男神の復活3
【男神の復活3】
次は、揚げ大鮫魚の甘酢あんかけ。
『大鮫魚って?』
徐福が蓬莱山へいこうとしたら通せんぼをしていたでかい魚。
始皇帝自ら船に乗り出し、弓を放って倒したという。
それが「大鮫魚」という妖魔。
『ちょっとまって。つまり、大鮫魚って前世地球にいたとされる伝説の魚?』
『そうじゃ』
『それに、退治されたんでしょ?まだいるの?というか、この世界にいるの?』
『知らん』
はい、詰みました。
ゼロス様はいい加減なことがよくわかってきたので、
ハデス様に聞いてみる。
『大鮫魚?どっかで聞いたことあるなー。ちょっと待って。ウチにある本を調べてくる。何にもないけど、世界樹の幹から絞り出したジュースでも飲んでて』
世界樹をよく見たら、太いパイプみたいなものが幹に突き刺さっている。
そんなことして大丈夫なんだろうか。
『この魚のことかな。次元の狭間でさまよう魂を食らう、と出ている。これは次元の狭間の研究者アーチェミーに聞くしか無いかな』
なんだか、まさしく次元の違う話になってきた。
そんな魚を討伐できるのかな?
次元の狭間にいる研究者というのは、前世日本からこの世界に転生した元日本人科学者だった。
ロレンツォが城で読んだ日本語の古文書は彼が執筆した。
彼はこの世界で魔法を研究しつくし、
この世界の発展に寄与した。
しかし、文明が発展しすぎて人々は文明の利器に頼りすぎ、
古代文明は滅んでしまった。
彼はさらなる高みを目指して次元の狭間を発見、
ここを根城にして生命の神秘を研究している。
その研究の成果の一つが、死後に次元の狭間でさまよう魂の制御だ。
その一つが“僕”の魂であったわけだ。
しかし、これが前世地球の次元では大問題になった。
膨大な転生者がいるのだが、管理は厳格であった。
一人の転生者の行方不明に対して厳しい管理責任を問われた。
管理責任を問われたのは、転生者を管理するオルフェである。
彼女は地位を2段階降格された。
その上で、魂が失踪したと推測されるこの次元に飛ばされた。
失踪した転生者を見つけるためにである。
ただ、見つけても1段階昇格するだけで、元のポジションには戻れない。
つまり、元の世界には戻れない。
だから、失踪者がどうなろうとオルフェは興味を失っていた。
ロレンツォはハデスに言われた通り、アーチェミーに会う前にオルフェの元を訪れた。
彼女の家に訪れると、ドテラを着て頭がボサボサの女性が出てきた。
『オルフェさんですか』
『訪問販売なら間に合ってるよ』
『いいえ、僕たち、ハデスさんの紹介で伺いました』
『あー、何用?』
『アーチェミーさんのところへ行きたいんですが』
『めんどいから、またね』
『オルフェさん。これ、つまらないものですが』
『このスィーツは○屋銀座の“銀座ハニー”。こっちはパリローランド・ゴダールの苺タルト。そして、こっちは……』
これには、ハデスのアドバイスがあった。
スィーツをお土産にもっていけと。
オルフェはロレンツォの持ち込んだスィーツを見るや、トロンとした目に光が宿った。
降格前、彼女は休暇になると前世地球をうろついて、スィーツめぐりをしていたのだ。
『もう一生会えないと思っていたスィーツが』
一生、というのは宇宙の一生に等しい。
それはいったい何十億、何百億年の話であろうか。
それがこの貧相な世界で夢にまで見たスィーツに再開した。
彼女がロレンツォになびくのは一瞬のことであった。
彼女は転生者の管理責任者として、次元の狭間へと通じる秘密の入り口を知っていた。
次元の狭間にいる元日本人転生者~アーチェミーのことも把握していた。
彼の発見によって、前世地球への転移門が次元の狭間に設置されていた。
これを使って、彼女はこっそりと元の次元へ帰ろうと試みたのだが、
上手く行かなかった。
次元を横断するほどのエネルギーを彼女が持ち合わせていなかった。
そもそも次元横断するには彼女は虚弱すぎた。
『次元の狭間へはその転移魔法陣を使えば一瞬で行ける。転移魔法を使える君なら問題ないよ』
オルフェには月10セットもってくることにした。
スィーツは彼女に活力を与えたようで、彼女の身なりは改善され、
いかにもできる女子風に変身するのであった。
ロレンツォはマリアを連れて転移魔法陣で転送してもらう。
転移魔法陣は、前世の伏見稲荷神社の千本鳥居のようだった。
鳥居をくぐり抜けると次元の狭間につながった。
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