バッカス様登場
誤字・脱字・感想等ございましたら、遠慮なくお願いします。
【バッカス様登場】
チンチンドンドン、ピーファラピーファラ。
何やら外が騒々しい。
外に出てみると、カブキなお兄さんを先頭に50人ぐらいの集団が踊りながら練り歩いていた。
よく見ると、神さまたちも涙目で踊りながら後ろに連なっている。
『君か、酒を開発したのは』
『はい、そうですが』
『なんで、僕に言わないの』
『と言われましても』
『言い訳なし。断罪』
『?』
『あれ? 断罪!』
『何やってるんですか?』
『おかしいな。僕の魔法が効かない』
『ああ、さっきからこそばゆいと思ったら、魔法だったんですか』
『こそばゆいだと、馬鹿にしやがって!』
いや、相当弱い魔法なんだけど。
フィナのほうがずっと強い魔法を打てるよ。
『誰なんですか?』
『聞いて驚くな。オレこそが・バ・ッ・カ・ス・様・だ~』
いや、ミエ切らなくてもいいから。
なんだか、はずしてる人だな。
白けてると、
『駄目。有罪。やっぱり断罪』
といいつつ、僕に斬りかかってきた。多分。
というのは遅すぎて、何やってるのかわからなかったからだ。
僕は簡単に避ける。
『僕の剣を避けるとは凄腕だね!』
『あのー、なんの茶番なんですか。疲れるんですけど』
『ムキー!またもや僕をバカにする。魔法も剣も効かないなんて、君、ひょっとして特級神?』
『僕は人間です。特級神とか知らないし、はっきりいって、あなたの魔法も剣もとろすぎ』
『人間だと?嘘をつけ。人間ごときがそんなに強いわけないわ』
『剣なら、僕より強い人もいますよ。ランベルト。ちょっと軽くやっちゃって』
バッカスはランベルトに斬りかかる。
というか、切ろうとした瞬間に剣を奪われ、頭を軽くこずかれる。
『マイナス50点。基礎からやりなおし』
『へ?何言ってるの?』
『ランベルトは神々の剣のトレーナーじゃ』
『そうじゃ。おまえの剣は基本的にひ弱じゃ。幻覚魔法をふりまいてごまかしてるだけじゃ』
『あー、僕の秘密を!それ、言わない約束でしょ!』
『いや、そんな約束初めて聞いたわ』
『忖度って知らないの?』
『なにいっとる。儂らにも幻覚魔法かけおって。お前の偽信者の後で踊り狂ってしもうたわ』
『ロレンツォ。こいつ、鍛え直してやってくれんか。こいつは甘やかし放題で自分が強いと勘違いして生きてきたんじゃ。しかも、数々の非道をやらかしとる』
『非道の数々1。自分に従わない人々を動物に変身させる』
『非道の数々2。幻覚魔法で自分を強制的に囃し立てる集団を作る』
『非道の数々3。可愛い子はすぐに自分のものにしようとする』
『非道の数々4。気に食わないと処刑』
『非道の数々5……』
『わかりました。彼を更生させましょう。ランベルト、きっちりやっちゃって』
『了解』
ランベルト・ブートキャンプに新人が加わった。
『……助けて……』
『……ヒィィィ……』
『……』
毎日、バッカスはほんの5分ほどで気絶してしまう。
逃走は許さない。
僕の強制魔法は強力だ。
毎朝、必ず訓練に出るようにコントロールできる。
『バッカスの幻覚魔法は厄介じゃの』
『うむ。我々にもかかるからな』
『それしか、取り柄がないのよね』
『しかも、酒がないと魔法が唱えられんときた』
『というか、酒がないと引きこもりになる』
うわっ。引きこもりという言葉に親近感を覚える僕。
『ロレンツォ。お前は最近、神々を平気で従えるようになってきたの』
『うむ、ゼロスよりも主神にふさわしいわ』
『どうじゃ、ロレンツォ。主神やってみないか』
いや、そんなバーゲン品売る様なお気楽なもんでもないと思う。
『今なら、妾たちもついてくるぞ』
『?』
『妾たちがロレンツォと夫婦になるということじゃ』
『僕、とし……ングッ』
『(あんた今“年増”って言おうとしたやろ。業火で塵も残らないほどの攻撃を受けるで)』
マリアのお陰でたすかったようだ。
『……ああ、慎重に考えておきます……』
僕は冷や汗を垂らしながら、なんとか返事をしたのであった。
ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。
励みになりますm(_ _)m
4作目『煌人~2万年の時を越えて~』連載中です。
リンクを下に貼っておきます。ぜひとも訪れてお読みくださいm(_ _)m




