捨てられないもの
サヤと初めて出会ったのは高校の頃。
それまで通っていた地元の学校でない、遠くの学校を選択したことでそれ以前の知り合いは一人もいない環境に進んだ私。だから学校が始まったら、とにかく1人友達を作ろうと考えていた。
学校では友達が1人以上いるかどうかは重要である。私的にはその後の学校生活の楽しさが1と3くらい差が出るものだと思うし、一人暮らしともなれば学校から帰ったあと気軽に話せる相手はいなくなる。弟だって対面ならまだしも頻繁にメールや電話をすれば鬱陶しく思われるかも。そういう面でも同じ学校に通う同級生の中に友達関係になれる相手が欲しかった。
そしてそんな中で最初に友達になれたのがサヤだった。同じクラスメイトだったことから色々一緒にする機会があって、そこから仲良くなれた。今でこそお互い良い関係だけど、初対面時の印象は「ちょっと近寄りがたい人」であり、周囲に対して暗に『用がないなら話しかけるな』オーラを放っていたことを覚えている。だから当初は友達になれるなんて思いもしなかった。
この時はまだサヤのことを深く知らなかったので仕方ないが、サヤは相手に信用がおけるまでは徹底して心を開かないタイプであり、私と同じく周りに知り合いがいない状況にいたので警戒心がバリバリに出ていたのだとか。この頃のそれは向こうも恥ずかしいと思っているのか、話題に上りそうになると逸らそうとする。
そしてそんなサヤとの高校生活2年目の秋頃、私は彼女とお互いの進路について話した。3年生になれば大学や専門への進学やら就職などが遠くないうちに決まる。そのことを嫌でも意識するような時期になって、ふと思い聞いてみた。
「サヤは将来どんな職業に就きたい?」
私はとっくに進路を決めてある。そもそも学校を選んだ理由の1つが魔法士になりたいがため。思いは入学してからも一貫して変わらず、ずっと私を助けてくれた彼みたいな魔法士になることが目標だったから。
「あまり不自由しない程度にお金が稼げれば、なんでも」
対してサヤはどうでもよさそうに答える。
「出来ればこれになりたい、とかってのはないんだ」
「小学生の頃ならまだ色々あったけれど、今はもう憧れや夢とかで職業を選びたい気持ちはなくなっちゃったわ。正直、お金と健康と生活面で望めるバランスが保てるならそれでいいかも」
「欲がなさそうでしっかり欲のある回答で安心したよ」
自分の健康なども忘れずに考えているようなので、その点の心配はなさそうで良かった。
「ツカサこそどうなの。魔法士になりたい以外のことはちゃんと考えている?」
「勿論。魔法士になれば色々な魔法が公的に使えるでしょ。それと貯めたお金で魔法具を買って、健康面とか普段の生活のケアも出来る。他の魔法士に頼まなくても出来るようになるからその分お金は使いやすくなるし……」
「それ全部魔法士になれたらの話じゃない。第一、魔法はそんなに万能じゃないって授業でも聞いているでしょうに」
「今はまだ、の話でしょ? きっとこれからどんどん良くなるよ」
魔法は発見するまでが大変である。魔法を見つける作業というのは、無数に存在する見えない鍵穴に合わせて鍵を作り、どれかが開くまで試し続けるようなもの……。私達はそう教わった。
嘘のような本当の話だけど、魔法を発生させるのに必要な手順を学び授業の中で体感してきた身としては、決して理解出来ない例えではない。だからこそサヤは魔法士という職に懸念を抱いていたのだろう。これから有用な魔法がどんどん見つかっていけば魔法士の将来はきっと明るいが、見つからなければ輝きを失って落ちていくのではないかと。
「そうかしら……」
果たして自身が辞める時まで続くような職なのか。それを見極めるには色々と難しい頃でもあったから、私のように何がなんでも魔法士になりたい訳でもなかったサヤは、決めかねていたのだと思う。
「サヤは魔法の可能性を信じるべきだよ。いや、もっと信じてあげよう」
