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不要な奴を罠に嵌めよう!

 一応舛添少将の人物像を聞きこんではみた。悪評ふんぷんだった。さもあり何だが。舛添要という名前だがあだ名は「不要」だとか。それだけでどんな人物かはっきりと察せられたので、寧ろ善行を成そうとしているとさえ思えた。

 静にも聞き取りを行ったが実に嫌そうな顔をしていたものだ。

「意識が目覚めたばかりの頃にですね、そうです、製作されてからあんまり日の立っていない頃の話なんですけどね、押しかけてきて一発やらせろって連呼していたことがあるんですよ。キモいでしょ?『具合』を確認するとかって。当然研究所の方々が突っぱねましたけど、それから嫌がらせを始めたらしいです。最低ですよ。ネズミみたいな顔つきですし」

そんな証言をしてくれた。

上層部のろくでなしを陥れるのが任務の内か?そんな葛藤があったが、様々な証言はどれも具体性を帯びていていちいち疑問を挟む余地は無かった。俺はジャーナリストじゃない。裏取りを義務付けされる筋合いは無い。こちらの仕掛けた罠に嵌るようならその程度の人物なのだ。 こちらが現実的に迷わないといけないのは、今日の昼食をどこで食べるかだ。その方がよほど重要だ。

 仕事をしているとあっという間に時間は過ぎていく。だが、何かを待つというのは時間が一向に経過しない。だから犬萩・犬樫の興味の赴くまま東京の街を徘徊した。時々カフェなどに立ち寄って休憩してはお茶を飲むを繰り返していたので、トイレも近くなる有様だった。

 しかし意外なことに15時頃に連絡が有った。

「あのう、『接待』の相手の男性から返事が有って今から会うんですけど、言われたとおりにすれば良いんですね?」

「ええ。こちらが申し上げた通りにして下さい」

あっさりと食いついてくれたようだ。彼女たちが新宿のホテルで存分に睡眠薬入りの酒を飲ませ、酔い潰したらこちらの出番だ。その電話を受けた時、こちらは渋谷に居たから早速移動を開始する。

「身柄を抑えたら駄目なのですか?」

電車の中で犬萩は不満そうに言う。

「そうよ」

「何故ですか?」

ぷくっと頬を膨らませる。可愛い。

「敵ではないからよ。私達の実証実験を妨害してきた過去があるから、罠に嵌めて反応を見るだけ」

そう言ってやったら黙った。役目を与えたら大層喜んだが、死体役をするのは不満なのだろう。

 新宿の街は不案内だ。お上りさんよろしく巴をガイドに、新宿を徘徊して時間をつぶす。標的は必ず罠に嵌る。その先の絵図も描いてある。早く破滅させてやりたい。俺の中のどす黒い情念が噴き出そうとしていた。 

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