ご飯をなんとかしてほしい3
第2作目始めました。
誤字・脱字・感想等ございましたら、遠慮なくお願いします。
【ご飯をなんとかしてほしい3】
肉類を売ったお金で市場から野菜や穀物を購入している。
この国は割合温暖で、雨も適度に降る。
だから、比較的食材が豊富だ。
前世でも主力となる野菜はこの世界にもある。
つまり、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、カブ、キャベツ、トマト、ナス、きゅうり、ピーマン、大豆、ニンニク、香辛料、各種オイルといったところだ。
ただ、保存しやすい野菜が多い。
それと、前世日本と比べると野菜の質は少し落ちる。
それから、パン。
王家クラスだと、しっかり管理された小麦粉を使う。
つまり、石などが混入しておらず、未熟な小麦を弾いてある。
ただ、小麦の皮は混入している。全粒粉だ。
そうした小麦粉を使うので、庶民の食べるパンよりも色は白いし、きめ細かい。
だが、そのようなパンは高価で、ロレンツォのところまで回ってこない。
そこで、ロレンツォは小麦を市場で買い、
これを森の秘密基地で製粉している。
小麦粉にするのは魔法で。そんなに難しくない。
①石や未成熟な小麦を弾いて、しっかりした小麦のみ選別する。
この段階で庶民のパンと大きな違いが出る。
②小麦を水に濡らす。細かくしやすいからだ。
③小麦を細かく製粉する。
王国では臼を使う。ロレンツォの魔法の方がきめ細かく製粉する。
④皮を弾く。(全粒粉の場合は残す)
こうした手順を踏む。魔法の精緻なコントロールが身につくが、
ポイントは何よりも余分な物を取り除くこと。
どんなに素晴らしい製粉をしても、砂粒一個で台無しだ。
製粉は熱を出さないことと、真空状態を意識している。
酸化して品質が劣化するからだ。
パンの作成も、小麦を利用したパン酵母作成から手をつける。
この世界では、まだ酵母が理解されていない。
ただ、酵母の存在は朧げながら周知されているようで、
エールの樽に残っているビール酵母を利用したりしている。
また、パンを焼く窯は庶民では持っていない場合が多い。
窯の所有は、既得権益で貴族や教会などに独占されていたり、
価格的に庶民には手の余るものだったりする。
つまり、パンは専門家に焼いてもらった方が値段も安く楽できる、
ということだ。
僕は、パンの発酵からパンを焼くところまで自分で行った。
当初は、変なものしか出来なかったのだけど、
段々と習熟していった。
特にパンの発酵は難しい。
気温、湿度や酵母の調子に大きく左右される。
前世日本ではホームベーカリーでパンを焼いていた。
そのとき、あれこれ奮闘したのが役に立っている。
『お坊ちゃまの言うとおりにパン酵母からやってみたら、凄いフカフカのパンができるのですね。けっこう、失敗しちゃいますけど』
『僕も失敗を重ねたよ。酵母発酵は温度、湿度とかに左右されるから、空気調整室でパンを作ると失敗が少ないよ』
お城の台所は温度や湿度が一定ではない。
夏場だと過発酵しがちだし、冬場だとパンがふくらまない。
だから、パン専用工房を肉貯蔵庫の隣に作った。
温度30度弱ぐらい、湿度80%ぐらいを保つ部屋だ。
これは後年、魔道具の作り方を学習するようになってからのことだ。
『このふっくらパン。お城でも食べたことのないレベルですな』
アルベルトも大絶賛だ。
ただ、手作り酵母は不安定だ。
だから、いわゆるドライイーストを作ってみた。
イースト菌を乾燥させたものだ。
他に治したいものは、塩辛さと、ハーブの使いすぎ。
王族・貴族が好んでこの味付けにしたがる。
庶民との差異をはっきりさせるためらしい。
塩もハープも高値で取引されている。
しかし、そういう考え方って貧乏臭いと思うのだけど。
それに、素材の味がしない。
あれは、肉の品質管理がよくないせいもあるのかもしれない。
臭いから、塩とかハーブでごまかすしかないみたいな。
ここいらも、謎の古文書を持ち出してフィナを説得した。
塩のとりすぎはイライラが・・・とか。
ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。
励みになりますm(_ _)m