「先の見えているファンタジーでもないのに何を根拠に信じろと……ツカサは魔法と弟のことになると頑固なのが」
「なんか言った?」
「いえ」
ボソリと何かを呟かれたので聞き返すと、サヤは少し黙って考えるような仕草をした後に、こう答える。
「魔法士になるなら結婚を視野に入れた方がいいんじゃないかしらって、思っただけ」
「なんで結婚?」
いきなり結婚なんて言葉が出てきた私は純粋に疑問だった。魔法士になることと結婚することに特別な因果関係はあっただろうか。
「魔法士って世の中に出てきたばっかの職でしょ。新しいと言えば聞こえはいいけど、昔からある職に比べて先が見えないというか、これからもずっと……少なくとも私たちの世代の内は消えない職なのか読めないじゃない。そうした部分を考慮すると、保険は欲しいわけよ」
私が疑問に思っていたことの答えを説明していくサヤ。
言わんとしていることは伝わって来なくもないが、内容はあまりにも現実を見ようとした冷めたもので、実にサヤらしい意見であると同時に「ぶっちゃけ過ぎじゃないかな……」と思ってもいた。
「そんな簡単に消えたりしないと思うけどなあ。魔法具は決まった1種類の魔法しか使えないから完全な代替には向かないし、特別な機械で魔法を起こすのも今のところ実現性ないんでしょ。それに給料も良いのに」
「短い目で見れば安心かもだけど、長い目で見れば給与が高いものほど危ないわ。特に文明が一歩先へ進もうとする時代と時代の間においては今まで高い値段で提供されてきたものを安く提供可能にすることが知見の積み重ねや技術の進歩で起きやすいしそれで社会全体が変化し出すとその時高給取りでも薄給になりうる訳で——」
「早口になるほどのこと!?」
喋る際に休憩も挟まず話し出したサヤを見て驚きつつ、聞きながらそれが終わるのを待つ。高速に圧縮された話が終わるまでに凡そ2分かかった。
「——つまり世の中何が起こるか分からないから、1人で何とかしようとするより2人で何とかしようとする方が生き残りやすいということよ」
「私達がしていたのって生存戦略の話だったっけ? うーん、言いたいことは分かったけど、その理由で結婚してくれる人はいないんじゃないかな。今の時代って好きな人同士で結婚するものだよ?」
お見合い結婚などをしていたずっと昔に比べれば、今主流なのは恋愛関係から発展して結婚する方。当然、殆どの人は結婚とは自分が好きな相手とする者だと思っているだろう。私自身、結婚をする相手とはそういうものだという価値観が染み付いている。
けれどサヤはその性格ゆえに結婚観も独特なのか、「結婚とは自立した者同士が同じ家に住み経済的な利益を与え受けする関係になること」と高校生の発言とは思えないくらいドライなものを持っていた。
「好きになった人と結婚出来るならそれに越したことはないと私も思うわ。でも好きになった人と必ず結ばれるとは限らないもの」
それを私の疑問への回答として伝えると、サヤは横を向く。
「私……魔法士を目指すわ」
ボソリと呟かれた言葉だったが、今度はしっかり拾えた。私は「え……」と目を見開きながらも、その言葉が嘘ではないかと確認する。
「でもサヤは魔法士の将来、不安なんじゃないの?」
「不安よ。でもだからこそ知らないといけないと思う。ただ漠然とした知識や情報で判断するより、実際に一番近いところで見て知って感じることをね」
「んんーー? いやでもそこまでする必要は…………もしかして心配してくれてる?」
なぜなる気のなさそうだった魔法士になることを決めたのか。理由を考えた結果有り得そうなものとして、私を心配したのだという自惚れみたいな理由に行き着き、半信半疑で聞き返す。
「魔法士になるのを諦める気はないんでしょ。私はどうなろうと関係ないけどツカサはそうじゃなさそうだし、だったら魔法士の未来が少しでも長く持つような方向で努力してみようかな、って思っただけ」
「サヤ……ふふっ、ありがとね」
