第一話
1936年8月3日、ルーマニア王国。
とある森の中で遊んでいた時、一つの洋館を見つけた。
「うおー、なにこれ!」
子供の頃、誰しも探検物語に憧れるだろう。当時の俺もそうだ。しかし日没も近かったのでその日は引き返す事にした。その日の夜は門限を守らなかったので母にこっ酷く叱られた。
「夜は吸血鬼や魔女がでるのよ!」
そんな事を言ってた。
次の日、俺は早起きし家を飛び出した。向かう先は昨日の洋館。周りの風景などに目も向けず、ただひたすら走った。
「ん?」
洋館の前に紫色が見える。すぐにそれが人だと分かった。
「誰だお前?」
俺は声をかけた。そいつは俺の方を向いた。そいつを一目見た瞬間、俺は惚れた。
「貴方こそ誰よ。」
「ニコラエ・ドゥミトレスク、ニコラエでいい。」
「ふーん。私はパチュリー。」
「姓は?」
「秘密」
ちなみに俺は彼女の姓を一生知ることはない。
「そういやここの館は何?」
「入る?」
「いいのか?入りたい」
扉が開いた。なんとなく不気味な館だったと言うのが第一印象だな。
デカい。なんだこの図書館。人間の寿命じゃ読みきれないくらい本がある。もしかして…
「これ全部読んだのか?」
「んなわけないじゃない。殆ど読めてないわよ」
まあそうだよな。彼女は人間だ。
「ねぇ」
「どうした?」
「この館に来客なんで珍しいの、お茶にしましょう。貴方の話も聞きたい!」
「いいけど、俺なんかでいいのか?」
「私生まれて外に出たことないの。だから外について知りたい!」
「なるほどなぁ、わかった。ただしパチュリー」
「パチェでいいわよ。」
「パチェ、お前の話も聞かせろ、あとこの館を案内しろ。これが条件だ。」
ちょっとカッコつけてみた。
「まぁいいわよ、ただ案内は明日にさせて。散らかってるし。」
俺は了承した。
「咲夜、お願いしていいかしら」
「パチュリー様、どうしました?」
「お茶したいの、この人と。」
「こんにちは。ニコラエ・ドゥミトレスクと言います」
「あらこんにちは。十六夜咲夜です。」
すっごい綺麗なメイドさんだなぁ。てか居たの?
「もう用意してありますよ。」
咲夜さんがそう言うと目の前には紅茶とケーキがあった。
「え?!食べていいんですか?」
「はい」
「やったー!ケーキだぁ!」
俺は思わず声を上げてしまった。
「外ではケーキ食べないの?」
パチュリーが聞く。
「ケーキなんて食べたことないよ。家貧乏だし。」
「貧乏?本当?」
「パチュリー様、貧乏だからと言って不幸な訳ではありません。」
「初めて知ったわ。」
俺には分からない話なので聞き流した。
「では楽しんでください。」
そう言うと咲夜さんは何処かに行った。
「咲夜さんって何人?ルーマニア人じゃなさそうだけど。」
「日本出身って聞いたわ。」
「日本?!東の方にある?」
「ええそうよ。」
俺には日本は東の遠い国というイメージしかなかった。でもなんか引っかかる。
「パチュリーは?何処出身?」
「私はトランシルバニア、貴方と同じよ。まあドイツ人だけどね。」
「そういえばちょっと前までここオーストリアだったって父さんが言ってた。」
「そうよ。」
その後俺はパチュリーを質問攻めにした。
「何歳?」
「10歳。」
「同い年じゃん!学校は?」
「〇〇ってところ。」
「同じ学校なの?」
「あの学校人数多いから知らない人も居るわよね。」
「今度一緒に帰ろ!」
「いいわよ」
こんな感じにパチュリーを詮索した。今から思えばパチュリーはよく答えてくれたな。
そんなことしている間に「そろそろ日没です」と咲夜さんに言われたのでその館を後にした。なんでもここら辺は吸血鬼が居るらしい。俺はその館を後にした。「また会おうね!」とパチュリーに言われた。「うん!絶対行く!」、二人の子供の声が静かな森に響いた。
そうそう、あの館名前は「紅魔館」って言うんだって。かっこいいよね!
蓬莱人形、リーインカネーションのサイドストーリーから生み出された妄想です。




