ぽちゃん。
ぽちゃん。わたしの心に響く音。
ぽちゃん。
ゆでたトマトを
西日のあたるキッチンで
冷水に落とす音。
ぽちゃん。
バケツの水を
小さい子が
精一杯ゆらゆらしながら。
ぽちゃん。
捕まえた魚を
そっと水辺に逃した。
自由になれ。
ぽちゃん。
あなたが
お風呂で
柔らかな湯を
手で愛でている。
ぽちゃん。
美しい色彩を描いた絵筆が
役目を終えて
透明なガラス瓶の透明な水に
姿をもどしていく。
ぽちゃん。
電話口で
介護中のあなたが
喜びの声。
「おばあちゃんがね、やっと10日ぶりにお通じがあったの」
ぽちゃん。
コーヒーカップにあなたの涙。
「よかったね。おばあちゃん、苦しかったよね」
あなたは 本当に優しい人。
ぽちゃん。
あなたの嬉しそうな声に
胸がきゅんとして
泣いてしまったから
仕返しに
詩にしたくて
いろいろなぽちゃん。を集めてみたの。
ぽちゃん。ぽちゃん。
可愛くて美しい響きが
まるで
あなたのようだから。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。




