 あっという間の出来事。

「動くな! この女の命を助けてほしかったら、そこを動くな!」

 って、そんなことを言われなくても、私、足がすくんで動けない! ひかりんも呆然としている。

 男たちは、サングラスにマスクに目だし帽、見るからに怪しい格好の二人組。

 立ちすくんでいる私に、ありさちゃんを抑えていない方の男が近づいてきた。

「動くな! 悲鳴を上げるな! おとなしくしていろ!」

 なんていいながら、私とひかりんの両手を縄で縛ろうとしてくる。

 このまま、抵抗できないようにして、私たちを誘拐しようという魂胆みたい。

 ちょうどそこへ同じような格好した男が運転する車が、私たちの脇に止まったし。

 もし誘拐されたりなんかしたら、どんな目にあうか、想像したくもない!

 男たちにしたら、この誘拐、私が目当てで、ありさちゃんやひかりんは、私が暴力に訴えないようにするための人質ってつもりなのだろうけど。

 だからかな? 暴力女って評判の私が両手を縛られて、ジッとしているのを見て、男たち目に見えて、ホッとしている。

 う~ん・・・・・・

 でも、あの評判の暴力女は、私じゃないし、この3人の美少女の中で、一番強いのも私じゃないのだけど・・・・・・

 一瞬の隙をつかれ、のど元へナイフを突きつけられた。だから、ありさちゃんは動くわけには行かなかった。でも、ありさちゃんを抑えていた男、私が縛られた後、キチンと縛ってあるか私の手元を確認しようとして、ありさちゃんから注意がそれたんだよねぇ。

 ありさちゃんには、それだけで十分だった。

 次の瞬間、その男の体が宙を舞い、私たちの足元に叩きつけられる。

 思わず、見惚れてしまいそうな一本背負い!

 そういえば、つい最近まで、毎朝見られていた風景だ。

 最近は見なくなったので、ちょっとさびしい気もしないではなかったけど。

 私の両手を縛った男が、慌てて振り返った瞬間、ありさちゃんのしなやかな長い手足を利用した回し蹴りが炸裂、吹っ飛んでいってしまった。

 その様子を見ていた車の中の三人目の男、慌てて、車を急発進させた。

 あ、このままじゃ、逃げられちゃう!

「くらえッ!!」

 直後、横手からサッカーボールが飛んでくるのが見えた。

 矢のようなすばらしい弾道を描いて、一直線に車のフロントグラスに飛んでいく!

 ガシャン!!

 たちまち、フロントガラスにくもの巣状のひびが入り、車はそのまま道路わきの溝にタイヤを落として、動けなくなった。

 ボールが飛んできた方向を見ると、少年が一人、シュート姿勢の延長で足を振り上げている。

 島崎君だ!

 その靴は夕日を浴びて、ピカピカ光っていた。

 まるで、キック力増強シューズかなにかのように・・・・・・

 眼鏡や蝶ネクタイはつけていないけど。

 ともあれ、ありさちゃんと島崎君の活躍で、三人組の誘拐犯、捕まえてしまった。


 その後、警察が来て、犯人たちは逮捕され、連行されていった。

 後日の調べでは、今朝、学君にコテンパンにやられた男たち、昨日の凶暴な私(学君)はなにかの間違いだと自分自身に言い聞かせていたのだけど、今朝の暴力で目が覚めた。私は、ただの暴力女だと。外見が天使みたいだけど、内面は悪魔か魔女そのものだと・・・・・・

 そう気がついた途端、男たち、胸の中に怒りがフツフツと湧き上がってきたらしい。

 そして、かわいい顔で天使のフリして自分たちをだましていた“神宮寺つかさ”に復讐しなければいけないと考えるようになった。もちろん、ついでに捕らわれの身になった私で自分たちの欲望を満たそうとも。

 そこで、協力し合って、私を誘拐する計画を立て、実行したらしい。

 さいわい、その計画は失敗に終わったのでよかったけど、もし成功していたら、私、どんな目にあっていたことか・・・・・・

 ブルブルブルブル・・・・・・

 怖いし、気持ち悪い!!

 でも、未遂に終わったとはいえ、とうとう本物の犯罪事件に巻き込まれてしまった。

 観桜会のあと、男たちに、ストーカー同然に付きまとわれ、困り果てていたときに、一度、警察へ相談にいったのだけど・・・・・・

 まだ別に犯罪事件に巻き込まれたわけでもなく、重大な被害が発生しているわけでもないと、まともに相手してくれなかった。でも、そのくせ、一旦、犯罪に巻き込まれて、被害者になった途端、警官の護衛つきで、家に帰ることに。

 なんか、釈然としない!

 最初から、警察がキチンと対処していてくれれば、学君やありさちゃんを巻き込む必要もなかったし、ありさちゃんやひかりんに怖い思いをさせることもなかっただろうに!

 ホント、警察って、肝心なときに、たよりにならないんだから、もう!

 でも、これからは家の前をパトロールする頻度を増やしてくれ、今まで二時間ごとにパトカーでおざなりに見回っていただけだったのを、30分に一回程度、警察官が徒歩で見回ってくれるって、約束してくれた。

 さらに、登下校時には、通学路に警察官を派遣してくれるのだとか。

 すごく、すごく安心!

 これでやっと高校入学以前のような、平和な日常生活がおくれそう!

 本当、みんなに感謝だね!

 いままで、いろいろとありがとう、学君、ありさちゃん!



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