不器用だったがそれがサヤなりの好意であると気付き、私は嬉しかった。思わず笑い返すと黙って目を逸らされるが、サヤの頬は赤く染まっていた。
*
サヤと友達になった後も別の同級生と友達になったが、高校を卒業したあとは何だか疎遠になってしまい、安心できるほどの繋がりが残ったのはサヤだけだった。
自分のことは大切だと思っている。けれどいっときの友達で終わらずに続いているサヤのことも大切であるとも思っている。
冗談を言い合う関係であったとしても、冗談を言う時は選んでいるつもりだし、実行するつもりがないことも割と多い。けれどそれでも、我が身大切さにサヤを見捨てるだなんてこと言ったりしなかった。
「…………」
恐怖の最中で、高校の頃のサヤとの思い出が浮かんできた私。体を支配しようとする恐怖へ抗うように現れる感情に、身を包む怖気がやや薄れる。
「さあ、答えは?」
幻影によって生み出されたもしもの私が、男達の幻影の向こうから告げる。
これに答えれば、もう本当に引き返せないと私の心が直感している。今ゲームを諦めると言えば、きっと私は助かるのだろう。ただしそれはアーノルドがサヤ達を通して私に『後悔』を与えるということでもある。
では逆に諦めないとすれば……恐らく、今ここであの時のことを再現される。
幻影と幻覚を利用して、サヤとイグノーツによって止められたあの行為の続きをさせられ、今度こそ心になくならない傷を付けられるかもしれない。
嫌だ。どっちも嫌だ。
心の声は両方を拒絶したがっていた。でもどちらかしか選べない。
もし片方しか選べないのなら、私は。
「——諦めない」
やや俯く姿勢でそう答えると、彼女は確認してきた。
「そう、それでいいのね。見上げた心だわ。なら……もういいわよ」
最後のそれは私へ向けられた言葉ではない。
囲んでいた男達の幻影が私との間に保っていた一線を越える。そして、こちらへ伸びてくる手が触れて見えると、皮膚に備わる感覚が『触れられた』と次々に信号を伝え出す。
「…………っ!」
私はそれを幻覚だと言い聞かせて耐える。耐えながら、この恐怖を振り払って彼女を倒す方法を考えようとする。触覚に起こる幻覚から気を逸らそうと、必死で考えようとする。けれど依然として激しくあった心の動揺を抑えるのに精一杯で、思考はまとまらない。
やがて残っている服が肌に触れる感覚までもが消え出し、私は咄嗟に両目を閉じた。
「ぃや…………!」
全ての感覚が私にとって不快なシグナルを伝えてくるのに対し、脳から行き渡っている命令が魔法によって惑わされる。必死で脳から出している「抵抗しろ」という身体への命令は阻害され、思うように動かない。唯一思い通りに動くのは首から上だけ。伝わってくる触覚の中にある目から溢れ伝うものが私の感情を強調していた。
目を閉じているがゆえの真っ暗な視界の中、ふと耳から届いてくる彼女の言葉。
「早く楽になってしまいなさい。それがこうなることを選んだ貴方自身のためよ」
あまりにも勝手な言葉だ。ここで苦しめるためにこんな幻影まで生み出しておきながら、それが嫌なら楽になれだなんて。
「無理か。まあそんなことがサッと出来るなら苦労しないよね。大丈夫、いつか慣れるわ。初めは誰だって嫌がるものよ」
「え……? まさか…………やだ、やめて」
言葉の断片から伝わるものに自分へ本格的に起ころうとすることを察して、抑えていた気持ちが溢れかえらんとする。私は心のままに涙を流して訴えようとしたが、戻ってくるのは冷たい答え。
「やめる必要なんてある? どうせ今起きていることは幻覚なんだから。本当のことじゃないのに、苦しむ方がおかしいでしょ」
何もかもが幻覚だと言いたいのか、彼女はそう吐き捨てた。
ふざけるなという気持ちが出る。この感覚は幻だとしても、感じている気持ちは幻じゃない。
助けてと叫んでしまいたい。だけど叫んだところで、届くのか。届いたとして、誰が来ようとする。もしそれがサヤだったら?
