お祖父様の家に遊びに行く2
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【お祖父様の家に遊びに行く2】
お祖父様は貿易もしている。
お祖父様とともにお祖父様所有の船にのり、現地に乗り込んだ。
王国から島までは直接行くと千キロほどある。
僕の飛行魔法は人を連れて、というわけにはいかないし、
船でもちょっと厳しい距離だった。
そこへ行くにはまず西へ沿岸沿いに航行し、半島を南下し、
最終的に300キロほど海を渡ることになる。
1日半ほどの旅だ。
現地に詳しい人を同行させて、島を視察すると、野生の牛の群れ!
『見渡す限りの牛の群れじゃの。数百万頭いると言われても納得できる』
『本当に雄大な光景ですね』
『これだけの資源、どこかの国が狙っても不思議はないでしょう』
『こいつらな。かなり獰猛らしい』
というが早いか、牛が僕たちに突撃してきた。
『ドカーン!!!』
牛がひっくり返って失神した。
『おお、凄い衝撃じゃったの。ロレンツォの結界・防御魔法がなかったら危ないところじゃった』
『この衝撃から考えるに、普通の人間ではこの島の征服は難しそうですね。軍隊連れてきても、この数ですから』
『お前の言う通り、昔一個大隊でやってきた国があったそうじゃ。3日で全滅したらしいぞ』
これは難儀だ。
僕はまず頑丈な建物というか、要塞を作った。
100m四方、高さ5m厚さ1mの壁を作り、
その中に事務所となる建物を立ち上げた。
しょっちゅう、牛が建物めがけて突撃してくる。
地下には肉の熟成室と、移転魔法陣室を作った。
『うむ、お前の魔法にはいちいち驚かさせれるの』
『壁には強化魔法をかけてありますから、あの程度の突撃なら問題ないと思います。おそらく、最上級の核激魔法でも持ちこたえられるかと』
僕は1kmほど離れてから核激魔法を起動させて壁にぶつけてみた。
傷一つつかなかった。
用心として、要塞全体に結界・防御魔法をかけておく。
『さて、どうするか。普通の人間では牛を捕らえられんじゃろ』
『一つは僕が魔道具を作ります。一撃で倒すことができると思います。もう一つはなんとか家畜化することですかねえ』
『可能か?』
僕は、ライフルのような土魔法の魔道具を作ってみた。
燃料に魔石を使い、魔法石つぶてを発射する魔道具だ。
石つぶては実用射程500m以上ある。
速度は音速に近い。
狙った獲物を自動的に追跡する優れものだ。
しかも、発射される石、イメージがダイヤモンドのため、
石の組成が組み替えられるので硬度が高い。
『お祖父様、これでどうでしょうか。魔導銃って言います。古代魔法書で覚えました。スコープで獲物を狙って、スコープの中の十字が光ったら、引き金を引いて下さい』
『こうか?よし』
銃から勢いよく飛び出した石つぶては見事牛の額を貫いた。
『おお、凄いの。これもあまり人の目に触れさせられんな。軍事目的に使おうとする奴がたくさん出てきそうじゃ』
『お祖父様、使用者登録を魔導銃にしましょう。使用者以外が引き金を引いても玉はでません』
『よし、しばらくはワシと部下で練習がてらハンティングを楽しむか』
『お祖父様、銃の魔力がなくなったら、この魔石にお祖父様の魔力を補充して下さい』
『よし、わかったぞ』
『問題は家畜化ですね。性質がおとなしくなる足輪を作ってみましょう。アンチノルアドレナリンという怒り・敵意・暴力といった攻撃的な感情を抑制する仕組みにするわけです』
『ふむ、それも古代魔法の知恵かの』
『はい、お祖父様。これも気をつけないと、人間の奴隷化に転用されてしまいます』
僕は試しに足輪を一つ作成し、捕らえてきた牛の脚につけてみた。
腕輪は牛の脚にピッタリのサイズとなり、やがて脚と同化していった。
『牛の位置情報もわかりますね。盗難防止に役立ちます』
『ほう、確かに大人しくなったの。まるで羊か山羊のようだ』
『これでしばらく様子を見てみましょうか。上手くいくようなら、大量生産して牧場を作りましょう。飼料を良くして、肉質も向上させたらどうでしょうか』
お祖父様が狩った牛はすぐに血抜きし、解体して地下熟成室に吊るした。
内臓は専用のマジックバッグに収める。
隣の敷地には牛の慰霊碑を作った。
これは日本人的な感覚かもしれない。
『牛への慰霊?ふむ、命に敬意を払うのは大切かもしれぬの』
お祖父様は僕に賛同してくれて、一緒にお参りしてくれた。
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04/19 石つぶての補足説明をしました。




