日本に戻ってきた2
【日本に戻ってきた2】
さて、まずは資金の用意だ。
僕は親の遺産で暮らしていた。
通帳にはそれなりの数字が並んでいる。
それに手を付けるのは違う気がするので、
転生先で入手した金・宝石を売ろうと思う。
部屋に戻り、売却先をネットで調べてみる。
すると、けっこう厄介なことがわかった。
税金とか証明書とかである。
そこで困ったのが、僕の身分証明書。
日本での証明書はパスポート、免許書、国民健康保険書、年金手帳、
マイナンバーカードがある。
写真のついているのは使えない。
僕は日本人の僕ではない。
この世界では存在しない人間だ。
そこで、写真のついているパスポート、免許書、マイナンバーカードは紛失届を出して再発行することにした。
国民健康保険書、年金手帳で身分は証明できる。
変身魔法で髪と瞳を黒にすることはできる。
それだけで、日本人に見えないことはない。
超絶イケメンだけど。
日本人って顔の幅が広いんだよね。
幅って、横幅じゃなくて種類ってこと。
狭い国なんだけど、かなり雑多な人種だ。
当面は金額の大きいものを売ることが難しいので、
僕の前世の貯金を流用することにする。
再発行申請したあとで、電気店街に行きいろいろ物色する。
すると、店員さんは英語で話しかけてくる。
僕がネイティブな日本語で応対しても、
やはり対応がギクシャクしている。
僕は外見は髪と瞳以外はかなり濃いし、
多分、振る舞いがもう日本人じゃないんだろうと思う。
だって、日々外国人と接している店員さんが、外国人と日本人を見間違えるとは思えないもの。
日本人って、外見じゃないんだよね。
肌や瞳の色とか関係なく、日本語がネイティブであるかどうかが大事。
それは、日本というコミュニティの一員であるという証明。
つまり、日本の作法に精通しどっぷりつかっているということだ。
僕はそのコミュニティからはずれてしまったんだろう。
多分、僕の日本語もどこかネイティブじゃないんだろう。
まあ、悲しいとかはないけど。
ただ、英語でも完璧に応対できる。
何語でもいけると思う。
翻訳レベル8だから。
それこそ、どこかの小国の方言でも対応できるんじゃないかな。
さて、購入するもの。
ポータブル太陽光発電機。かなり出力の大きいやつ。
パソコン関係ならば、数日は稼働できる容量だ。
最高級ゲーミングパソコン一式。周辺機器もね。
それから、ゲームチェアとか。
有名なゲームを手当たりしだい。
これも1セットずつ購入した。
こっそりとマジックバッグにしまう。
再び部屋に戻り、ネットでスィーツを検索する。
『なにこれ、えらいたくさんの種類のスィーツがあるやん、食べきれんわ』
僕は人気のあるスィーツをピックアップし、
マリアには気になるスィーツをチェックさせる。
世界中といきたいが、現状ではまだ行動範囲が広くない。
飛行魔法で飛んでいけるぐらいの距離。
つまり、日本の大都市が当面の行動範囲となる。
見つかりにくい場所、例えば高層ビルのペントハウスの屋上とかに転移魔法陣をおいてきたので、日本の主要都市には瞬時に転移できるようになった。
和菓子・洋菓子問わず、どんどんと購入してマジックバッグに放り込んでいく。
さて、一通りショッピングが終わったあとで、昼食兼スィーツタイムだ。
その前に、マリアの服とか買わなくてはならない。
ただ、マリアは人間の姿に戻るとちょっと歩くだけでも注目度が凄い。
出来る限り地味な服を来てこの世界に来たのだけれど、
美貌+9頭身+女神オーラでキラキラしている。
とりあえず、ユニ○ロで上から下まで揃えてもらうことにした。
選択は店の女性スタッフにまかせた。
そしたら、スタッフ全員が集まってきてしまった。
『ね、だから言ったでしょ?』
『えーねん、かぼちゃみたいなもんや。向こうの世界でもよくこういうことあったしな』
僕は全く落ち着かなかったけど、マリアは周りに人がいないかの如くゆったりと着せ替え人形を楽しんでいた。
改めて思うけど、マリアは美人なだけじゃなく、オーラが凄い。
女神なだけはある。
『何ゆーとる。ロレンツォもオーラ、ビンビンに出てるで』
うわっ。僕もか。美形なだけじゃないのか。
ちなみに、未だに僕はロレンツォの美形になれない。
僕にはフツメンの引きこもり日本人という感覚が根強く残っている。
だから、『ロレンツォ』が美形なのであって、それは僕のことじゃない、
という気持ちでいる。
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