(——サヤを巻き込みたくない!)
そう思えば思うほど叫ぶことは出来なくなり、けれど襲ってこようとする幻影達への恐怖に心は悲鳴をあげたがる。悲鳴を出せない心が壊れてしまうのではと感じるほど。
(助けて……)
誰にも叫べない届きようのない思いと共に。
私の目から溢れて頬を伝う涙が、一雫落ちた。
それから間もなく。
「何……?」
ガタンと勢いよく教室のドアが開く音がした。
閉じられて開かなくなっていたはずのドアが開き、男達の幻影を従えていた彼女は思わずそちらへ振り向き動揺を声に出す。
「…………」
扉を開けた者は教室の中を見た。室内の中央には幻影である彼女がいて、教室の隅には6人の人だかり。うち5人は得体の知れない人型の幻影であり、それに囲まれる形で中に1人の女性。女性は酷く怯えたような姿勢で壁に背を当て体を丸めようとしており、糸ひとつ纏わぬ露わな格好で、体のあちこちを触れられたり掴まれたりしているように見えた。
飛び込んできた光景に入ってきた男は目を瞬かせることも出来ないでいたが、女性が泣きそうな顔をしていたことと、目から頬にかけて一直線に落ちる涙の跡からすぐに事態を掴みにかかった途端、口より先に行動に出た。
「なっ!?」
男はそちらに駆け寄って、躊躇なく囲んでいた幻影の体を殴りつけると、殴られた幻影が霧散するように消し飛ぶ。あり得ないことでも起こったかのように彼女はまた驚いた。その間に男は次々と女性を囲んでいた幻影全てを殴り飛ばし女性の傍へ寄る。
自身を襲おうとしていた幻影達の感覚が消えたことに気付いた女性が目を開くと、視界に入ってきた人物のことを呼んだ。
「ケイスケ、さん……?」
「助けに来るのが遅くなって、ごめん」
ケイスケは女性に向かってそう謝罪すると、望まなくとも視界に入ってしまうその格好から目を逸らす。そして自らが着ていた上着を脱いだあと、その肌が見えすぎないようにと女性にかけた。
「今持っている布がこれくらいしかなくて、その……」
もっとマシなものを着させて上げられたらと遠回しに言うケイスケだが、ツカサはそれよりもずっと気になることがある様子で彼を見つめ返している。
「どうして……ここに」
「声が聞こえたから。ツカサさんの助けてって声が」
ツカサの質問にケイスケはそう答えると、残っている幻影、もしものツカサの方を見遣った。彼女もまた突然に起きた状況をただ見ているだけだったが、彼の言葉を聞いて納得がいったように喋り始める。
「ああ……そういうこと。O系魔力が助けを呼びに行って伝えたのね。でも普通他の人の居場所なんて分からないはずだけど」
「どういうことだ?」
ツカサの姿をした幻影の方に振り向きながら聞くと、彼女はケイスケに答える。
「O系魔力っていうのは基本、取り込んだM系魔力が体内で合成されることで出来る魔力だから、自分を生成した生物のことはとてもよく覚えているし、一度体外に出されようと自分の生まれた場所へは簡単に戻って来れるのよ」
「……だったら、俺は運が良かったんだろうな」
「部屋が近かったからすぐに見つけられたのかしら? まあいいわ。でも仮にそうだとして、ここまで来るために幻覚が邪魔だったはず。貴方は2階にいたわよね? どうやって突破してきたの?」
「幻覚? ……ああ」
ケイスケは言われてから考えるような仕草をすると、それに思い当たる出来事があったことを口にし出す。
「動きにくい感じはあったけど、別に移動が困難ってほどじゃなかった」
「そう。じゃあ扉はどうやって開けたの? 幻覚とはいえかなり強固に閉ざしていたはずだけど」
「魔力の分離をやってみただけだ」
あっさりと答えるケイスケ。
