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僕たちの家を作る

誤字・脱字・感想等ございましたら、遠慮なくお願いします。

【僕たちの家を作る】ロレンツォ15歳


 村長さん宅で夕食をご馳走になった我々。

 辞するときに聞いてみた。


『僕たちの家ってどちらでしょうか』


 村長さんは複雑な表情をした。

 なんだろう。多分、ボロいのかな?


『この道をまっすぐ、1kmぐらいでつきます』

『ありがとうございます。落ち着いたらみなさんを招待します』


 来てみると、予想以上に家がボロいし、草はボウボウ。



『えーと、風情があるって感じ?』


 マリアが気を遣うのは珍しい。


『マリア、城にいたほうがよかったかもね』

『何、ゆーとんの。ちゃちゃっと魔法でやっちゃいなさいよ』


 マリアの言うとおりだ。へこんでいる場合じゃない。

 家を立て直すことにした。


 風魔法で一気に家屋を撤去。

 転移魔法でゴミを消去した。

 そして土魔法でそのまま躯体を立ち上げた。


 これだけの大きさの家は初めてだけど、数倍の大きさでも大丈夫そうだ。

 僕ってかなりチート。自分で言ってて照れる。

 ここまで5分ぐらいだからね。



 適当に窓を作ったが、全部ガラス。

 材料はマジックバッグに山積みされている。

 一枚板だ。


 この世界の窓は普通は木製。鎧戸と呼ばれる窓だ。

 宮殿や立派な城でさえ窓は木製の鎧戸である。

 部屋は薄暗く、住民は隙間からふきこむ風にふるえていたのである。


 気の利いた家庭でようやくろう引きの亜麻布や、油を浸み込ませた羊皮紙で窓を覆い、明かりを取り入れた。


 ガラス窓自体は大昔からあるのだけど、長い間一般化しなかった。

 せいぜい、教会がステンドグラスを使う程度だ。

 それは教会が金持ちだったからだ。

 ガラス窓は貴重品だったのである。


 ステンドグラスとウチの1枚板ガラスとの差は圧倒的だ。

 特にそばによれば品質の違いは歴然としている。

 板ガラスには気をつけなくては、窓にぶつかってしまうぐらいだ。

 そのぐらい透明ということだ。


 それにしても、モダンに作りすぎたかな。

 凹んだ分、気合が入ってしまった。

 前世日本の建築設計士が建てた家みたいだ。



 とりあえず、地下1階は倉庫・貯蔵庫。


 1階は広いリビング。応接室。会議室。食堂。台所。トイレ。お風呂。

 客間もいくつか用意した。

 お風呂は男女別で無駄に広くした。露天風呂風なやつ。


 2階は、各自の居住室。僕の寝室と書斎。姉さんの寝室と書斎。

 ランベルト、フィナ、マリアの寝室と書斎。


 それぞれにトイレ・シャワー室付き。

 各室エアコン付き。温・冷水。ドライヤー。排水処理。全て魔道具。

 あと、簡単な埃ぐらいなら除去する清浄機。


 僕たちは、ずっと自分たちでなんとかするという時代が長かったから、

 使用人はいらない。

 料理はフィナと僕がするし。

 掃除・洗濯は魔法や魔道具でやってしまうし。



 家の仕上げは姉さんだ。

 家にめがけて一気に清浄魔法をかける。

 あっという間に、埃とか飛び去ってピカピカになる。



『ご飯♪ご飯♪』


 マリアが食堂の椅子に座って楽しそうだ。


『マリア、働かざるもの食うべからずだよ』

『何ゆーとんの。ここが私の職場』


『職場って。君、料理できるの?』

『あほか。食べるのが私の仕事』


『ああ、猫まんまならすぐできるよ』

『クッキーに決まってるやん。なにそれ、猫まんまって』


 前世日本で猫まんまといえば、ご飯に味噌汁。

 ということは、この世界ではパンにスープ。


『フィナと研究したのがこれ。みんなの分あるよ』


 マジックバッグから出したのはブレッドボウル。

 丸いパンをくり抜いたブレッドボウルに、スープやシチューを入れた料理。


 ブレッドボウルの中身は、

 コンソメスープ。お祖父さんのところの最高級の牛製。

 それでオニオンスープを作り、半熟卵とモッツアレラチーズを入れる。

 最後に、オーブンで焼いたもの。


 マジックバッグに入れておくと、料理したてを出せる。


『私、毎日猫まんまにするわ』

『ほんとね、パンを器にするなんて』

『あれ?私パンも食べてもーた。えらい固かったけどな』


 

 そんなこんなで一段落してから、


『フィナ、悪いんだけど、村長さんちに行ってもらえる? 明日の昼過ぎお茶会を開くから村の人達、仕事がなければ来て、と言っておいて』


『わかりました。美味しいお菓子付きって言えばいいのですね』


 フィナは本当に気がつく。

 人には色んなタイプがいるよね。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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