射撃訓練をしよう!
色々なことが何だか俺を無視して進んでいるような気がする。そんなことを思いながら半ば茫然として執務室を出ると、腹立たしいむかむかした気分になり、怒りのボルテージが上がって来た。これはいけない。そうだ。こんな時にはあれだ、無理やり射撃訓練の時間を作ってしまおう。
大隊司令部へ戻ると、犬萩・犬樫と入れ替わりに桃・椿が帰って来ていた。桜・梅と何やら賑やかに話し込んでいる。そこに割って入り桜・梅を第3中隊に派遣することにしたと通告する。桜・梅は、とにかく嫌がるのだが順番だからと言い聞かせる。
「わがままを言うなら、今後私の傍で仕事をさせない」
切り札を切ると、渋々向かって行った.
2人が大人しく去って行ったのを確認し、桃に話しかけた。
「日曜日の『あれ』、覚えている?」
「『あれ』ですか?勿論ですよ!『あれ』の事ですよね!」
どうやら話は通じたようだ。そして椿は眉を顰める。
「駄目だよ、桃ちゃん!そんなことしちゃ!」
結構大きな声がしたものだから、近くにいた西村が寄ってくる。
「え?何?何?俺に黙って悪い事をしようっての、このポンコツロボットどもめが」
桃に対してツッコミを入れようとする。
「職務上のことであります、上等兵殿!」
「何だそうか。つまんねえな」
桃の答えに西村は失望したようだ。あっさり引き下がった。
「ちょっと来なさい」
と桃に手招きをして大隊長室へと入る。
「拳銃と機関拳銃のどちらが良いと思う?」
「拳銃が良いと思います」
間髪を入れず答えが返って来た。
「理由は?」
「大隊長は射撃訓練をしたことが無いでしょう?」
「そうね」
「じゃあ、まずは拳銃からですよ」
納得のいく答えだ。
「何の話をしてはりますの?」
巴が怪訝な顔をして尋ねてきた。俺が答える前に後ろから椿が返答する。
「射撃訓練をなさろうとしているのです!」
そう言えば椿は反対派だったような?
「えっ⁉マジっすか⁉」
仰天したようだが理由を説明してやると、
「ほんならウチが指導します!いや~一遍教官をやってみたかったんや。うっしし。」
桃共々喜んでいるので、椿は呆れたようだ。
「准尉殿!桃ちゃん!そんな事しちゃ駄目!」
そちらに指を突き出し注意するのだが、当然2人は聞く耳を持たない。
「ストレス解消にちょうどええやんけ。固いこと言わんでもええやろ?」
巴はむっとした様だが、椿はひるまず付け加える。
「定時終了後に研修があるはずです。少佐殿がセクハラ対策委員長なんですから、きちんと準備しないと駄目ですよ!」
巴も負けてはいない。
「それは西岡はんが張り切って講師をするって言うてはるのやから、心配いらんやろ」
「そんな・・・」
「椿ちゃんは心配性だなあ」
桃はけらけらと笑う。
「よっしゃ桃。書類作れ!」
「元よりそのつもりです!」
巴の命令に桃は張り切って応える模様。椿は頭を抱えている。俺は素知らぬ振りを決め込む。拳銃か。何を使うのかな?コルト?ベレッタ?まあいいや。とにかくぶっ放してみたい。破壊衝動は射撃訓練で少しでも晴らしてしまおう。