即答されるとは思わなかったのか、或いはそれが難しいことなのか、彼女は信じきれないといった態度で彼を見返した。
「幻覚魔法を発生させている魔力に干渉して、魔法の効果を弱めたってこと……? あはは、貴方凄いわね。言ってすぐ出来るなら苦労しないわよ」
「信じていないのか。いや……そんなことは今はどうでもいい。これはお前がやったんだな?」
この状況を作り出した犯人はお前なのかと問うケイスケに、
「だったらどうする?」
挑発的な言葉と笑みを返す幻影の彼女。
するとケイスケはその答えをある程度予想していたのか、深く息を吐いて吸ってから答える。
「——ツカサは妹の大切な友人だ。お前が酷い目に遭わせたっていうなら、報いは受けてもらう」
「私もツカサなんだけど、その辺はどう考えているの?」
「お前が誰かは、お前がしたことを許す理由になるのか?」
ケイスケは区別のためか、彼女のことを決して名前では呼ばない。同時に彼女のしたことへ明らかな怒りを抱いており、それが鋭い視線や放たれる声から滲み出ていた。
彼の敵意を察した彼女は、言葉でどうこうすることを諦める。
「ゴタゴタ言い合うのも好きじゃないでしょ。ルールを伝えるわ。私を殺せば勝ち。負けはツカサが諦めることだったけど……最終確認はもう済んだし、負けの方法はなしってことでいいかな?」
「……分かった」
何をすればいいか定まったケイスケは、真っ直ぐに彼女と向き合う。これから何が起ころうとしているか、その場にいる者は全て理解した。
「ま、待って」
「ツカサさん……?」
だから、ツカサは背を向けて彼女の方を向いているケイスケの手首を取り、伝えようとする。
「……私が、やる」
「いや……だけど」
「ケイスケさんに、させたくない」
大切なサヤの兄に人殺しなんてさせたくない。例えそれが幻影であって本当の人殺しではなくとも。そういう思いなのか、ケイスケの手首を握るツカサの手にギュッと力がこもる。
ツカサはそのまま立ち上がると、かけてもらった服を取って彼に返した。
「ツカサさん!? 何を……!?」
目の前で唯一かけてもらった衣類を取ったため、ケイスケは反射的に顔を逸らす。
「一応、返しておこうと思って。本当は自分の服をちゃんと着ているみたいなんですけど、私が傷を受けた分だけ見えなくさせられているみたいで……だからこれも今は見えていてもまた見えなくなるかも」
「え、そうなの……? いやでもだからってそのままの格好でやる気かい!?」
「い、言わないでください……」
出来るだけ気にしないように努めていたものを指摘されて、ツカサの顔が紅潮する。ケイスケも彼女が恥じらう様子を見たことで素早く自分の発言を恥じ「ご、ごめん!」と慌てて謝った。
「その、出来れば、見ないでいてくれると助かるんですけど」
「見ないよ、絶対見ない! けどツカサさん出来るの? あの人を……」
「……やります。いえ、やらないといけないんです」
壁の方に顔を向けながら会話するケイスケ。その言葉に答えてから彼女の方を見遣ったツカサ。そして2人の様子を眺めている彼女へ真剣な眼差しを向けた。
「貴方を倒して、この悪趣味なゲームを終わらせる」
「ふーん……まあそっちの人を見つけるって条件はおかしな達成の仕方だけどされちゃったし、クリアまではもう少しだから、頑張ってね」
他人事のように受け答えしつつ、魔法の準備に入った彼女。対するツカサも言葉にはせずとも、既に魔法を発動する準備に入っている。
(へえ……)
正対するツカサの姿には、迷いらしきものは殆ど残っていない。
それを見て1つ感心したような顔を彼女は浮かべたあと、戦いの合図として最初と同じ魔法を放った。




