1話 とある日の夢
俺は、いつからか本気で望んでいた。
この世界に冒険者ギルドを創り、冒険者が溢れる世界へ変えることを。。。
ーーーーー
ーーー
ー
「 ******** 」
僕は同い年くらいの少年と喋りながら歩いていた。知らない人・・・いや、とてもよく知っている人だ。
ボーッとしていたことに気づいたのだろう。少年は「 どした?」と気さくに話しかけてくる。
「あぁ、ごめん。なんでもない」と切り返し、話の続きを促す。
「そろそろ僕たちの時間だね。人数少ないといいなぁ。」
なんだっけなぁと寝起きのような冴えない頭で考えながら歩く。
その間に目的地へ辿り着いたようで隣を歩く優兄は足を止めた。
そこには、とても大きな1本の木が生えており、3歳から10歳くらいの少年少女が何十人も遊んでいる。
驚くことに子どもたちのほとんどがその大木に登って思い思いに会話したり、ぶら下がって遊んでいる。
よくよく見ると7メートルくらいの位置に木で作られたブランコが2つ取り付けられており、少年2人が遊んでる。手作り感満載のそれは、ただ枝に縛ってあるだけで、動く度にミシミシと聞こえてくる。
その少し斜め下では8歳くらいの女の子2人組が細い枝に捕まって、片腕懸垂みたいな動きを始めた。
折れる折れる。。。とヒヤヒヤしてみていたのは僕だけのようで誰も気にしていない。
5メートルはあるだろうか。
木の枝に捕まっていた女の子が突然、手を離し―――― 膝を上手く使って着地、、、したのだろう。怪我をした素振りはなく、なにごとも無かったかのようにまた木に登って、女の子3人のお喋りの輪に入っていった。
そんな光景を眺めていると中学生くらいの少年2人が近寄ってきた。
「じゃ、交代よろしく!」
笑顔で腕をあげ、そう言いながらハイタッチの構えを取る。僕らも同じ構えをしてハイタッチを交しつつ「はいよ!」と笑顔で返す。
その瞬間。
ハイタッチのパーンという音がした瞬間、ふと思い出す。この大木付近で遊ぶ少年たちの見守りクエストを受けたことを。
「行くか!」
「うん!」
優兄と一緒に木へ近づき、木陰に座って見守りを始めた。
暖かい風が時折吹く穏やかな晴れ日。
気持ちの良い天気が眠気を誘う。
そのとき、足を踏み外す少年の姿が目に映った。慌てて立ち上がった僕に対して優兄は1歩先に反応し、落ちる少年を軽々と受け止める。
落ちた少年は怖かったと思うが泣いたり喚いたりせず「ありがとう!優兄」と言ってまた木に登り始めた。
「気をつけろよ!」と優しい声で言って、僕の横に腰掛ける。
そんなことを幾度かやって見守り時間が過ぎていく。
ジリジリジリ ジリジリジリ
ー
ーーー
ーーーーー
景色が遠くなるのを感じながら、耳障りな音の方を確認しアラームを止める。
((あぁ、夢だったんだ))
そう思ったのも束の間。急速に記憶が薄れていく。。。
今日はなかなか面白い世界の夢だったなぁと思いながら、仕事へ行く準備に取り掛かった。