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男神の復活1

【男神の復活1】


 僕は男神のために、復活ドリンクの材料を集めることになった。


 それは次の3つだ。

 世界樹の葉、大鮫魚、エーテル。


 いずれも難題である。

 まずは世界樹の葉からとりかかる。


『世界樹の葉というのはどこにあるのでしょうか』


『昔は天界で普通に採取できたんじゃが。そもそも、世界樹の枝が空を覆っておったが、いつのまにか消えてしまったの。お前の領地の裏山を探せ。山脈の合間に広い盆地状の土地がある。そこに生えているはずじゃ』


 僕は一旦領地に戻り、精霊のみんなやアトラクさんたちに聞いてみた。


『世界樹の葉は昔は割と色んな所に生えていましたが、今は聞かないですな』


『領地の裏の山脈に生えているとのことですが、そもそも裏の山脈は気候が過酷で木が生えておりません』


 僕も裏の山脈は何度か飛び回ったことがあるけど、

 木が生えているところを見た記憶がない。

 世界樹は天にも届かんというような大木らしいけど、

 そんな木なら遠くからひと目でわかるはずだ。


 ここで大亀さまであるエナリオス様からいいヒントをもらった。


 この世界は、大きく3つに分かれる。

 天界、地上界、死界だ。

 世界樹は死界で根を張り、人間界で大きく成長し、

 やがて果実を天界で実らせる。


 地上界で世界樹が見当たらないということは、

 死界に行って原因を探るのがいいかもしれない、と。


『死界、って死人の国ですよね』

『死んだものが住まう、という意味ではない。誰も存在できない氷の国であるから死界とよばれておる』

『では、僕らも行くことができないのではありませんか』

『そんな世界なのだが、実はそこを管理するものがおる。ハーデスというものが死界の泉のほとりで暮らしているはずじゃ。ワシの兄者じゃ』

『どうやっていけばいいのでしょうか』

『山脈をよく探せ。世界樹の跡がどこかにあるはずじゃ。そこに触れてみよ。死界への転移魔法陣につながっていると言われておる』


 大亀様はスィーツを食べながら、僕たちに説明してくれた。


『ところで、このコーヒーなるものもスィーツに合うの。苦味がちょうどよい』

『次回、甘さ控えめのコーヒー缶をもってきますね』


 最近は、甘いだけじゃなくて、微糖タイプとか無糖タイプの缶コーヒーが流行り始めている。



 僕たちは、山脈の上空を旋回し、慎重に世界樹を探し回った。

 山脈は広いが、広い盆地状の土地、というヒントもある。


『ひょっとすると、あれちゃうか?』


 マリアが何か見つけたようだ。

 そこは一見周囲と変わらない景色であったが、

 微妙に色が周囲と違うように見える。


 降りてみて、地面に手をあて気配をさぐる。

 確かに地下に不思議な力を感じる。


 土魔法で地面をほっていくと、やがて魔法陣が浮き上がってきた。


『よし、魔法陣に入ってみよう』


 転移すると、キラキラ光る水晶に囲まれた泉のほとりに出た。

 辺りを見渡すと、小さめの館が見える。


 館の方へ向かうと、中から凄い勢いで獰猛な犬が僕たちを襲ってきた。

 かろうじて犬をかわして睨み合っていると、人が出てきた。


『ガルム。ステイ。何か転移魔法陣が反応した気配がしたから見に来たんだけど。一人は猫?女神ブランディーヌだね?久しぶり。それと、君だれ?』


『僕はロレンツォといいます。世界樹を探していたらここまで来てしまいました』

『すると、転移魔法が使えるということか。君は優秀なんだね。あー、私はハデス』


『ハデス様というと、ゼロス様の弟君の方ですか』

『ああ、そうだよ』


『実は、ゼロス様が世界樹の葉を求めていらして』

『このところ、兄上の波動が小さくなってて変に思ってたんだよ。なんかあったの?』


 僕はハデス様にカクカクシカジカと経緯を説明した。


『なるほど、女神達が怒っちゃったのか。まあ、自業自得だね。実は僕がここにいるのも天界を離れたいからなんだよ。正直いって、兄上たちはやりたい放題だからね』


『ただね、世界樹は僕も困ってるんだ。実は、世界樹の根をかじる精霊がいてね。普段はいい精霊なんだが、その精霊の調子が悪くて、世界樹が枯れちゃったんだよ』


『ハデス様がどうにかできないのですか?』

『僕はここを管理する必要があって、この場所を離れられないんだよ。目の前に泉があるだろ?何故か水質が悪化してね。僕が悪化を食い止めてるんだ。一番いいのは水の悪化の原因を探ることなんだけど。とりあえず、ちょっと精霊を見に行ってもらえないかな。お礼はするよ』



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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