山賊退治1
誤字・脱字・感想等ございましたら、遠慮なくお願いします。
【山賊退治1】
僕は冒険者ギルドで山賊情報を手に入れつつ、周囲の山賊をプロファイルした。
ヨンナンの冒険者ギルドに認知されていない山賊もいくつかいる。
半径50~100km程度、攻略対象は12となった。
とりあえず一番近くの、といっても十キロほど離れたところに拠点のあった山賊に、ランベルトと乗り込んでみる。
『ここの大将は誰?』
『なんだ、このガキは』
『あー、モブキャラは不要』
僕は軽く風魔法でその山賊たちを吹き飛ばす。
『もう一度いうけど、大将はどこ?』
僕は山賊の腹を蹴り上げて目を覚まさせた。
『ううう』
『ううう、じゃわかんないんだけど』
『なんだ、おめえらは。いきなり襲ってきやがって。子分の敵だ!』
山賊の頭らしき人物その他十名ほどが拠点の奥から飛び出してきた。
探索魔法をかけてあるから、山賊の位置は全員把握してる。
この展開は想定済みだ。
僕は土魔法を起動して穴を掘り、全員をその穴に埋めた。首だけ出して。
『クソっ、卑怯者。魔法なんか使いやがって』
『うん、わかったよ。今から全員土から開放するから』
僕は土魔法で周囲を壁で囲い、競技場のような場所を作った。
そして、山賊30名ほどを全員開放し、
『じゃあいつでもどうぞ』
山賊たちは10秒保たなかった。
僕とランベルトであっという間に気絶させられた。
『なんだよ、えらく弱い集団だな』
頭とおぼしき人物に水をぶっかけて叩き起こした。
全員、正座させる。
『ちょっと聞くけど、これからどうしたい? ①僕に殺される ②ギルドに連れていき鉱山奴隷になる ③僕の配下になる』
『フザケルな。正解はねーよ』
『あのさ、キミらどうして山賊やってるの?』
『食えないからに決まってるだろ。見てみろよ。オレたちゃ、村のはみ出しものばかりだ』
『食えたら山賊やめる?』
『そんなうまいことあるかよ』
僕は、マジックバッグから焼いた肉とパンを山賊に提供する。
山賊たちは目を見開いて肉とパンを貪り食う。
『『『『『こんな旨い飯は初めてだ』』』』』
『キミら、頑張ればすぐに毎日でもこの食事ができるようになるよ?』
『本当か?ふかしてんじゃねーぞ』
『君ね、さっきから言葉遣い酷いけど、立場わかってる?僕はすぐにでも君を燃やし尽くせるんだけど』
僕は中級の火魔法を少し離れた空き地にぶっ放した。
大音響と閃光ととともに、空き地に半径数十mの大きな凹みができた。
『ひぃぃぃ』
頭始め山賊はひれ伏した。
『毎日、そんな料理にありつけるってのは本当か、でこぜーますか』
『真面目に僕の言うことを聞いていたらね。他の皆もどう?不満があるなら言ってほしいんだけど。今直ぐ、骨まで燃やし尽くしてあげるから』
僕は、空に向かって核激魔法を放つ。
爆発の勢いで突風と地響きが凄い。
『『『『『滅相もございません!!!』』』』』
『君たち、元は農民でしょ。小麦の栽培位できるでしょ。君たちのすることは、小麦の栽培』
『どこに小麦を栽培したらいいでやすか』
僕は100haほどの森林を風魔法で伐採し、土魔法で切り株もろとも土地を掘り起こした。
腐葉土でいい塩梅の土地である。
切り取った木材は一箇所に積み上げる。
乾けば、いい焚き木になるだろう。
30分ほどで1km四方の森が耕作地・放牧地へと変貌を遂げた。
改めて、山賊たちが僕を怖れとともに見上げる。
『とりあえずこれだけの土地を用意したけど、後は頭を中心に小麦栽培を宜しくね』
僕は栽培用と当座の食料の小麦を渡す。
続いて、僕はパン製造小屋と肉保管室兼熟成地下室を設ける。
『パン製造装置を置いたから、皆にパン製造を覚えてほしい』
『皆、ですか』
『うん、皆。難しくないから。殆どボタン押すだけ。それから、肉の熟成も魔道具を用意してあるから、そんなに難しくないと思うよ』
『肉はどうすれば』
『狩猟をするか、鶏とか羊とかを飼うか、君たちで決めてよ』
『あの、どうしてそこまでオレたちのためにしてくれるんですか』
『ちょっと試してみたくて。君たちが上手くいくようなら、この周囲にいる山賊たちをまとめ上げるつもり。上手く行かないのなら、殲滅するつもり』
『『『『『ひぇぇぇ!!!』』』』』
あれだけ脅しておけば大丈夫だと思うけど。
山賊って、食い詰めた農家の三男とかがなったりすることが多い。
或いは戦争に負けた兵士のなれの果てとか。
飢饉だと、村そのものが山賊化することもある。
信用はできないけど、まるっきりの悪人でもない。
だから、力を見せて押さえつけるけど、飴も用意する。
もっとも、上手くいかなかったら殲滅するってのは本心。
害人だからね。
ホント、この世界って命が軽いや。
ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。
励みになりますm(_ _)m




