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別役所長からのお呼び出し

 取りあえず気分を変えよう。店内のカフェに移動する。注文するために列に並ぶと、2人は何か言いたそうにこちらを見る。

「何が飲みたいの?」

目が輝く。握り締めた両拳を顔の下に持って来て、

「良いんですか?」

と声が同期する。

「私だけが飲んでいたらそれもどうかと思うからね」

今度は表情が同期する。

「有難うございます!」

同時に抱き着いてきた。凄い力だ。なるほどこのパワーならチンピラヤクザなど、どうという事は無い。抑え込んで、5本の指に仕込んだ注射針で薬物とアルコールを注入するなど、簡単なことだ。

「痛いわよ。それに私たちの番みたいよ。次のお客様って言っているでしょう?」

「わあ、ごめんなさい」

と言って離れる。

「アメリカンで良いでしょう?」

一応言ってやると、

「はい!」

と底抜けの笑顔が帰って来た。

 座席に座って一息つく。さっきの捕り物は吉岡の言っていたやつだろう。物々しい雰囲気づくりのために動員されたのか?他の部隊、第3連隊麾下のメイドカフェに間借りしている関係で動員されたっぽいから、そうではなかろうか?何のためか?と問われたらそれは演出だと答えるべきだろう。スパイ野郎と不逞外人。憎むべき悪を成敗する。それが正義である以上、悪は強大でなければ。力を合わせて立ち向かわなければ。その機運を醸成するためには、多少の演出も必要だろう。大袈裟に伝えればそれで良い。きっとさっきの捕り物、まるでパレードのようだった。あれも、夕方のニュースで取り上げられるだろう。そんなことをぼんやり考えていると、ふと渡辺があそこにいたのではないかと思えた。それはともかく、まともに連絡できていないのだから、早く何とかしないと。ああ、仕事のことが頭から離れない。なんてこった。勘弁してくれよ。お買い物を楽しんでいるマダムやお嬢さんだらけのところで何だって仕事のことが頭をよぎる?

 仕事のことなぞ考えていたから悪い予感が的中する。ひょっとして電話がかかって来やしないだろうな?そんな思考に呼応して携帯電話は鳴る。観念して電話番号を確認すると、それは「所長室直通」となっていた。別役所長・・・、最悪だ・・・。俺の休日は儚く淡雪の如く消え去った。

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