10月9日
いざ、出陣!!!
愛姫は朝起きてから支度をして、東京シティーホールへと向かう。
シティーホールの出入口では合格者が沢山居た。
愛姫はその中から仲良くなった奈々未を探す為、出入口の側まで行き、辺りを見渡す。
辺りを見ていると見覚えのある姿が見えた。
そうそれは、奈々未の姿だった。
奈々未を見掛けたので近寄り、声をかけてみる。
「こんにちは!」
と急に話をかけたが、奈々未は愛姫の事を覚えていてくれたみたいだった。
「愛姫ちゃんも受かったんだね~」
と手をパチパチしながら、久しぶりに会った事を喜んでいる。
2人共合格していた事をお互いに喜び、中に入る。
「愛姫ちゃんは何役なのー?」
と質問をする奈々未。
「タイムピンクって言われたよー」
と自分が何役だったかを伝えた。
タイムレンジャーは全員で5人居るという。
他には誰が居るのか気になっている愛姫。
奈々未は、タイムイエローという事が分かり、女の子の仲間がいた事に少しホッとしていた。
ホールの中に入ると関係者の人達が続々と集まり、タイムレンジャーの監督の人が一声かける。
「皆さんこんにちは!忙しい中、お集まり頂きましてありがとうございます。この度は、戦隊募集に参加して頂きありがとうございます」
等とご挨拶をしていた。
監督の話はこの後も20分くらい長々と続いていた。
話が長くて飽きてしまう奈々未。
「はぁ~長い話聞いてられな~い奏多はどこー?」
と何やら辺りを見回す奈々未。
『奏多』という人物を探しているらしい。
奈々未は元々奏多の追っかけで応募したという。
芸能界には小学五年生の頃から子役としてデビューしていて、戦隊ものアクションの出演は初めてだった。
芸能界デビューも同じ学校に通う1つ歳上の古屋奏多に一目惚れしてしまった事が始まりで、なんとこのオーディションにも奏多が応募したという情報が流れていたが、辺りを見回しても見つからない。
不思議に思った奈々未は、奏多が居るかどうか探しに行き始めた。
話し相手も居なくなってしまった愛姫は探索する訳でもなく貰ったパンフレットをひたすら読んでいる。
慣れていないこの環境に少し戸惑いも入っていた。
自信が欲しい為、誰かに連絡をしてみようと携帯の画面を見るが、LINEの上の段はほぼ、颯や陸、優羽や柊の名前しかなかった。
このメンバーには送れないと思った愛姫は携帯の電源を切り、なるべく携帯を見ないようにしていた。
すると、愛姫の傍に1人の男の人が現れた。
「君、可愛いね」
愛姫はその言葉に驚いた。
とてつもなくナンパに近い声のかけ方だと思った愛姫。
あまり男慣れしていない性格というのもあり、少しずつ足を後ろの方にずらしていき、その相手から逃れようと考えた。
逃れようとしていたのを勘づかれてしまい、腕をグイっと引っ張られてしまう。
急に話をかけられ、腕も引っ張られ戸惑ってしまう愛姫。
この時恐怖心を男性に対して感じてしまうのだった。
愛姫に話しかけてきた男はタイムレンジャーに出演する人物だった。
その男の名は佐倉遥希という。
見た目は一見チャラそうに見えたり話し方もキザっぽいとこがあったりと愛姫との性格の相性が難な、タイプだった。
「い、嫌!は、離してくださいっ」
愛姫は苦手なタイプだと思い、この空間から逃げたいとも、思っていた。
「こっち見てよ、ほら、」
遥希は愛姫の顎を触り、クイッと上に向ける。
愛姫は慣れていない事をされた為、赤面になっている。
赤面になっているのを気づかれたくなかった愛姫は、必死に顔を隠そうとするが、顎と腕を掴まれていた。
──怖い…──
男性に対する恐怖心が出てきてしまった。
女慣れしている遥希はクスっと笑った。
笑われた事にも苦手意識をしてしまう愛姫。
──この人苦手…──
そう思いながら相手を威嚇しようとする目つきをした。
すると、相手は焦りながらもごめん。と謝ってきたのだった。
謝られると思っていなかったので、若干苦手意識が遠のいた。
「あの、お名前は?」
初対面だったので、まずは自己紹介だと思い、名前を聞いてみた。
「ごめんなさい。紹介遅れてました。俺はタイムブルー役に選ばれた佐倉遥希です。よろしくな!君の名前は?」
自己紹介してくれた事に好感度が、上がっていく。
少し前の強引な人とは思えない紹介ぶりに驚いている。
「あっ!私の名前は楠木愛姫です。タイムピンクです!」
と、お互いに役柄を教え合うのだった。
タイムイエロー役の奈々未。タイムブルー役の遥希と対面した、愛姫はレッド役の相手が気になり始めた。
──戦隊ものって大体5人…だよね?──
レッドと遭遇してないのもそのはず。奈々未が探しに行った相手、奏多がタイムレッド役だからだ。
「そう言えば…奏多!って言いながら奈々未ちゃん人の事探してた気がするな…」
と遥希に言った。
遥希も元々芸能界の人で奏多の存在は知っていたのだった。
「古屋奏多と駒井奈々未の事かな?俺と同じ事務所の子達だよ。2人がどうかしたの?」
2人の様子が気になっていた愛姫。
奏多の事を探しに行ってからこの場所に奈々未が戻ってきてない事に心配をしていた。
「まさか…奈々未ちゃんに何かあったんでしょうか…」
と言いながら席から立ち、廊下の方に出る。
「あの子、極度な心配性かな…それともこの世界が初めてで戸惑ってるのかな…」
愛姫の後ろ姿を見ながらボソッと言う。
初めて来たこの場所で何処に何があるか分からない愛姫。
このまま行くと迷子になってしまうレベルで。
イベントやライブがよく行われるホールにたどり着き、ドアを開けてみると人影が見えた。
書いてると続々とあれしたい、こうしたいが、浮かんでくる。それくらいら書いててニヤニヤしちゃってる自分です。