この世界どうなってるの
第2作目始めました。
誤字・脱字・感想等ございましたら、遠慮なくお願いします。
【この世界どうなってるの】ロレンツォ8歳春
まず、この子ロレンツォ。
王家の三男。
もの凄い天才だった。
生まれて半年で言葉を話し、
2歳で2ヶ国語にチャレンジし始め、
4歳で国際政治を語り始めた。
それが兄弟たちの警戒心を煽った結果、
毒殺を計画されたというのが、執事ランベルトの見立て。
『であるからには、今後は才能を見せびらかしてはなりません。特に、発現しかかっている魔法の才は絶対隠し通すべきです』
『そうですよ、お坊ちゃま。眠り毒はもうたくさんです』
数日後、僕はようやく体調が戻りベッドから起き上がれるようになった。
僕は執事とメイドを交え、現状を相談し合った。
『坊ちゃま、厳しいことを申し上げて申しわけございません。しかし、現状では坊ちゃまを支えるものが我々しかいません』
母上は2年前になくなっている。
後ろ盾はほぼない。
母上は側室だった。
実家は没落している。
『私どもも力は微小。より警戒する必要がございます』
『それに、ご存知の通りご兄弟の人間関係が複雑です』
本妻の息子は、4男。側室2号が次男。側室3号が長男。
僕は側室1号で3男。
ああ、争いが起こるしかない。
『そうだね、外国勢力も怖いし』
外に目を向けると、
隣国は東にボネース帝国、西に神聖イスタニアン。
ウチのジョージャン王国の数倍も大きい。
その二大国にはさまれて、いつ侵略を受けるかわからない。
王国は両国の緩衝地帯だなんて王家の皆は言っているけど。
王は酷薄で欲深く愚かだ。
継母は嫉妬心が強く愚かだ。
兄弟たちは意地が悪く愚かだ。
『ホントここだけの話だけど、王家ってみんな愚かだよね。王家に将来ってあるのかな』
『坊ちゃま、くれぐれもそのようなお考えを表に出してくださるな』
『そうですよ、そういう考えがあるだけで心が漏れたりしますよ』
僕は宮廷政治に揉まれたいわけじゃない。
大国に囲まれて国際政治の舵取りをしたいわけじゃない。
前世は引きこもりだ。気軽に暮らしたいんだ。
スローライフはムリなのかな。
『力を極力、表に出さない。これに限るのではありませんか。スローライフを送りたいというのが坊ちゃまの願いならば、それを目標になさるのが宜しいかと。宮廷追放を狙ってはどうですか』
『そうか、ランベルトの言うとおりだね。力を見せなければ、狙われにくい。魔法発現しなければ、王位継承権が無くなる。そうすれば、どこかの領地に追放されて、宮廷闘争からは距離をおけるものね』
よし、魔法を隠して城を追放されよう。
ということで三人の意見の一致を見た。
『もちろん、我々も最後までお供します!』
力強く宣言する執事ランベルトとメイド・フィナ。
なんでそんなに忠誠心が強いの?
『私どもはお坊ちゃまの才能に惚れ込んでおります』
『それにお坊ちゃまはお優しい』
だそうだ。そう説明されても謎の忠誠心だ。
天才で性格がいいってどこの主人公?
確かにこの子ロレンツォの頭脳はもの凄く良さそうだ。
彼は頭脳をそのまま残してくれたみたいで、
僕のIQが50ぐらい上がったような気がする。
えらく頭脳明晰になっているのだ。
これに僕の現代知識を合わせれば!
ってダメだな。僕は前世では引きこもりの28才だもの。
特別な知識はないし。
FPSのゲーマーとしてはけっこう名が売れてたんだけど。
そういえば、なろう好きだから、へんてこな知識はたくさんあるぞ。
ヒントにはなるかもな。
それにしても、執事やメイドも優秀だが、
8歳でこんな話ができてしまう僕はやっぱり優秀なんだな。
僕、というかロレンツォの頭脳が。
僕が8歳のときって、まだオネショを警戒してたぞ。
のろのろと起き上がり、トイレに行く。
手を洗うついでに鏡を見たら、凄い美少年。
誰?
僕は転生を実感した。
そして、凄く感謝した。
だって、僕は前世ではブ男とは言わないけど、フツメン。
日本人基準でもモブ男。
それが転生したら世界基準で美少年。
日本の街歩いていたら、ショタ釣り放題の美少年。
それが僕。
軽くウェーブのかかった金色の髪。
マッチ棒が数本のりそうな長いまつ毛。
透き通った大きな青い目。
すっきりと通った鼻。
キリッとした口元。
女装してもおかしくないような美少年。
そういえば、メイドのフィナも美人だし、執事のランベルトも渋いおじさんだ。
ひょっとして、美男・美女の世界に転生したのかな?
【転生時の主人公】
名前 ロレンツォ・ジョージャン
年齢 8 性別 M 種族 ヒューマン
HP 15 MP 20
○筋力 5 ○体力 5 ○速度 5
○知力 38 ○精神 31 ○意思 38
【スキル】
刀 L1 格闘術 L1
計 算 L5 翻 訳 L8 礼 儀 L3 料 理 L3
筋力~意思は、大抵の成人が8~12に収まる。
50前後が人類の上限。
※小数まで数字があり、四捨五入した数字が表記される。
この世界では小数の表記がない。
スキルは、L3で一人前。L5で上級者。L7で名人。
L8~は人外のレベル
ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。
励みになりますm(_ _)m