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女子アナは陰謀から距離を置く

 福留から聞き出した渡辺の連絡先に早速電話することにした。この機を逃してなるものか。山本に部隊の一切合切を丸投げしていくなど、信じられないことを仕出かす上にその後の連絡が無い。休日だからと言って連絡を取らないという事もあるまい。早めに懸念事項は処理しておかないと。それで連絡を試みたが呼び出し音が延々と続くだけ。3回試したが繋がらず埒が明かないので、一旦官舎へ帰る。そしてここから電話してみるが、やはり呼び出し音が続く。登録されていない番号からの電話には出ないと言う事か?仕方が無いので第3中隊に貸し出している犬萩・犬樫に連絡する。この番号に電話してくるようにと伝言するが、一向に連絡が無い。第3中隊の電話から連絡してもなしのつぶてなので、しびれが切れたというより堪忍袋の緒が切れた。電話してやる!帝国放送協会に!大阪支局へ電話すれば必ず出るだろう。俺が上官だと認識していれば、の話だが。

 それで大阪支局に電話し、呼び出し音が鳴る中で気が付いた。あ、これって、単なるファンというか粘着している輩からの電話と勘違いされないか?まあ、仮にそう思われたから何だ。電話を切られるかも知れないがそれがどうした。連絡するというその一念にとりつかれているように思えなくもないが、現状では困るのだ。それとも第3中隊は俺が指揮して、渡辺の人事評価は最低ランクにしてやろうかな?薄暗い情念に基づく妄想が直ぐに脳内を駆け巡ってしまう。何とかやらないものかな。俺の悪癖。

 だが予想に反してあっさりと電話は繋がった。名前はきちんと名乗った。それが良かったのか?

「あのう、どういったご用件ですか、少佐。手短にお願いしますね。これから番組に出ないといけませんから、時間が有りませんので」

中々のご挨拶じゃないか。

「では、手短に。要請通り大隊司令部からGR05を2人回しました。部隊自体は山本少尉の指揮のもと何とか稼働しているようです。問題はですね」

そこから先を続ける前に渡辺は機先を制する。

「なら、よろしいじゃありませんか」

「まだ話は終わっていません。これから目標設定を行いますが、第3中隊自体をあなたはどうするつもりですか?山本少尉に丸投げして、連絡一つ寄越さないのはどうかしていると思わないのですか?」

努めて冷静に話していたつもりだ。この女がまともに対応しないなら、俺が山本始め各隊員を指揮すればそれで済む。最悪の想定だが。そしてそうなりそうだ。

「話はそれで終わりですか?もう時間が有りませんので失礼します」

「あ、ちょっと待ちなさい!」

声を出した時には既に遅く、電話を切られてしまった。受話器を思わず叩きつけてしまった。これが俺の悪癖。早く直さないとな。しかしこれは不味い。放送協会での仕事が優先で、こちらはただ単に籍を置いているだけじゃないか。今日というか、現時点では対応できないのかも知れないが、それならそれで後で連絡すると一言あってしかるべきだ。

 第3中隊だけ指揮系統が別だから、渡辺はこんな対応をするのだろうか?一度こんな疑念が湧き起こると、それは入道雲の如く立ち込めてきた。どこに確認すべきだろうか?本省?放送協会?研究所?どこにしろそれぞれ役割分担があるわけだから、見当違いで電話するわけにもいかない。弱ったな。取りあえず今日の定時後の連絡会議に出席するか。そこであれやこれやを確認し、報告を受けよう。そこから始めてみるか。そう決めると不思議と気持ちが落ち着いた。中途半端な時間がそれまでに有るから、その間にパソコンで色々調べものでもしてみるか。さほど有意義ではないが、これも一つの休暇の過ごし方かもしれない。そう思う事にしよう。

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