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清純、美少女の聖女様

誤字・脱字・感想等ございましたら、遠慮なくお願いします。

【清純、美少女の聖女様】


 教会から、とぼとぼと部屋に戻る途中、誰かから声を掛けられた。


『ちょっと、お待ち下さい。聖女マリアです。少しお話があるのですが、お時間とれませんか』


 ああ、エメラルドの瞳とピンクシルバーの髪。

 この超美形は記憶にある。

 一度だけ会ったことがある。話したことはないけど。

 でも、どうしたんだろう。


『どのような件でしょうか』

『はっきり、申し上げます。ステータス操作の件です』


 僕は咄嗟に彼女を消し去ろうかと殺気を(みなぎ)らせた。


『ちょっと待って! 私はあなたの味方よ!』


 彼女は僕の殺気を感じ取ると、慌ててそう言った。

 味方?どういうことだろう。



 僕は、彼女とともに気配を消して、僕の部屋へ向かった。

 彼女は言う。


『貴方がステータスを誤魔化しているのに数年前から気づいていました。そして、その理由ですが、貴方は宮廷からの追放を狙ってますね?』


 驚いた。彼女は鑑定魔法を持っているのだという。

 そして、それを明かしたのは僕が初めてだという。


『私もその計画に乗らせて欲しい。この世界はもう嫌なの』


 彼女の捨て身の発言に僕はうなづくしかなかった。


『わかったよ。でもどうやって?』

『貴方、変身魔法を使えるよね? お城を出ていくとき、私を動物か何かに変えてここから連れ出して。普通では城を脱出できないの』


 彼女、どこまで知っているのか。

 再び、彼女をどうすべきかと思案していると


『チョッ待って! 気が短すぎ! 私はけっこう使える女よ。回復魔法持ってるし。貴方、苦手でしょ? 私、鑑定持ってるし。あなた持ってないでしょ?』


 なんだか、微妙に口調が変わってきている。


『よしわかった。でも本当に内緒だよ?』

『私も後がないの。一生、城に張り付けられるのはごめんだわ。おかしな話も増えてきたし』



 彼女は結婚適齢期が近くうんざりするほどのプロポーズがあるらしいが、

 彼女は貴族が嫌いだと。

 特に次男王子から秋波を送られるのが、背筋をぞわぞわさせるらしい。


『あんな醜い社会にいたくないの。それにあなたは私をいやらしい目で見ないしね』


 あのさ、僕の精神年齢は30歳越えてる。

 聖女マリアは14歳。

 子供にしか見えない。

 いやらしい目で見たら、変態だ。



 その後、彼女と軽く打ち合わせをした。

 15歳の成人になる日前後で王位継承権喪失と宮廷追放になり、貧しい領地に追い出されるだろうことを。


『私の想像やけど、貴方、その途中で賊に狙われるかもね』


 恐ろしいことを言う聖女様だな。

 形・姿は清純な美形の乙女なのに。


『あのね、その位想像できずに宮廷を生き残るのはムリ』


 彼女は断言する。

 僕が毒殺されそうになったことを言うと、


『私なんか、何回殺されそうになったか。だから、毒を消す魔法、覚えてもたわ』


 彼女は段々地が出てきたのか、訛りがでてきた。

 僕は緊急連絡用に、通話のできる腕輪を渡す。


『えっ、なんかラブラブって感じ?』

『僕、年増ムリ』

『何ゆーとんの。二個違うだけやで。年上女房は土下座してでももらえって昔からいうでしょ!』


 そんな話、初めて聞いた。

 ホント、清純な美少女だったのに、イメージが狂ってきた。

 もっとも、年増じゃなくて僕的には聖女はロリなんだけど。



 彼女と別れてから、彼女のことは執事とメイドに伝えておいた。


『あの聖女様にもそんなお悩みが』


 いや、お悩みってタイプじゃないと思う。


 そんなこと積極的に言うようなことじゃないし。

 言うと、聖女様に怒られるような気がするけど。



 何度か、彼女に頼まれていろいろな動物に変身させた。

 一番のお気に入りは猫だった。


『だって、寝てても文句言われないし』



 うーむ。やっぱり少しずつ彼女の性格が読めてきたぞ。

 宮廷が窮屈と言うよりも、かなりのナマカワなんじゃないかな、彼女。

 間違いなく、彼女の外面だけを評価してる人多いぞ。


 一度、彼女を毛虫に変身させたら、怒ることこの上なし!


『あんたね、やっていいことと悪いことがあるわよ!今度やったら、思いっきりどつくからね!』


 あのさ。僕をグーでどついてからそんなこと言われても。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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