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おかしな山賊がやってきた

【山賊がやってきた】


『なあ、変な集団が近くにおるみたいやで』


 珍しく、猫のマリアが耳をピコピコしながらそういう。

 目は外を睨んでいる。


『おまえ、そうしてるとまるっきり猫みたい』

『あほか、猫ちゃうわ。てかマジ』

『主、変な空気が流れてますな』


 ランベルトもそういう。

 こういうことにかけてはランベルトが一番。


『ちょっと気配消して見張ってみますか』


 僕はちょっと警戒してみる。

 確かに2kmほど先に変な殺気がある。


 どうやら、川から上陸してきたらしい。

 こちらは蜘蛛防衛にひっかからない。


 ザップにくるには、運河か、森の中を通る道のみ。

 森の道路や川の港には関所がある。

 通行料は取らないが、用心のために腕輪をしてもらう。

 森の場合は、腕輪をしていないと蜘蛛軍団にひっかかる。

 いずれにしても腕輪がないと村の結界にひっかかる。



 僕がこの領地にやってきてから、おかしな集団はしょっちゅう来た。

 大抵は、頭の悪いスパイだ。

 しかし、明らかに破壊工作を目的としたチンピラもいた。


 さして脅威ではなく、あっさりと返り討ちにしていた。

 その手合がまたやってきたのか。


 そう思っていると、いきなり火矢が何本も飛び交っている。


『なんだ?』


 僕はフワリと空に浮かび、偵察に入る。

 見たことのない男たちが50人ぐらいだろうか。

 村の周囲で矢を射ちながら、大騒ぎしている。


『おらおら、俺らはエルバド賊のもんだ。殺されたくなかったら、金目のもん出しな』


 腕輪がないと、結界のかかっている村には入ってこれない。

 だから、村の入口で騒いでいるんだけど。


 どっちにしても兵隊の動きじゃないな。てんで統率がとれてない。

 僕は結界・防御魔法と身体強化魔法をかけて賊の前に出ていった。


『馬鹿なことやってないで帰りなよ』

『何、余裕こいてんだ?』


 賊はいきなり僕に弓を射ってきた。

 でも遅い。遅すぎる。


 僕は射者の斜め前にダッシュすると、まさに放たれようとする弓を横からつかみ、賊の目に突き刺した。


 賊はするどく叫んだと思うと、後方に吹っ飛んでいった。


 その後、数秒内に賊10名ほどを切り倒す。

 空中に浮かび、俯瞰で捉えた賊にむけて土魔法イシツブテを発動する。

 30ほどの小石が弾丸のように山賊たちに直進。

 この石はダイヤと同等の硬度がある。

 あっという間に急所を貫通する。


『『『『『ウギャッ』』』』』


 何が起こったのかわからないまま、賊30名が血吹雪をあげて倒れた。

 残る賊は10名ほどか。


 と思うと、残りはランベルトがあっという間に片付けてしまった。

 親分とおぼしきものを残して。



『おい、どうする?』


 親分らしきものは、僅かの間に起こった出来事に硬直してしまった。

 僕は奴の股間を蹴り上げ、意識を戻してあげた。


『答えなよ。どうする?』

『あわわ、お許しを』

『お許しをじゃないよ。僕は腹がたってるんだ。なんでこんな辺鄙な村を襲うの』


 親分らしきものは泡をふいて倒れてしまった。

 縄でしばり、背後関係を吐かせる。


 こういうときはマリアの出番だな。

 嘘発見器になる。

 賊は、首都方面の裏組織の名を出してきた。



『よし、じゃあ一緒に行こうか。ランベルトもくる?』

『勿論です』


『じゃあ、フィナ、後はよろしくね』

『はい、お気をつけて、お坊ちゃま』


『私も一緒に行く』

『えっ、どうしたの、マリア』


『こういうときは私、役に立つとこ見せたげるわ』

『いや、名前吐かせただけでも役にたってるぞ』


『その代わりに特製スィーツな』


 猫マリアをフードの中に入れ、山賊を連れてランベルトと転移魔法陣に入った。



 ここは首都近くの森にある小屋の中。

 転移魔法のために僕が用意していたものだ。


『さて、その組織の事務所に行こうか』

『どうか、お許しを。殺されてしまいます』


 僕は奴のケツを蹴り上げ、歩かせる。


『マリア、嘘鑑定頼むよ』

『嘘ついたら、目つぶすわよ』

『ヒエエエエ』


 今日はマリア頼りになるなあ。

 顔が綺麗だから迫力満点だ。



 さて、首都スラムにある汚い3階建てのビルにきた。


『ここが事務所なんだな?』

『へい……』


 僕は建物に地震魔法をかけた。震度5弱ってとこか。

 あんまり強いと倒壊するからな。


『うわー!』


 大慌てで男たちがビルから吐き出される。

 全員でたところで、僕はビルを潰した。



『おい、トップはおまえか』

『何えらそうな口をきいてやがる。オレは……』


 僕は奴の股間を蹴り上げた。

 ランベルトはあっという間に他の構成員を倒してしまった。


『誰の差し金だ』


 僕は山賊の首根っこを掴んで、股間を押さえて(うずくま)っている組織のトップに突きつけた。


『いえるわけないだ……ウギャー!』


 マリアが火魔法で頭をこがす。

 M字ハゲだった頭がきれいサッパリになった。


『あのさ、はかなくてもいんだよ。別に』


 僕は指を一本ずつ折っていく。


『次は爪』


 脅しのためにナイフを取り出したところで、


『言う、言うからやめてくれ』


 僕はその瞬間、殺気を感じ、そちらを振り返ると百mほど向こうで魔法陣が浮かび上がるところだった。僕は、魔法の構成をいじった。僕の得意技である。


『ギャッ』


 魔導士が魔法を発動しようとしたが、魔法は自爆した。

 僕は男のもとへ飛びつき、拘束した。


『お前は王室魔導士のものだな』


 見知った顔だった。

 名前はわからないけど、次男とよく話していたことを覚えている。


『帰ったら、王子に伝えておいてよ。3日以内に謝りにこいって』



 そう僕は魔導士に伝えると、彼を開放した。

 さーて、戦争かな?

 今まで僕は攻撃されても自重してきたけど、

 村の態勢が整った今、とことんやるつもりだ。


ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 大多数(兵力1万)いても、突破は不可能だろうな。全兵力を招集したら、ただのお馬鹿だとは思うよ。 まぁ、周りの街や村から略奪するようなら、圧倒的に潰されて、善良な兵士位しか残らないと思う。 …
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