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サンド×リヨン  作者: 東海林 愛理
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陸の賭け

遥希(はるき)とは凄く離れた端っこの方で3人は練習をし出す。


なんと、台詞をたったの1週間で覚えなきゃいけないという。


この職業が初めてな愛姫(ありす)は台詞を覚えられるのか不安で居たが、芸能界の先輩の奈々(ななみ)奏多(かなた)が覚えやすいコツを教えてくれたのだった。


「台詞覚えられなかったら私、練習手伝うよ。イエローはピンクの相方だし!」


ウインクをしながら愛姫に声をかける。


ウインクをしているのだって、慣れている証拠。


愛姫はウインクすらキメられない。


何故なら下手くそだからである。


ウインクをしようとするといつも両目を瞑ってしまう。


それを茶化す(そう)(りく)。愛姫はその時の事を思い出したのだった。


「奈々未ちゃん、ウインク上手だね」


台詞覚えよりもウインクの事にしか頭にない愛姫。


「え?ウインク?台詞…大丈夫なの?」


奈々未は台詞を覚えて貰えるのか心配していたのであった。


「ウインクくらい練習すりゃいいんじゃね?」


横で話を聞いていた奏多がクスクス笑いながら言う。

そして、奏多もウインク練習をする。


「奏多…のウインク面白い。3人でウインク練習しよっか」


ケラケラ笑いながら奈々未が言い、奈々未もウインク練習し始める。


「此処に来てウインク練習…」


さっきまでの暗い顔の愛姫は吹き飛び、2人が愛姫の為に思ってしてくれた行動だと感じ、笑いながら愛姫もウインク練習を行う。


そして、遠くから遥希(はるき)が笑い声がする愛姫達の所をじっと見ているのだった。


悔しがっているような顔をして。


「奏多と礼空(らいあ)には渡さん…」


歯を食いしばりながら独り言を言いつつ稽古練習をする遥希。


だが、愛姫達の所が気になりすぎて練習になっていない。


「もう、辞めた…」


そう言いながら稽古場所を出ていった。


遥希が出て行ったのを見ていた奈々未はふぅ~~~とため息をつく。


奈々未も奈々未で遥希の態度が怖かったのであろう。


遥希の前では愛姫を守る口調で言っていたが、遥希は奈々未の2個上の高校一年生なのだ。


中学二年生の奈々未には凄い度胸だと思う。


「どうしたの?」


と不思議そうに声をかける愛姫。


「疲れたの、一休みするね」


と言い、愛姫と奏多の傍に椅子を運び椅子で一休みをする奈々未。


遥希に対しての気疲れが出てきたのだ。


「遥希に対して無茶しすぎじゃね?」


奏多にはお見通しだった。


普段の奈々未なら遥希に対して威嚇するような口調で話をしないからである。


そして、滅多に怒らない奈々未。


奈々未の性格を知っている奏多は少し奈々未の事を心配していたのであった。


「俺も、やーすも」


と言い奈々未の隣に座る。


いつもなら心配する言葉を掛けるだけで終わるのに今日の奏多は奈々未に対して優しかった。


その2人を見た愛姫は自分はおじゃま虫だと感じていた。


「もう…帰ろうかな…」


ボソッと愛姫が言うと、勘違いした奈々未。


「え?この仕事辞めないよね??」


帰るの一言で焦った奈々未は椅子から立ち出してしまった。


「辞めないよ…遥希くんとの事は嫌だなって思うけどこの世界なら1つや2つ災難がある方が面白いじゃん?待ち合わせがあるから今日は一先ず帰ろうかな…なんて」


奏多はその一言で察した。


愛姫は2人に対して遠慮していると。


「遥希は悪い奴じゃないんだ、だから嫌いにならないであげてくれ。愛姫さん、また明日な」


愛姫がこの場から立ち去りやすいように促してくれた。


急いで東京シティーホールから出て、陸に電話をかける。


──プルルル…プルルル──


2コールで陸は電話に出た。


「もしもし?りっくん?終わったよー!今何処?」


慌てて出てきたのが、分かる感じで息を切らしていた愛姫。


「あーちゃん、後ろ…」


そう言いながら電話を切った。


後ろを振り返ると陸が塀で寄りかかって立っていた。


「ごめん…待った??」


ハァハァ…と息を切らしながら陸の傍に行った。


久しぶりに愛姫の顔が見られて安心する陸。


「やっぱり、僕が此処に来て、正解だったね」


陸のその言葉の意味が分からなかった。


頭の上に?の文字が浮かぶ。


愛姫は後ろを向いているから気づいていないが、陸側からは見える人影…。


「あーちゃん、黙って着いてきて」


そう言って、愛姫の手を引き歩き出す。


「あーちゃん、走るよ…」


そう言って2人は走り出しホテルに向かう。


それは陸が、今日来るために予約したホテルだ。


「此処に入るよ…」


そう言ってホテルの入口に着き、ホテルの中へ入る。


「りっくん?急に走ったり此処に来たり…どうしたの?」


不思議そうに愛姫が聞く。


「あーちゃん、誰かに今日何かされた?さっき、あーちゃん出てきた時、あーちゃんの後ろから誰か着いてきてたよ」


険しい顔で愛姫に聞く。


愛姫の後ろを着いてきている人物は1人しか思い浮かばない。

その名も──佐倉(さくら)遥希(はるき)──


「あ、うん…キス…されたの…」


言葉が詰まったが、陸には本当の事を言おうと思っていたから伝えた愛姫。


本当はキスされた事なんて知られたくない。


陸に伝えれば必ず颯や柊に話がいく可能性もあるから。


「僕が塗り替えてあげようか」


陸の口からその言葉が出てくるなんて思ってもいなかった。


「あーちゃんとたっつんは付き合ってる訳じゃないしね…」


確かに愛姫と颯は付き合っては居ないが地元の人たちは分かっている通り2人は両想いだったのだ。


陸の言葉の意味がよく分かっていない愛姫。


これは、自分の気持ちを試してるのか?とも読み取れる。


「りっくんにはそういうこと言ってもらいたくないし、してもらいたくない、幼馴染として…」


愛姫は3人の関係を崩したくないと考えていた。


「たっつんも意地っ張りだよな、好きなら意地でも来いやってな…僕が先に来ちゃった…あーちゃんに会いたくて…それは本音だけど、本当は賭けてたんだ…」


──賭け?──


陸のその言葉に驚いていた愛姫だった。



男性陣ほんとやばすぎて、キュンキュンしちゃいます。

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