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サンド×リヨン  作者: 東海林 愛理
9/17

合否発表

柊の思いも分からなくはないですねー。

次の日になると愛姫は合否発表の連絡待ちをしていた。


午前10時20分、1本の電話がかかってきた。


連絡を待っていた愛姫はすぐにその電話に出たのだった。


電話の内容は、再来年の2月に放送予定の時空戦隊タイムレンジャーのタイムピンクに抜擢されたという報告だった。


詳しい内容は、後日連絡するとの事で次に合格したメンバーが揃う日は10月9日の12時に東京シティーホールに来るよう言われ、そのまま電話を切った。


戦隊ものという事は他にも面接に来ていたメンバーで合格した人も居るという事だ。


「奈々未ちゃん…合格したのかな…?」


そう1人でボヤっと呟きながら外を見る。


初めての場所で1人でやり繰りしなければならない事に大変さを知る。


家事全般は弟や母と当番制にしていたので1人でも出来る。


だが、愛姫の心の片隅では、残念なさよならの形をしてしまった、家族や友達に対して罪悪感が込み上げて来ていたのだった。


昨日のグループ通話をして以来誰からも連絡が届いていないことに吃驚していた。


「柊のやつ…あれから連絡してこないなんて、心配してるなんて嘘なんじゃん…」


携帯を片手に握りしめていると、1本の電話が入った。


──(たちばな) (そう)──


颯からの電話の通知が入ったので電話に出てみた。


電話に出ても何を話していいのか分からなかった愛姫は無言だった。


「俺、今お前ん家に居るんだ。柊はまだ寝てる」


と寝て起きたばかりの声をする颯。


颯の声を聞いて安心した愛姫は一声掛けようとした。


「颯…柊に、ごめんね…?って…」


今にも泣き出しそうな声で愛姫が喋る。


直接柊に話をしたいのに自分から連絡をすることすら拒んでいた事に後悔をしている。


どうして自分から謝れないのか、無力さに後悔をしていて、颯の事を振ってしまったことにも後悔していて、計画の無さを感じていた。


ひっく…ひっく…と電話越しで、愛姫が泣いているのに気がついた颯。


「罪悪感でも浸って俺や柊に同情してんのか?」


同情してると言われればそうかもしれない。


そう思った愛姫は何も答えることが出来なかった。


図星だからである。


「柊起こすからしっかり話をしな!」


と言い横で寝ている柊を起こす。


颯は愛姫と電話が繋がっている事を伝え、電話に出る柊。


「ねーちゃん?…俺、ねーちゃんの声聞きたくないんだけど」


話すのが嫌そうにしている柊。


嫌そうにしているのが分かった為、愛姫は言わなかった理由を伝えた。


「柊ごめんね?私、自分の事しか考えてなくて自分の事しか頭になかったの。興味本位で送った応募用紙が始まりなんだもん。自分が強くなりたくて応募したの。だから見届けて欲しい。こんな、形になっちゃったけど、言おうと思っても言う勇気が無かったの。こんな情けない自分が嫌いなんだ」


強くなりたいと願うばかりで大事な事を忘れていた愛姫は柊に電話越しだが、思っていることはしっかりと伝えた。


謝罪も兼ねて。


そして、柊には再来年の2月に放送されるタイムレンジャーに出演する事を伝え、自分の事を毎週見届けて欲しいと伝えたのだった。


愛姫の本気が伝わったのか、柊は反論せずにしっかりと話を聞いてくれていた。


姉思いの柊だから出来ること。


黙っていた事を許せない筈なのに、自分にとってたった1人の姉だからこそ、信じることにしたのだった。


「ねーちゃんいつも言葉足らずだもんな!俺らが先読みしないと本当にダメなんだね。しっかりしてよ!」


と愛姫の事を勇気づける言葉を最後に残して電話を切った。


電話を切った後に愛姫は東京の街を知る為に1人、ホテルから出て探索をするのだった。

結局、柊はいい弟。だと思いますよ。こんなに姉の事信じてくれてるなんて、なかなかないですからねー。私もこんな弟欲しかった(´TωT`)

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