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勉強しましょう! 7

 私は、それからも30分ほど、生徒会室で、ひかりん相手におしゃべりしていた。

 もう、そのころには、まじめに勉強している生徒なんていなかったし、生徒会室は、隣の人の声が聞き取りにくくなるほど、ワイワイガヤガヤうるさくなってきていた。

 さすがに、これ以上勉強会続けていてもムダだと感じたかして、熊坂会長、終了を宣言した。

 まあ、最後はグダグダになっちゃったけど、それなりに有意義な時間をすごせたのじゃないかな?

 私的には、勉強会、成功だったとおもう。

 それから、私、借り出していた参考書を返却し、荷物をまとめ、ひかりんとしゃべりあいながら、玄関へと歩いていった。

 いつものように下駄箱で靴を履き替え、グラウンド脇まで移動。

 いつもなら、このあと、図書館で読書しながら、ありさちゃんや学君の部活が終わるのを待つのだけど。

「ほらー! そこー! いけぇー!」

 なんか、グラウンドの方から、だれか大声で叫んでいる。

「あっ! おしいー! それ! シュートだ!」

 ん? サッカーの応援かな? そういえば、今日はサッカー部がどこかの高校と練習試合をするとか、張り紙がしてあったっけ。

 まあ、私は、特にサッカーなんて、興味ないのだけどね。

 あんなボールをコロコロ転がして、追いかけるだけのスポーツ、どこが面白いのだろう?

 キライじゃないけど、特に見たいとか、やってみたいとかはないな。

「いいぞ! 祐一、いけー!」

 ・・・・・・まただよ。今日は、なんか島崎君に縁がある一日。

 って、あれ? この声って、もしかして?

 私、慌てて、グラウンドを見回した。

 いた!

 サッカーのピッチ脇で、メガホン片手に、騒いでいる巨乳めがねが・・・・・・

「い、委員長・・・・・・」

 なんか、頭が痛くなりそう。委員長、用事があるからって、さきに帰ったのじゃ?

 私たちの目の前をドリブルしながら島崎君が走っていった。

 って、そうか、デートのためじゃなくて、島崎君が出場する練習試合の応援のためだったのね。

 はぁ~

 島崎君、相手の選手とぶつかって、こけた。

「こらー! 審判、なに見てるんだ! 今のは、相手のイエローだろうが! スルーすんじゃねぇ!」

 って、委員長、性格変わってない?

 いつもは、学級委員長ってイメージ通りのおしとやかな女の子なのに・・・・・・

「こらー! それは、相手のシミュレーションだろうが! こっちのファウルじゃねぇぞ! 審判眠ってるのか!」

 おい、おーい!


 彼女は、私たちの友達なんかじゃありませーん。まったくの他人です!

 なんて、心の中で一人ごちながら、見つかったりしないように祈りつつ、こそこそと図書館へグラウンドの脇を通り抜けようとした私たちだったのだけど・・・・・・

「あぁ! つかさちゃん、ひかりん! オース!」

 み、見つかっちゃった。

 タダでさえみんなの注目の的になっていた委員長、私たちを見つけて、両手を思いっきり振り回してる。

 無視するわけにもいかず、ちいさく手を振り返した。頬が引きつっちゃう。

 そういえば、今日の私は、ツキがない日だったっけ・・・・・・

 いきなり、委員長、

「ほらぁ! 神宮寺サッカー部! 神宮寺のアイドルつかさちゃんまで応援に来てくれているぞ! なにちんたらやってるの!」

 だって。当然、全員の視線が私の元へ。

 う~ん・・・・・・

 注目されるのは、いつものことだから慣れているのだけど。こういうのはねぇ。

 これは、なにかの罰ゲームですか?

 と、ともかく、習性というのは恐ろしいもので、みんなに見られてるってだけで、ついついいつものエンジェルスマイル。

 うふ。

 あらら、相手チームの選手の一人と目があっちゃったよ。

 ちょうど、味方から、ロングパスを受けようとしていた寸前。

 突然、棒立ちになって、私を見つめている。目をハートにして。

 そうなると、折角通れば、相手チームのチャンスだったのに、神宮寺の選手にボール奪われちゃって、カウンター。

 見る見るうちに、相手のゴール前まで、ボールと神宮寺の選手たちが殺到して、最後は、島崎君の豪快なヘディングシュート!

 見事、ゴールネットにボールが突き刺さった!

「ゴォォーーーール!!!」

 委員長、自分が決めたみたいにガッツポーズ。

 ん? でも、ゴールが決まったのに、審判たち、だれもゴールの方をみてない。

 ううん、審判だけでなく、相手チームの選手たち全員、呆然と私を見ているし。

 えっと、えっと?

「こらー! 審判、どこ見てる! 祐一がゴール決めただろうが!」

 委員長が激しく抗議しているのだけど、審判たちは、それにも気づいていないみたい。

 これは、やっぱり、まずい状況だよね?

 と、とにかく、私も、島崎君の得点をアシストしてあげた方がいいのかな?

 というわけで、私、顔の前で、両手をパンパン叩きながら、ピョンピョン飛び跳ねてあげた。

「わぁ、ゴール決まったぁ。すごーい!」

 すんごくわざとらしい。ぶりっ子つかさちゃん。

 でも、こんなくさい演技でも、審判に自分の仕事を思い出させるだけの効果はあったみたいで・・・・・・

 ピィィ~~~!!

 島崎君の高校初のゴールが認定された。

 よかったよかった。もし、これ認定されずにスルーされたりなんかしたら、きっと、委員長に恨まれてたかもねぇ。

 今の委員長、相当、頭に血が上って、見境いがなさそうだし。危険かも。



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