つかさ1/2 7
そういえば、さっきこの部屋を出たときは、プリプリして、抜け出ていったのだけど、今はご機嫌な私。
いまなら、水着での撮影会、これから始めるって熊坂会長が言い出しても、はいはいってうなずいて着替えちゃうかも。
告白のチャンスをいかせなかったのは、残念だけど、でも、学校で、清貴さんと二人っきりで話をしたなんて、初めてのこと。
最高に幸せ。
思わず、口笛がとびだしちゃう!
「お、神宮寺、ご機嫌だな?」
私がもどってきたのを見て、熊坂会長すかさず、声をかけてくる。
勉強会、今日もユルユルに終わっちゃったみたい。みんな好き勝手にだべっている。
「さっき、裏庭で話していた人だれだ? かなり親密だったみたいだけど?」
ニヤリと、窓の外を指す。
私はというと、ポッと頬を赤らめたりして。
「あの様子だと、教員ってわけじゃなさそうだし・・・・・・」
「武道の三木先生の息子さんで清貴さんです」
「ああ、あの人が」
「ん? 会長、清貴さんのこと知っているんですか?」
「ああ、そりゃね。去年から、うちの学校で武道系の部活のコーチとかしていたからね。私は、興味がなかったけど、結構、同級生とかキャーキャー騒いでいたしな」
「へ、へぇ~ そうだったんですか・・・・・・」
なんか、ちょっとヤだな。
清貴さんは私のもの。他の女たちがキャーキャー騒いでよいものではない!
「でも、なんで、あの人が、あんなところに? 武道場なら、体育館の脇だろうに?」
う~ん・・・・・・
清貴さんから、さっき聞いた話をした方がいいのかなぁ?
宇宙人を待っているって?
でも、ヘンな危ない人だと思われたらやだし・・・・・・
「会長、星とか詳しいですか?」
「ん? 星? いきなりなに?」
「清貴さんが、さっきベガの話をしていたので・・・・・・ 私、星とかあんまり詳しくないし」
「ってことは、星がでるのを待っていたのかな? ベガって、夏の星だから、今の時期なら日が沈んだ頃に、地面の近くで見えはじめているかもな」
「そうなんですか?」
「ああ、でも、こんな時期からベガを見たいなんて、変わってるな」
「え? どうして?」
「だって、ベガって七夕の織姫様のことだろう?」
あ・・・・・・
ベガの人を待っているって言っていた清貴さん。
織姫様。
七夕の飾り。天の川に隔てられた恋人たち・・・・・・
七夕の日に、一年で一度しか会うことができない。
そ、そういう意味で言っていたのかしら?
む、胸騒ぎが・・・・・・
「ん? 神宮寺どうした? 顔が真っ青だぞ?」