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厨房の戸棚

 僕達は、少し待って皆と合流してから、金のドラゴンの後をついて城に入った。

 金のドラゴンは城の入口で姿を変え、コウモリみたいな翼の生えた子猫サイズのドラゴンになった。便利だし、可愛い。空中を飛びながら僕達の前を行く。


「城の中、誰もいないわね…」

アカリナが、不安そうに言う。

リン兄様もレニー兄様もがらんとした城内に険しい表情を崩さない。


「もしかしたらこれは……」

ジーヤは何か考え込むような様子で周りを見ている。何か感じ取っているのか、いつもの温厚なジーヤではない、鋭い圧を発している。

 本当にジーヤ何者?


ばあちゃんや龍、ムサシやジルは、キョロキョロしながらついて来る。


僕は堪らず尋ねた。

「金のドラゴン、城の皆は何処に行ったんだろう…?」

「あの子が必死で奥へ奥へと逃げ込んだ結果、城ごと別空間へ隠してしまったんだ。」


 今いるのと全く同じ城が、別空間の平行世界に存在して隠されているらしい。そこに行って、父上や母上、城の皆を取り返さなくては。

 

 金のドラゴンは黒い霧に囚われている間、黒い霧の中で起きた事は全て把握できたそうだ。それで、解っている事を全部教えてくれた。


 『あの子』は、星空を漂っていたチリみたいな物で、地面に降って来た事。

落ちた時に近くにあったエネルギーを吸収する事でこの星で生き、順応しようとした事。

取り込んだ中に、悪意の塊があり、あの子の魔力の強さを喰ってあの子を支配しかけていた事。

黒い霧を使い、ケルリア国だけでなく全世界を支配しようとしていた事。


 …そうだ。流れ星の夜。ミオと流れ星を見た夜。窓辺でミオは火球を見た。僕もあの時窓の近くにいたんだ。

 バチバチとはじける様な長い尾を引いて落ちて来た火球。それが『あの子』だったんだろうか。


 それに、時期は一致する。

ビルト国の王が暗殺されたと聞く時期と。

悪名高く周辺国に不和を撒き散らしていた王は、暗殺ではなくあの子が火球として落ちて来た時に近くにいて巻き込まれて吸収されたんだとすると。


 あの子の中にある悪意はビルト国の王そのものなのかもしれない。



「ここです。ここが唯一あちらの城と繋がっている場所になります。」


金のドラゴンが立ち止まり、言った。

其処は、城の厨房、戸棚の前だった。


「これは、クリストファー王子しか開けられない戸棚ですね。」

ジーヤが楽しそうに言う。

「あれ?……知ってたの?」

「城中知ってますよ。子供の頃から可愛らしかったからですね、微笑ましく見てたんですよ。」


僕がこっそりお菓子をもらっているの、皆にバレバレだった!


「クリストファー王子以外開けられないように、メイド長はありったけの魔力を使ってこの戸棚に守護の魔法をかけてたんですよ。愛情入りでね。間違って毒が入ったり絶対しないように。」


「知らなかったよ…」


「それがですね、ちょっとだけメイド長は魔力が弱い方だから、城の他の家来がそれぞれに心配していて、通りかかる度に誰か誰かが守護の魔法を重ね掛けして行くんですよ」


 そ、それは凄そうだ。皆ありがとう。


「面白いのはですね、それぞれが内緒で

守護魔法をかけて行くから、自分だけがフォローしていると思ってありったけの力で重ね掛けしていくんですよ。愛情入りでね。」


 それが皆の習慣になって、常に何重もの強力な守護がかかっていたそうだ。

 兄様達も生暖かい目で僕を見ている。


 何だか恥ずかしくなってきた。そんなに守られていたなんて知らなかった。今度は皆を守らないと。


ジーヤが少し考えて、言った。

「ミオさんを呼びましょう。彼女の体質が、助けになるかもしれない。」











ごめんなさい。まだ完結できませんでした。来年に続きます。もう少しです。

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