別役中佐はのうが悪い
当然のことだが、その後別役中佐の詮議を受ける羽目になった。
「どういうことながぜ?あれは何ながな?さっぱり分からんき説明せんかえ。訳が分からんき、のうが悪い」
所長室で別役は不気味なほど静かに切り出した。
「あれは第3連隊の島田中佐ですね。大阪放送局の統括管理部に居ましたが、そう言う事なのでしょう」
「そういう事とは?」
「第3連隊の司令部と、大阪放送局の統括管理部が同一組織ということです」
「ああ、そういうつまらんことかえ。それで?何でそこの島田がここにおまんを出せって突撃してくるが?あれは省内でも有名なチンピラながぜ。おまん、目を付けられることしたがか?」
やっぱり島田は「有名人」のようだ。
「いえ、向こうの赤松とかいう輩が、私の部隊に勝手に指揮権を発動するからですよ。東京方面での作戦行動を行えって事務連絡とやらで命令してくる。おかしいとは思いませんか?更にですね、私の部下を酌婦扱いして『奉仕』することを要求してきたのですから!抗議するのが当然じゃないですか!」
我ながら熱のこもった演説をぶったものだ。だが目の前の別役はさして関心を示さない。
「やけんどほら、島田が食って掛かることの説明になっちょらんわえ」
「軍人ロボットを私物化する権利が向こうに有るとでも?」
少しだけ眉が動いた。
「有る訳無いでねえ」
「そうでしょう?島田中佐の件はこれから説明します」
それから俺は赤松と島田の所業を包み隠さず述べてやった。
「あいつらなら、やらかしそうながでねえ。やけんどおまん、本省のセクハラ相談室なんかに相談しちゅうがか?何でなが?チンポコ見せられただけながじゃろう?」
「こういう時のために存在しているのでは?」
「まあ、それはそうながでねえ」
苦笑する。
「大体の事は分かったが。要はおまんが舐められちゅうが。ひいては、うちと研究所が舐められちゅうがでねえ。のうが悪いき、いかんろう。上の技官に報告しとくき、おまんはもうえい」
手のひらを前後に振る。随分な仕草だがまあ良いや。とにかく理解は得られたし、巻き込むことができた。それにしても、これだけで午前中と昼休みは潰れた。不測の事態はもう勘弁願いたいものだ。




