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第一話 カイレンの過去

・・・・第一話・・・・

 親を亡くしてからの僕の人生は、グレイブ団長に拾われたことで大きく変わった。


 そう、あの盗賊団の団長だ。彼が僕を拾ってくれたんだ。


 団長の娘、リナとは、その環境の中で一緒に育ったといってもいい。だけど、リナと僕の間には、深い絆というものは芽生えなかった。


 盗賊団での訓練には参加していたけれど、僕にとってそれは好きなことではなかった。


 正直、努力することなんてできなかったし、逃げ出したくなることばかりだった。リナはそんな僕を評価していなかった。


 いつも厳しい眼差しで、「もっと真剣に生きなさい」と指導してきた。

 彼女の言葉が僕に届くことはほとんどなかった。


 盗賊団にはあまり馴染めなかった。


 自分の意見が言えず、ただ流されるままに生きていた。そして、あの大きな計画が持ち上がった時も、僕は見張り役を希望した。


 なるべく危険から遠ざかり、貢献も最小限に抑えたかったからだ。


 団長には少しの恩義を感じていた。彼に拾われなければ、今の僕はいなかったかもしれない。


 ある寒い夜だった。


 僕はひとり、火のそばに座り込んで震えていた。その時、団長のグレイブが静かに近づいてきた。


「寒いか、カイレン?」


 彼の声は意外と優しかった。僕はただ小さく頷いた。


 グレイブは火を大きくするために、いくつか薪を投げ入れた。「僕を拾ってくれたのは、なんでですか?」ふと、僕はその質問を投げかけた。グレイブは少し驚いた顔をしたが、すぐに柔和な笑みを浮かべた。


「お前には、何かを見つけてほしかったからだ。それが何かは、お前自身が見つけるものだがな。」彼の答えに、僕はただ黙って耳を傾けた。


「でも、盗賊団の生活は厳しい。僕、うまくやれていない。」


 僕は正直に打ち明けた。


 グレイブは深くため息をつき、言った。


「お前はまだ若い。失敗を恐れるな。大切なのは、立ち直る力だ。」


「なぜ、僕を拾ってくれたんですか?」僕は思い切って尋ねた。


グレイブはしばらくの沈黙の後、静かに語り始めた。


「お前を拾ったのは、ただの偶然だ。だが、お前には大きな可能性を見た。僕たち盗賊団は、ただの盗賊ではない。この国を苦しめる女王に立ち向かい、民を守るために戦っているんだ。」


その言葉に、僕は驚いた。僕たちが行っていたのは、ただの盗みではなく、女王の力を削ぐための行動だったのか。それは、僕が知らなかった盗賊団のもう一つの顔だった。


「僕は、うまくやれていません。」僕は自分の不甲斐なさを打ち明けた。


グレイブは優しく笑みを浮かべながら言った。


「お前はまだ若い。重要なのは、自分の信じる道を見つけ出すことだ。お前にはそれができる。」


 その言葉は僕の心に深く刻まれた。グレイブは僕に厳しくも、ある種の期待を寄せてくれているようだった。


彼は僕をただの盗賊としてではなく、成長する可能性を持った若者として見てくれているのかもしれない。


「リナのことはどう思ってる?」グレイブがふいに聞いてきた。


 僕は戸惑った。リナは、いつも僕を厳しく指導してくれるけど、僕にとっては家族のような存在だ。「


 リナは…家族みたいなものです。でも、僕は…」言葉に詰まった。


「お前の中にあるものを見つけ出せ。それができれば、リナもお前を違う目で見るだろう。」


 グレイブの言葉にはいつも重みがあった。彼は僕を理解しようとしてくれている。少しの恩義と尊敬の念を、僕は彼に抱いていた。

 ・

 ・

 ・

 でも、盗賊団への忠誠心やリナへの特別な想いは、僕の中にはほとんどなかった。僕はただ、自分の居場所を探しているだけだったんだ。


 あの夜、盗賊団は王宮の財宝を狙って、最も大胆な計画を実行に移した。僕は見張り役として、遠くからその様子を伺っていた。


 しかし、その計画は悲惨な結末を迎えた

 僕だけはなんとか逃げ延びた。


盗賊団としての生活が終わりを告げた瞬間だった。








本当の意味での連載ものに初挑戦です!


よろしくお願いします!

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