日本に戻ってきた3
【日本に戻ってきた3】
結局、ユニ○ロを数セット買う羽目になった。
ユニ○ロだから負担は小さいけど、時間がすごくかかった。
あんまりファッションにこだわりの無いマリアが
日本の服に興味が湧いたみたいで、
『ロレンツォ、この本に載ってるような服欲しい』
どこからかファッション雑誌を手に入れてきた。
スィーツ・宝石に続く楽しみを見つけたみたいだ。
『その前に腹減った。ご飯ね』
しかし、この騒動どうしよう。
ユニ○ロの店内がファッションショー状態になっていた。
マリアの独壇場である。
9頭身で痩身なうえに、女性らしい丸みもあるからね。
ユニ○ロだろうがなんだろうが誠によく似合う。
と思ってたら、僕も参加させられて結局着せ替え人形になった。
入ってくるお客さんがどんどん増えてきて収拾がつかない。
こんなんだと、人気のおしゃれな繁華街行くと不味いな。
店を出るときも大変だった。
ぞろぞろと人を引き連れていくので、まくのがひと苦労だった。
少しでも身を隠すところがあれば、そこで二人共猫になって脱出だ。
さすがにラグドールというわけにはいかない。
普通の黒猫、茶トラとかだ。
さて、ようやくご飯の時間だ。
いつの間にか、かなり陽が傾いている。
時間が中途半端なので、コンビニに行くことにする。
『レストランとちゃうんか』
『日本のコンビニは馬鹿にできないから』
僕はサンドイッチとかパン、スィーツ、飲み物を適当に買う。
部屋に戻ってようやくゆっくりできる。
『ほんまや。普通の卵のサンドイッチからしてメチャ美味しい』
『これはフルーツのサンドイッチや。フルーツをはさむなんて考えもしんかったわ』
『パンやスィーツもレベル高くてショックやわ。ウチらの領地で作るやつより美味しいかも』
『言っとくけどね、この国だけだから。他の国だと、コンビニのパンとかは数段落ちるからね』
『万屋でこれだと、専門店はもっと美味しい?』
『コンビニはかなり美味しいけどね。でも、人気のあるところだとビビるよ』
やることはやったので、次の日からは観光を楽しむ。
というか、グルメ巡りが中心の日々となった。
マリアは風景とか建物とかに興味がない。
『なんや、この国の料理。焼き肉。とんかつ。鶏の唐揚。ウチらの領地のも美味しいとおもてたけど、レベルがちゃうがな。あと、お米。メチャ美味しいわ。これ使ったなんとか丼。カツ丼、天丼、天津飯。パンもスィーツもパスタも。コーヒーなんかでもウチらのと全然違う。スィーツの一部ぐらいやわ。勝てそうなの』
あと、二人でオーラを消す練習をした。
これが難しくて、完全にオーラを消すことができない。
それでも、以前よりは格段に地味に見えるはずだ。
1週間ほど観光したあと、元の世界に戻ることにする。
『なあ、ロレンツォ。私はしばらくここに住むことにするわ。お金だけ置いといて』
『アーチェミーさんに滞在は1週間と言われたでしょ。それ以上だと“管理者”に気づかれるって』
管理者とは、この次元の役人的神様のことだ。
十二神みたいな普通の神様はろくでもないのが多いけど、役人的神様は非常に厳しい。
『ジェットコースターもお化け屋敷も服もスィーツもご飯もまた今度ね』
『ブー』
マリアはスィーツだけじゃなくて、ジェットコースターとお化け屋敷もお気に入りとなり、日本中を巡ってワーワーキャーキャーうるさかった。
あとは、服屋めぐり。
ちょっと高いところで買うことにした。お客さんが少ないからね。
毎日5時間は服屋のはしごをする。
僕はヘトヘトだ。
マジックバッグを持っているからいいものの、なかったら荷物で前が見えないだろう。
それにしても、僕は転生先の世界を元の世界と感じるようになっている。
すっかりあの世界に馴染んだんだな。
では、次元の狭間へ。
転生科学者にお土産を渡すと、
『お土産はいらないって言ったのに。でも、これは虎○の羊羹とす○の栗きんとんか。ワシの好みがよくわかったの。ひさしぶりじゃよ』
僕はお茶も勧める。
『いれたてのお茶をマジックバッグで運んでくれたか。文句ないの。すまんが、また頼むよ』
彼は元日本人だった。
しばらく日本について歓談したあと、元の世界に戻ることにする。
『この転移魔法陣は、ロレンツォが前回使用した時間・場所に転移する。この機能がないと、場所はともかくでたらめな時間に飛ばされるからの』
ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。
励みになりますm(_ _)m




