悪魔大戦
【悪魔大戦】
さて、ハデス様の仕事を紹介する。
ハデス様は死界に住んでいる。
死界は、死人の国という意味ではない。
(ハデス様以外)誰も生存できないから死界という。
ハデス様の仕事は、サブエリアの管理である。
この世界は、天界、地上界、死界の他にもいくつかの世界に分かれている。
ハデス様は死界の管理ももちろんするが、メインは冥界の管理である。
冥界は、いくつかある世界の一つで、
言葉どおり、死んだものが滞在する世界である。
そして順番が空き次第、転生していく。
この冥界を根城とする軍団がいた。
天界を追放された元下級神の集団である。
ゼロス様以下十二神が上級神だが、
上級・下級は単に誕生が早いか遅いかの違いでしか無い。
格の違いを表しているのではない。
ただ、冥界を根城にしている軍団はクズである。
ゼロス様なみに。
軍団長の堕天使ルシフェル。
サタンとして有名だ。
元天界の天使で、かなりのわがままっ子であった。
そのわがままさを注意されたことで癇癪をおこし、
勝手に冥界に家出して悪魔を自称。
飢餓王ベルゼブブ。
性的な儀式を執り行い、セクハラで天界を追放。
アザゼル
人間の女性に恋したため、堕天使として地上界に。
これは同情の余地があるとしても、追放後、男には武器、女には化粧を教え、地上界を堕落させたことで冥界に追放される。
アクィエル
天界が安息の日と定める日曜日にどんちゃん騒ぎを繰り返して追放。
アガレス
猥談を好み、女神に嫌われてもやめなかったので天界追放。
サキュバス
エッチ大好きで依存心が強すぎて風紀を乱し、天界追放。
正直、どうしようもないだらけた軍団なのである。
彼らが天界に反意を抱いている、と聞かされても、
苦笑するしかない。
しかし、彼らは不当に天界を追放されたと思っている。
今また、新たに天界に恨みを抱く要素が追加された。
『奴らはオレたちをさしおいて、スィーツや宝石、ゲームに囲まれて暮らしているらしいぞ』
『どうしてオレたちだけ我慢しなくちゃならないのか』
『軍団の総力をもって天界を改革すべきでないか』
こうして、軍団は天界に侵攻した。
この粗略でガサツな集団が実は強かった。
いや、もとい。
天界はおそろしく弱かった。
あっという間に、男神を中心に天界は崩壊していく。
『お願い。手を貸して』
女神ジュノー様が僕たちに参戦を打診してきた。
付き合いもあるし、天界が乱れるのは本意ではない。
僕とランベルトは出陣した。
というと格好いいが、なんのことはない。
あっという間に悪魔軍団を駆逐してしまった。
『ロレンツォとランベルト。誠に感謝じゃ。おぬしたちには、天神と鬼神の称号を贈ろう』
いや、人間に簡単に負ける神々とか悪魔ってどうなの。
『あのな、前にもいったやろ。神って、この世界ができたときについでに生まれてきた存在。なんかの役割は与えられてるけど、強いわけやない。強いて言うなら、不死身ってことだけやな』
マリアの解説。
神の称号をもらっても全然うれしくない。
でも、不死身はちょっといいかも。
500年ぐらい生きたら飽きるかもしれないけど。
『じゃあついでにお願い。フィナにも何か称号あげてよ』
というわけで、フィナには地母神の称号が与えられた。
神々のトレーナーだしな。
さて、神々が弱すぎるのも見栄えが悪すぎる。
ここはランベルト・ブートキャンプVER3をすることにする。
対象は十二神と冥界軍団だ。
『では神々と悪魔の皆さん。集合してください』
なにか嫌な予感がして逃げようとする神もいたけど、
僕たちは神の称号をえたからか、強制力が強まったようだ。
『おお、逃げられんではないか』
『ゲームがオレを待ってるのに』
『嫌な予感しかない』
『神々と悪魔の皆さん。平和な日に慣れてしまったようなので、少し張りのある日を過ごしましょう』
というわけで、ランベルト・ブートキャンプVER3が始まった。
『……助けて……』
『……ヒィィィ……』
キャンプを脱走しようとすると、強烈な電流が体を流れる。
『……』
そこら中に、気絶した神々と悪魔が横たわった。
それでも、女神は比較的短時間にブートキャンプを卒業した。
6パックになり、スタイルが良くなったと喜んでいる。
その他は毎日、地面に這いつくばっている。
『もうさ、いっそのことロレンツォが創造主やったら。見栄えもいいし』
『そうじゃ。あんなハゲのむさ苦しい軟弱男よりもええわ』
『スィーツ食べ放題だし。賛成やわ』
いや、それは勘弁してもらった。
だいたい、創造主って特別の役割をもらっているから創造主なんでしょ?
ホント、無茶振りやめてほしい。




