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サンド×リヨン  作者: 東海林 愛理
7/17

愛姫の面接

久々の投稿ですが、よろしくお願い致します。

次の日から愛姫(ありす)は学校に来ていなかった。


「本当にさよならかよ…」と1人教室で呟く(そう)


誰もが想像もしていない事態になっていた。


ドタドタと廊下を走る音が聞こえてくる。


「颯にーちゃん!!」


と息を切らしながら颯に声をかける(しゅう)


そして、教室の中に入り颯の前の席に座り込み何やら話したげそうな柊。


首を傾げながらどうしたの?と柊に聞くかのようにしていると、


「はい、これねーちゃんの置き手紙。何か聞いてる?」と机の上に愛姫が自宅に置いていった手紙を出して話す。


──父さん、母さん、柊へ──

「内緒にしていてごめんなさい。私は明日から東京に行きます。急に家を出る形になって申し訳ございません。探さないでください。お身体には気をつけて。」

──愛姫より──


手紙の内容を読むとそう書いてあった。


「アイツ…芸能人になるんだ…」

と小さな声で柊に言った。


芸能人になると思っていなかった柊はあまりにも急な颯の発言に驚いている。


それもそのはず、颯の家族は知っていても自分の家族には何一つ教えていなかったのだから。


置き手紙を読んだ愛姫の両親はもうカンカンに怒っていた。出ていけ。帰ってくるな。とも言っていたらしい。


それは、柊が颯に話していた内容だった。


「ねーちゃん何で急に?」

と颯に聞いた。


颯も詳しくは理解していないが、愛姫が自分が強くなれる理由を探すために新しい事に挑戦したいと応募する時に話した内容を柊に教える。


「陸にーちゃんは?優羽(ゆはね)ちゃんも。知ってるの?」


愛姫は1番近くて大事な人にしか言ってなかった。


柊のその言葉で自分しかこの事を教えてもらってないことを自覚する。


──ふふ、本当に俺だけかよ…馬鹿だな…アイツ──


と頭の中で考え愛姫の顔を浮かべる。


「多分俺しか知らない。りっくんや優羽も教えてもらってないと思う。」

自分だけしか知らないと思っている颯は優越感に浸っていた。


「わかった、颯にーちゃんありがとう」


と言い、愛姫の手紙を持って教室を出た柊。


そして、柊は自分の教室に戻り何やら携帯を弄る。


カチカチという、音が鳴り響く。


柊は文字を打っていた。


その文字が打ってある場所はというと、柊が中学に上がった時に出来た【愛姫と愉快な仲間たち】というLINEグループだ。


グループメンバーは愛姫は勿論。愛姫の弟の柊と幼馴染の2人、颯と陸。そして愛姫の友達の優羽の5人だ。


3ヶ月ぶりの10月3日にLINEを動かす。


(ねーちゃんへ。俺や陸にーちゃんや優羽ちゃんが芸能人になること。知らないってどういう事?)


読むかも分からない。


何処に居るか、元気かも分からない相手に送る。


すると、既に既読が3という。


1番最初に返信をしたのは陸だった。(僕は昨日のあーちゃんの話聞いて何となく察したよ。居なくなるんじゃないかって)と察していた事を書いた陸。

次は優羽だった。優羽はお決まりのスタンプマークの返信。後の1人は颯だった。(ごめん。俺が言えばこんな事には…)


既読した3人の返信を把握した柊はやっぱりか…とため息をつき携帯を置く。


「ねーちゃん何してんだよ…」


と呟きながら3限目の授業を受ける。


授業の話はほぼ聞いていなかった柊。


窓の外を見ながらぼんやりとしていた。


返信が、来るかも分からない人の事をただ1人待っていた。


その頃東京に上京した愛姫。


大荷物を持ち、面接会場へと向かう。


駅近くのコインロッカーにて荷物を置く。


そして携帯の、マップを見ながら会場に向かっていると凄いLINEの通知が来ているのが分かる。


けれども愛姫のその時の携帯の充電のパーセンテージはなんと21%。


返信をしてる余裕なんてなかったのだ。


会場に着くと、同じ世代の人も居れば少し年齢が離れてそうな世代の人も沢山うじゃうじゃと居た。


東京の人混みに圧倒される愛姫。


知り合いも居なければ親戚も東京には居ない。


お金も今までお年玉で貯めた分しかなかったのだ。


「ここで…稼ぐしかない…」

ガッツポーズをキメて中に入る。


整理番号を貰い待合室で待つ愛姫。


愛姫の番号は28番だった。隣には整理番号29番の子が座ってきた。


「初めましてー!駒井(こまい)奈々(ななみ)です。よろしくね!」

と愛姫に声をかけてきた。


声を掛けられたことに驚き、ゴックンと唾を飲む。


「こんにちは。愛知県から来ました楠木愛姫です。中学三年生です。」と軽く自己紹介をした。言葉を交わす内に仲良くなった。


「次ー、28番さーん。」面接官の人に呼ばれたのでドアをノックして部屋に入る。


──失礼します──


面接をする前に奈々未との会話で緊張が解れていて、自己紹介がスムーズに終わり次の質問は何故応募したのか聞かれた。


「自分が強くなれる理由が、知りたくて。強くなりたい。人に頼らなくても1人でやっていけるという自信が欲しかったからです。新しい街で新しい環境で新しい出会いをし、視野を広げていきたいからです。」と答えた。


愛姫はしっかりと自信を持って答えられたことに少し喜んでいる。


──ありがとうございました──


面接が終わるとすぅ~と深呼吸をして心臓がバクバクして緊張しているのを解した。


夜は会場近くにあるホテルを颯の母と陸が予約を入れてくれていた。


「友に感謝だよなぁ~ほんと。」


と呟きコインロッカーで荷物を取り、ホテルの中に入る。


受付で鍵を貰い部屋に入るとベッドに座り携帯を充電する。


この短時間で充電が0%になるとは思っていなかったのだ。


電源がつき、LINEを開くと数百件もの通知が来ていた。


グループLINEもそうだが、颯と陸から3件。母から5件。優羽からはスタ爆で50件。柊から245件ものLINEが、入っていた。


ヤバいと思った愛姫だったが、返信する気にはならなかった。


LINEの他にも電話の着信が何件か入っていた。


電話は全部弟の柊だった。


「もう…心配性だなぁ…」

と呟きながら柊に電話をかける。


愛姫からの電話を待っていたのかすぐに出た。


「ねーちゃん!何考えてんだよ!」


半ギレモードの柊。


電話越しでも、毎日聞いていた柊の声のトーンは把握していた。


「柊…これは、私が大人になる為の試練なの。許して。黙ってたのはごめんなさい。東京の○○ホテルに居るんだ。私のこれからの事はグループLINEに書く。欠かさず書くから」


と言い、電話を切った。


言うだけ言っていたのを聞かされた柊。


──ツーツーツー──電話が終わった後の音が柊の部屋に鳴り響く。


「俺がシスコンみたいじゃん、ねーちゃんのアホ」


と声に出し携帯電話を壁に投げつけてしまった。


そして、愛姫は有言実行する為にグループLINEに今日は面接会場に行った事を書いた。


そこで話をした駒井奈々未という女の子と話をした事も書き、充電がなくなり連絡がつかなかったことも添えて書いた。


柊との約束の為、毎日何をするのかここに書くことを皆に伝えた。


久しぶりの愛姫のLINEの返事で皆が安心していた。


そして加えて颯の母と陸にはホテルを、予約してくれたことを感謝していると伝えた。


そして何故かグループ通話が始まる。

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