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いざカチコミへ!

 俺は激怒していた。まるでメロスの如く。感情的になって得をすることなど一つも無い。そんな当たり前の事を高い代償を払って知っているはずなのに、俺はそいつと口論の末受話器を叩きつけた。大隊長室の内部をぐるりと見て、カチコミの武器になるものが無いか探していた。そしてそれを見つけたので早速実践することに決めた。敵は大阪城の外堀近く、大阪府警察本部の前に居る。地下鉄の谷町4丁目駅の近くだ。森ノ宮駅で港線に乗り換えて一駅。30分ほどか?勇躍出撃せんとするところに巴が現れた。

「どっか出かけはるんですか?いずこへ?」

後半部分は、明らかに芸人の物真似と分かる節回しだった。俺を笑わそうとしているのか?

「さあ?ここではない何処かよ」

扉を開けて出て行こうとすると、

「何と言うか、詩人みたいですねえ。感動です」

拳を重ね合わせてそう言ってくるので、静が同じことを言ったら大喧嘩になっていただろうなあなどと思った。室外へ出て扉を閉めると、決議書を持った桜と梅に出くわした。

「どこ行くの?おばちゃんがハンコついた書類がいっぱいあるよ?」

その純粋無垢と言っても良い眼差しを見ていると、決心がやや鈍る。しかし、あの赤松と称する男に一撃を加えなければならない。俺はそう思い定めたのだ。

 女だからという理由で端から馬鹿にした態度を取るアホは一定程度存在する。部下に対して高圧的な態度を取ることが生き方になっている奴もいる。地位に胡坐をかいた馬鹿野郎ほど腹の立つものはないが、この野郎は俺の部隊を勝手に「遊撃隊」と決めつけ、指揮権を発動してきやがる。それだけならまだ許す余地はある。だが、可愛い部下を酌婦扱いし慰み者にしようという輩は徹底的に痛めつけてやらねば。その結果俺がどうなろうと知ったことか。俺は大隊長室の戸棚の上に有った穴開けパンチを手に持ち、大隊司令部を出て行った。

「どこへ行かはるんです?」

巴の呼びかけは悲鳴に近かった。それに耳を傾けていたらまた違った展開に間違いなくなっていただろう。だがその声に俺は惑わされること無く(巴にとっては甚だしく心外だっただろうが)突き進んでいった。

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