表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/102

ツォン帝国1

【ツォン帝国1】


 ツァン帝国はブロクシュ大陸の西側を占める大帝国だ。

 ツァン族は遊牧民であり、定住しない。

 ゲルというテントの大きいものを住処とし、草を求めて移動する。


 彼らの生活の大半は馬上で過ごす。

 場合によっては、睡眠も馬上で行う。


 彼らはこの生活を千年以上繰り返してきた。

 千年前のやり方を今日も行う。

 そして、千年後も同じやり方で過ごすつもりであり、

 それを誇りとしている。


 彼らの武器は弓矢である。

 馬を見事に駆りつつ、ヒットアンドアウェイで短弓を放ってくる。

 身軽さが身上ゆえ、軽装である。


 彼らにとっては魔法よりも弓矢である。

 魔法は詠唱を唱える。無詠唱はめったにない。

 魔法を唱えても、素早い彼らはその場にはいない。

 また、動いているものを魔法で当てるのはかなりの繊細な操作が必要だ。

 だから、彼らは魔法を馬鹿にしている。


 そして、この戦闘スタイルで大陸の西半分を制覇した。

 スタイルを変える必要がない。



 彼らの戦いは非常に残忍で知られる。

 しかし、それはお門違いというもの。


 彼らのメンタルでは、

 自分≧家族≧仲間≧家畜、奴隷>降伏した敵>>>敵対した敵

 という順番があった。


 基本的に、敵は人間とみなされない。

 それどころか、家畜にも遠く及ばない。


 ゴキブリを殺すときに残忍とか言われるであろうか。

 虫けらを殺すがごとく、家畜を殺すよりも無感情で敵を殺すのである。

 流石にこの考え方がおかしいことにソージンは薄々気づいていたが、

 それでも長年の伝統になじんでしまっていた。


 ソージンは自分たちのスタイルに概ね満足していた。

 しかし、ほんの僅かであるが、どこか物足りなさを感じないわけではなかった。

 それが何なのかは漠然としていてわからなかったが。


 そんなある日。

 いつものように、旅行者を襲いにいった襲撃部隊が半壊して戻ってきた。


『何が起きたのかわからんが、敵はおそろしく強いぞ。あっという間に5人がやられた』


『このへんで我々に楯突くやつがいるとは。で、敵は何人だ』

『見える範囲では2人だ』


『そんなバカな。そんなのにやられたのか』

『だからいったろ。筒のようなものをこちらに向けたと思ったら、連続して発光してあっというまに味方の額が撃ち抜かれていた』


『まさか、物の怪のたぐいではあるまいな。よし、一個小隊でかたきをとるぞ』


 彼らは騎兵40名で一個小隊を編成する。

 号令とともに、彼らは憎き敵めがけて馬を走らせた。



『なんや、さっきの奴ら。いきなり襲ってきたとおもったら、あっという間に退却していったで』


 いつものようにフードにおさまっている猫マリア。


『ランベルト、あれがツァン族なのかな。多分、味方を呼びにいったんだろう』

『おそらくツァン族でしょう。彼らは弓主体の軽装騎兵部隊の運用に長けています。弓と馬だけでここまで版図を拡大してきました。彼らは残忍で強壮だといいます』


 その割にあっという間にやられていたけど、モブチームだったのかな。


『彼らは魔法をバカにして弓しか使いません』


『なんで魔法を使わないの』

『通常、魔法は詠唱が必要です。これが致命的ですね。それから、魔法は動くものに対してコントロールが難しいです』


 ああ、確かに。

 普通の魔法使いって、味方の後方でためを作って魔法を発動するもんな。

 ちょっと使い勝手が悪い。


『そんなこと言ってる間に、地平線の彼方に土煙。敵がもどってきたようですね』

『ざっと40ぐらいか。広域魔法でやっつけようか』


 数百mまで近づいたときに、ロレンツォは魔法を発動した。

 敵を一気に補足してそれぞれに風刃を飛ばす。


 一瞬にして、40近くの騎馬兵が倒された。

 指揮者とおぼしき騎馬兵を残して。


 彼は暴れる馬から振り落とされ、呆然と座り込んでいた。

 腰をしたたかに打ちうつけたのである。


『君は指揮官だね。名前は』

『ソージンという。お前らは鬼神か何かか』

『いや、ただの旅人だけど』


『ただの旅人があんなに強いわけあるか』

『あのさ、世の中広いんだよ。僕クラスの人間なんてたくさんいるよ』


 衝撃を受けるソージン。


『嘘をつけ。そんなのみたことがない』

『東の方へ行ってご覧よ。神聖イスタニアンの向こう側。神聖イスタニアンはつぶれちゃったけどね』


『神聖イスタニアンが崩壊したという噂はほんとうなのか』

『うん。今はボネース帝国の一部。で、キミらは山賊か。ちょっと本拠地まで案内して』


『オレたちは山賊じゃない。ツァン帝国遊撃隊だ。それに本拠地に案内しろだと。アホか』


 猫マリアは誘導・自白魔法をかける。

 彼女はこういった魔法が非常に強力だ。


『……わかりました。こちらです……』


 ソージンに案内されて遊撃隊のキャンプへ向かう。


『じゃあさ、降伏するよう、司令官か誰かに言ってきて』


『……はい、わかりました……』



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