電話は突然鳴り響くものだ
給湯室で飲むコーヒーには格別な味がある。それは事実だが椅子に座って飲みたくもある。少しずつ資料なりを読みながら一服するのも、それはそれで味わいがある。だから座席に戻り、ゆっくりコーヒーを燻らせながらどこに資料があるだろうかと思案しながら、パソコンを開き研究所のフォルダを探して開いてみた。共有フォルダを開いてみると、「GR04・GR05関連」なるフォルダを見つけた。中に何が入っているか?古田が言っていたような、実証実験の結果が残されているのだろう。早速フォルダを開いて中を見る。中身は又フォルダで、様々なタイトルが付けられていた。開発会議議事録なんてものから、開発予算関係、模擬戦闘記録と多彩な記録が整然と並んでいて目がチカチカする。どれから見ていいものやら。しかし見当をつけなければ、二神と話が出来ないような気がした。これなんかどうだろう?「諜報工作関係(連携試験)」とある。早速覗いてみることに。
一番古い記録らしきものは、平成21年4月1日となっていた。年度当初から活動しているとは、熱心なことだ。報告書に目を通す。この日、巴は60体のGR05をそれぞれに命令を出し、42名の対象者と接触させている。どうやら立ち居振る舞いから会話内容に至るまで全て指示している。大したものだ。感心すると同時に空恐ろしくなった。俺の有様など出会ってから、今この瞬間に至るまで全て筒抜けだろう。
この日は対象者の内6名にホテルへ連れ込まれ、否、連れ込んだと表現すべきだろう。全員待ち受けていた検非違使庁の手の者(この時は第2独立機械化実証実験中隊)に「捕獲」されている。当然全員がっちりと「当局」に弱みを握られたわけだ。報告書には、捕獲した対象者全員を「ともだち」にしたとあった。「ともだち」?残り少なったコーヒーを一気に飲み干し、考える。もしや、川本の言っていた「非公然協力者」のことでは?いや、待て、待て。あれは「お礼」欲しさに、自発的に隣人を売ろうって奴らだろう?うん?そう簡単にはくくれないと言う事か?
頭の中を整理していたら、突然電話が鳴り響く。心臓が飛び出るほど驚いた。文字通りだ。呼吸が乱れ、心拍数が上がる。一体誰からの電話だろう?電話は依然がなり立てる。俺は意を決して、受話器を握り締めた。




