ご飯をなんとかしてほしい2
【ご飯をなんとかしてほしい2】
熟成させた肉を市場で売ったりもしている。
森で手に入らない食材を買うためだ。
市場へ行くときは軽く変装していく。
しばらくすると僕の肉を評価してくれる人が何人か現れた。
その中で信用できそうな人と数人取引している。
というのは、基本的に商人はこちらを騙そうとしてくる。
特に、僕が子供だと見ると露骨に嘘をついてくる。
なんであんな嘘で騙すことが出来ると思っているのか。
この時代の人達は素朴な人が多くて、
ミエミエの嘘でも簡単に引っかかってしまうようだ。
その中でなんとか信用できそうな商人と取引するのだけど、
やっぱり心底信用することはできない。
気をつけていないと、騙される。
商人たちは騙されたほうが悪い、という感覚だしね。
何か商売をゲームのようにとらえている。
あと、僕は身分を隠しているし、軽く変装もしている。
それでも、どうしても振る舞いに育ちが現れてしまう。
だから、貧乏貴族の息子、ということにしてある。
『坊っちゃん、毎度ご贔屓にありがとうございます』
『いいえ、こちらこそ、毎回高く買ってくれてありがとうございます』
『坊っちゃんの持ってくる肉は、高級肉として取引できますからな。なんであんなに美味しいのでしょうね。北のほうだとこういう肉があると聞きましたが。いや、探るという意味ではありませんよ。単純な疑問ですよ』
『それに皮の状態からも察せられますが、ベテランの猟師が狩ってくるんでしょうか。傷みが殆どありません。氷がついているのも驚きですね』
探りを入れても無駄だよ。僕が狩ってくるんだから。
この世界でも肉の熟成は行われている。
しかし、熟成するために適した洞窟はもっと北のほうにある。
零度近い低温でないと、むしろ臭みがでてしまうからだ。
さらに、南の土地まで運ぶのが難しい。
そうなると、高価についてしまう。
それに、多くの人はそこまでの味を肉に求めない。
血抜きにも神経を注がない。
肉だけで満足してしまう。
下手すると、臭いから旨いという人もいたりするのだ。
つまりこの世界では、肉の処理方法で熟成は珍しい。
まず、乾燥。
これは肉だけじゃない。穀物も果物もステップ1が乾燥であることが多い。
そして、次は塩漬け。
長期保存に向いているからだ。
燻製もよく使われる方法だ。
酢やレモンに浸すことも多い。
ピクルスが代表だけど、肉でも“酸洗い”は行われた。
つまり、肉は臭いか塩っぱいか固いか酸っぱい。
前世日本の記憶があるだけに、この世界での肉食はキツイものがある。
だから、僕の熟成肉はこの世界ではとびきり上等な肉になる。
こうして食材の改善から始まり、料理方法もフィナと一緒に研究していた。
すると、僕の料理スキルもどんどん上がってきた。
僕の料理スキル、一人前のシェフなみかひょっとするとそれ以上になってるかもしれない。
この世界では、僕のスキルはかなり上がりやすくなっているように感じる。
僕と一緒に料理するフィナもどんどん料理スキルが上がってきた。
もともと料理の上手なフィナであったけど、僕の前世の記憶とかも取り入れることで、一流シェフ並になってきた。
ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。
励みになりますm(_ _)m