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戸棚の向こう

 ジーヤはちょちょいと空中にドアを開けると、そこからミオを呼んできた。


「突然空中に穴が開くからびっくりしました!」

 

 ミオは目を丸くしながら入って来たが、クリストファー王子の顔を見るとホッとして駆け寄る。王子もギュッとミオを抱きしめた。


「ミィ。会いたかった。」

「…ク、クリス。無事で良かった。」


 クリスと呼ばれてますます嬉しそうな王子と、言っておいて赤くなるミオを、生暖かい目で見守るその他一同なのでした。


「コホン。そろそろ参りましょう。」

ジーヤがあえて空気を壊して促す。


 金のドラゴンが言うには、『あの子』は、まだ体の中に僅かに残る黒い霧を押し込めながら城の何処かに隠れているらしく、気付かれない様に少人数で探した方がいいだろうという事だった。


 そこでミオと王子を含めた学園メンバーが行く事になった。

 兄の王子達は連れてきたパートナーや仲間達、友好国の面々と連絡をとりつつ、戸棚近くで待機し、ドラゴン達やミオについて来ていた妖精達やタロ(モフモフちゃん)も戸棚近くで待つ事になった。


 クリストファー王子が厨房の戸棚を開けた後、王子とミオ、ジーヤ、アカリナ、ばあちゃん、ムサシ、ジル、ユーノは、ミオと一緒に来ていた妖精に身体を小さくする粉をかけてもらい、小人サイズになって戸棚の中に入った。新しいお菓子は入っておらず、がらんとしている。


戸棚は反対側も扉がついて両側から開けられるようになっており、今入ってきた方と反対側の扉を押して開ける。扉の下はカウンターのような作りで、ジャムや果物やスパイスの瓶が並んでいたり、パンの入った籠があったり、炭酸水やワインやジュースのボトルがおいてあったりした。

 

 身体が小さくなっているので巨大に見える瓶や籠の間を抜けて、カウンターの端までたどり着く。


 パンパンと体にかかった妖精の粉をはたき落とす様にしてカウンターから飛び降りると、元の大きさの身体に戻り、着地した。ミオは王子と一緒にこわごわ着地し、ユーノはばあちゃんにしがみつきながら着地した。ムサシやジルは嬉々として飛び降り、ジーヤとアカリナはいつの間にか元に戻っていた。


「こちら側に、…来れたのかな?」


 さっきまで学園メンバーを見送ってくれていた面々は、戸棚の向こう側に回りこんでみてもいなかった。どうやらこちら側ーあの子が平行世界に隠した本物の城の方ーに来る事ができたらしい。


 厨房の中を見回す。静かだと思っていた其処には、人が倒れていた。

 ……と思ったら寝ていた。料理人も、メイド達も、皆スヤスヤと床に倒れるようにして寝ていた。無事。良かった。


 ミオも王子達もホッとして、他の場所も見に行くと、誰も彼も皆寝ている事がわかった。王も王妃も、執務室や寝室で気持ち良さそうに眠っていた。


「とにかく、『あの子』を探さないと。」


と王子が口にすると、


「だいたい、解りましたよ。」


と、一段低いジーヤの声がした。


なんだかその声が怖いような気がして、ミオはパッとジーヤを振り返ったが、ジーヤはハッと困ったような顔をして、いつもの安心させる微笑みを浮かべるのみだった。


 一方ユーノはジーヤの声を聞いてギャップ萌えに悶えつつ平静を装うあまり変な真顔になっていた事を本人は気付かなかったのでした。




 王子の部屋にも異常がない事を確認すると、次はジーヤの部屋に行く事になり移動する。城で長年爺やとして働いていたジーヤは、王族の寝室にも近く、執務室からも連携の取りやすい場所に部屋があり、ずっとそこで生活していた。


 

 ーーそう。ずっと。3代前の王妃の時から。


 命を救われ、心を救われたのはいつの事だったか。記憶はまだ鮮明なままだ。


 ジーヤは思い出す。もともとは星の間を漂う無意識な物質のカケラだったのだ。それが何故か流星に乗って落ちてしまった。落ちた場所一帯のエネルギーを無差別に吸収して、ここで生存しようと、そう思った途端に、底しれぬ生命力と魔力とが沸き上がり、コントロール出来なくなってしまった。

 その上、地上で吸収した中に猛毒の赤キノコが大量に入っていたために腹も痛くなり悶絶した。

 

 ジーヤは思い出し笑いをしながら、懐かしく3代前の王妃の顔を思い出す。意思の強い、優しい瞳。輝く様な魔力で、猛毒を浄化し、魔力をコントロールできるよう溢れた魔力を吸収してくれた。

 

 それでもまだ泣き喚き混乱している私に、近づき抱きしめた王妃。王妃も涙を流していた。

 王妃の持つ暖かい光に、癒され、そして気付いた。地上で吸収した中に、人の命があった。爺や。王妃がずっと親しんできた爺やが、自分の中にあった。暖かい心が、流れ込んできた。人として、生きてもいいだろうか、と問うと、王妃はもちろんよと答えた。

魔王な爺やなんて素敵だわ、と。


 そして私は人間の姿をとった。どんな姿にでもなれるのだ。私の中に本物の爺やがいて、色々教えてくれた。感情も慈しみも、流れ込んで来て、敢えて爺やの通りに振る舞った。

 それを伝えると王妃は本当に爺やが貴方の中にいるのね、と喜んでくれた。


 私の中の本物の爺やは、3代前の王妃が亡くなった時に私の中から消えた。


 自分は人であり人でない。多分『あの子』も。




終わりまでたどり着けませんでした!

次こそ!完結予定です!

……終わる終わる詐欺でごめんなさい。


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