お祖父様の家に遊びに行く3
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【お爺さんの家に遊びに行く3】
『ロレンツォよ。おまえのスキルはどうなっておるのじゃ?』
僕は特に土魔法と風魔法の習熟度が爆上がりしていた。
それぞれレベル6で、魔法上級者としても上位であり、感触としてはすぐにでもレベル7つまり名人級と言われるレベルになりそうだった。
王国人口が1千万人、名人級の魔法士はいるかどうかというレベルである。
そのレベルに11歳の誕生日を迎えた子供が到達する。
『風魔法と土魔法のスキルレベルが6じゃと。しかも、すぐにでも7になりそうじゃと。名人クラスか。名人クラスじゃと、王国にいないかもしれんの』
『(ロレンツォの才能だけじゃないよね。やはり転生したことで神の力を授かったのかな)』
僕は内心で考えたりする。
一通りの作業を終え、転移魔法でお祖父様の館に戻ってきた。
『便利なもんじゃの。ロレンツォと一緒じゃないと使えんが、それでもびっくりだ。なあ、ベルや、オレはさっきまで南の島にいたんじゃぞ』
お祖父様はお祖母様のことをベルと呼ぶ。
お祖母様の本名はベルティーナだ。
ちなみにお祖父様の名前はフェデリーゴ、伯爵である。
『転移魔法なんですか。そんな、御伽話のような魔法を本当にロレンツォが使えるのですか』
『ロレンツォは大魔法使いじゃぞ。王国どころか、この世界全体でもトップクラスじゃ』
『お祖父様、それは贔屓がすぎると言うもの……』
『ロレンツォや、あんな土魔法や転移魔法やらを使える魔法使いなぞ、ワシは見たことも聞いたこともないぞ。世界一と言わんだけ、ワシは控えめにしとるわ』
毎日、島とを往復しながら様子を観察した。
10日後、お祖母様もいっしょに南の島に行くことにした。
熟成した牛の状態を見るためだ。
『まあ、本当にここが王国から千キロも離れた島なのですか。信じられない光景ですね。牛さんも見渡す限り』
さっそく、僕はランチの用意をする。
といっても、焼いた熟成肉に塩をつけただけだが。
『臭みがないな。それに柔らかいではないか。味も舌に広がるの。軽く草味というところか。これなら、王国でも最上級の肉として店の取り合いになりそうじゃの』
『私もこれほどのお肉には出会ったことがありませんわ。何よりも臭みがないのが嬉しいわ。私、肉の臭みがあまり得意じゃないの』
僕はマジックバッグから新鮮な内臓を取り出し、処理をして焼いてみた。
『これが牛の内臓か。新鮮なものだとこんなに美味しいのか』
『ひょっとしたら、お肉よりも美味しいわ』
『内臓は傷みが早いので、マジックバッグから出したら、すぐに処理する必要があります。時間がたてば捨てるしかありません。でも、庶民の味覚として低価格で提供してもいいんじゃないでしょうか』
『そうじゃの、肉はハイソ向けで、内臓は庶民の味方として提供すれば差別化も図れそうじゃの』
実際に、内臓は庶民の味覚として親しまれているが、何しろ足が早いため限られた人しか味わっていない。
僕とお祖父様は1週間に一度、現地に赴くようにした。
問題があっても一瞬で往復できるから大丈夫だ。
これだけの牛がいるのに、ほぼウチが独占している。
競争相手がいない。
この牛たち、下手にちょっかいを出すと命に関わるからね。
僕が関わることで輸送費はほぼゼロ。
しかも、熟成方法の品質の高さがそのまま熟成肉の品質の高さに直結している。
この島の野生牛は少し硬いのだが、熟成によってその弱点も目立たなくなった。
家畜化のほうも問題がなさそうなので、100頭ばかり家畜化した。
5km四方を壁で囲って牧場とした。
ゆくゆくは千頭程度を家畜化する予定である。
そのために、スタッフや飼料の調達などを盛り込んでいく。
スタッフはお祖父様の領内の経験者を投入する予定だ。
牛には草原の草ではなく、質の高い飼料を牛に与えるようになった。
こうなると既に野生牛ではなく、肉質も改善されてきた。
草原で育つとどうしても草臭さが残るが、飼料で育てると臭みがなくなる。
筋肉質だった牛も家畜化されると共に適度に脂肪がのり、より柔らかくなった。
合わせて、乳製品にも取り掛かった。
チーズやバターといった加工品だけでなく、マジックバッグを使うことで安定して牛乳を供給できるようになった。
こうしてガルディーニ牧場は味・価格ともに非常に競争力の高い牛肉や乳製品を市場に投入することになるのである。
『ロレンツォよ、島の牛の原価は王国の牛よりも低い。しかし、店は高級志向でいくぞ。こんな美味い肉は高くても売れるからな』
島産の牛は、お祖父様の領内の牛の半額もしない。
何しろ、金がかかっていない。数人の人件費と飼料代だけだ。
肝心の牛はほぼ無尽蔵にある。
しかし、価格を低くすると価格破壊になってしまい、領内の畜産業者がピンチになる。
それに、低くする理由がない。高くても売れるのだから。
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